19.記憶
伊藤俊介と岩本京子は東にある住宅街へ向かって歩いていた。
「京子さん、少し休憩を取ろう」俊介は道端に座り込んだ。
「一息付けるね」
「京子さんは何で参加したの?」
京子は少しの間、無言だった。
「私ね、ホスト通いなの。お金が必要なんだ」
「ホストなんて面白いの?」
「うーん。どうだろ?」
「俊介はどうなの?」
俊介は記憶を思い出した。父親が家で泣いている。訳を聞いたら首を吊ろうとして失敗したんだそうだ。俊介は父親を殴った。部屋の中は蒸し暑かった。
「親父の借金を返す為だよ、一億円以上ある」
「へぇ、立派だね」
「違う、違うんだ」俊介は拳を握りしめている。目には涙が浮かんでいた。
「何か理由があるのね」京子は俊介の肩をポンポンと叩いた。
佐藤雄二と川谷純也は中心地の北にある病院を目指していた。
「しかし、二千万円か」純也が呟いた。
「どうした?」
「もう、借金分の金が貯まったからよ。後、二、三人ぶっ殺せばお釣りが来ると思ってな」
「本気で言ってるのか?」
「欲が過ぎると大怪我するぜ?」
「俺はな、会社の金を横領してるんだ。最低でも二億が必要なんだよ」
「本当か?、悪党だな。お前」
「もう、二人殺しているんだ。お前も悪党だろう?」
「あはは、違いねぇ」
「でもよ、二億も横領するなんざ、一体何に金を使っちまったんだ?」
雄二は下を向いた。
「笑うなよ?、キャバ嬢に貢いだんだ。金が掛かる女でな」
「あはは、お前、それ財布じゃねぇか?」
菊池友康と遠藤茜はスタートポイントの近くにある喫茶店で静かに隠れていた。
「友康、煙草持って無い?」
「あるよ、メンソールだけど良い?」
「あんた、やるじゃん」そう言いながら茜は友康から煙草を貰った。
「火は?」
「はい」友康はライターを茜に渡した。
茜は煙草に火を付けると深く吸い込んだ。怠そうな顔で友康を見つめている。
「あんた、何で参加したの?」
「俺は金を手に入れて故郷に帰るんだ。ホストは辞める」
「成程ね」
「茜さんは?」
「あたし、パパ活で稼いでいるんだけど。お金が足りなくてね。推しのホストを店で一番にしたいんだ」
「茜さんらしいよ」友康は笑った。
一方、その頃。才華の幼馴染の名倉浩二は自宅でドゥームズデイを見ていた。(しかし、高いよな。視聴料だけで十万円も掛かったぜ)
浩二は煙草に火を付けた。(才華は無事なんだろうな?)ドゥームズデイのオッズ表に才華の名前を見つけた。(良かった。まだ、生きてる)(しかし、何だ?、結構、人気があるな)(優勝候補枠だって?)
浩二は何が何やら意味が分からなかった。(何で人気があるんだ?)
浩二は才華のチームを調べた。大田と言う傭兵がチームの片割れだった。(傭兵って戦争とかする人だよな?)
ダイジェストで大田が人を殺している映像が流れた。浩二は麦茶を飲みながら画面を食い入るように見つめた。
浩二は大田の動きを見て思った。(こいつは化け物だ)
>>登場人物
伊藤俊介19歳
岩本京子20歳
佐藤雄二30歳
川谷純也28歳
菊池友康21歳
遠藤茜20歳
名倉浩二17歳
>>設定資料
グロック17。扱いやすい自動拳銃。装弾数は17発。
デザートイーグル。マグナム弾を連射出来る、世界最大級のハンドガン。




