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日本語禁止、その後

 隷属の首輪を装着されてから早2か月、毎日の訓練でくたくたではあるが、食事は今までと同じく栄養に富んだ物が出されているし、宛がわれている女たちも頻繁に寝所に通ってくる。

 ただ、女たちとの睦事は義務になっており、拒否をしてもチョーカーの強制力で関係を持たせられるのだ。

 それは他のクラスメイトも同じ様だった。


 訓練の中身も各貴族家毎のパーティに分かれて行っているが、場所は今までの訓練場だ。

 最初の話しでは1か月の共同訓練の後は各貴族家毎に分かれて別々の場所での訓練になると言われていたのにだ。

 これも隷属の首輪、つまりチョーカーを嵌めてしまった悪い効果だろうな。


 各パーティに教師となる王家所属の騎士1名が付き添い、手取り足取り教えてくれる。

 でも、最初の違和感がまだ払拭されていない。

 それは各受け入れ貴族家の子息が全員、勇者と全く同じジョブであるという事だ。


 特に乃木坂の所は盾だから、その辺が顕著だ。

 もちろん井ノ川の所の斥候もそうだ。

 一つのパーティで2人も斥候がいるよりも、アタッカーを増やした方が建設的だ。


 クラスメイト達の訓練は過酷になっているのだが、貴族家の子息もまったく同じ様な訓練を熟すのだ。

 元々の体力やパラメーターが違うので勇者と同じ動きが出来ないのは当たり前の事だ。

 それでも訓練の時、担当の騎士が必ず理論を説明するので、その理論を一緒に聞いたり、パーティ内での立ち回りとしてどこに立ってどんな攻撃をした方が良いかなどの説明を聞いたりしているのだ。


「ここは、ここまで大振りにしてしまうと、姿勢がこの様に崩れます。そうするとここがガラ空きになってしまい、敵に一本入れられてしまいます。こういう時は一度フェイトをかまして相手の姿勢を崩してからなら成功率が高くなります」

 中には騎士からの説明のメモを取っている熱心な子息もいたりする。


 俺たちはこちらの言葉で会話は出来るが、日本語では出来なくなっているので、不用意に会話をしてしまうと、ザイディール国の人たちに会話の内容が筒抜けになってしまう。

 毎朝の挨拶や、お互いの健康状態や精神状態についての簡単な会話等に関する会話は放置されているが、この状況を打破する方法を小声で話そうとするとそれを禁止する命令を出されてしまった。

 

 と言うのも、最初、あいつら子息には何を話しているか分からない程の小声で話していたのだが、直ぐに小声で話す事自体を禁じられたのだ。

 もし普通の声量でこの状態の打開策について話せば、ダイレクトにそれを禁止されるのは分かっている事だ。


 なのに、直情型の山口は、「もう、我慢できねぇ。自分でチョーカーを外せないなら、お互いのチョーカーを外せないか試してみようぜ」と普通の声量で言ってしまった。

 実は俺も、そして多分高橋や辰徳も同じ様な事は考えていたと思うが、どうやって貴族家の奴らに知られずにそれをクラスメイトに伝えようかと考えていた所だっただけに、びっくりしてしまった。

 黙ってクラスメイトの誰かの首に手を伸ばしてみる事も考えたが、その瞬間を見られたりすれば、それすら禁じられると思ったので、手も足も出ず、悩んでいたのに、馬鹿山口めぇ!


 山口が井ノ川の首元に手を伸ばしたと同時に、貴族家の子息たちが「何人のチョーカーも外す事を禁ずる」という命令を発したのだ。


 山口、この馬鹿野郎!

 お前のせいで、一筋の光明だったお互いのチョーカーを外すという手法を取る事ができなくなってしまった。

 クラスメイト皆の目が山口を射殺さんばかりに睨んだのを見て、「そんな命令が出なくても、これは王家の者しか外せないと言っただろう」とダムエルはクスクス笑いながら俺たちを見下した目で言った。

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