第10話 伝承は現実へ
[バイル]
エルフと純人から派生した混血、魔法干渉をとても受けやすく攻撃魔法の耐性がかなり低い、しかし支援魔法などを受けるとより強力になる
髪色は白と黒で入り混じっている
「おい! 止まれ!」
軍兵はハルクを確認すると銃を発砲する、ハルクは滑り込みながら螺旋したパイプ管の下を通ると木板を倒し時間を稼ぎながら走る、軍兵は蓮義手で壁を掴むとそのままパイプ管を乗り越え、銃を撃つ、銃弾はハルクの左前腕に命中するがハルクは激痛に必死に耐え、走り続ける、しかし着々と距離が詰められ、その時ハルクは捕まってしまう。
「くっそ! 離せ!」
ハルクは必死に抵抗するが力が強く、腕がびくともしない、ハルクの手首を縄で縛り、通った道を戻るその時、1人の軍兵がハルクが持つ、細い黒い糸に気づく。
「...なんだこれは....?」
軍兵が糸を持ったその時、ルイーゼが電気を走らせる。
糸に気づいた軍兵は電撃の痛みですぐに手を離すが他の軍兵とハルクは電撃を喰らい、倒れる。
ルイーゼはハルクを掴むと走り出す、軍兵は銃を撃とうとするが引き金が引けない。
「まだ痺れが...!」
そして軍兵の痺れが切れる頃にはすでにいなくなっていた。
〜中央軍部〜
「それで、まんまと逃げられたと?」
本棚の並ぶ一つの部屋、大量の資料が机だけでなく床全体に散らばる中で書斎椅子に座るモノクルをつけた細身で長身なリーデットの男、陸軍少佐、アルド・フィーリウム・ベリルド、そして対面している巨体の男の名はフランク・ジェームズ、亜人反乱鎮圧部隊の隊長を務める軍曹である。
「大変遺憾ながら、奴らの中に精霊操具に詳しいものがいるのか、一瞬だけ解除されたという報告も...」
フランクは申し訳なさそうに言うとアルドはニコリと笑う。
「わかってますよ、別に咎めようというわけではありません、どうやら報告通りのようでよかったです」
「報告...といいますと...?」
フランクが疑問の声を発するとアルドは優しい声で答える。
「ええ、教会の事件の時にですね、魔法の使えない獣人が魔法を消したとの報告がありましてね、何かの偶然かとも思ったのですがね、フランク殿が言うのならそうなのでしょう」
アルドの言葉にフランクは首を傾げ、1人で納得しているアルドに声をかける。
「つまり...どういうことですか?」
「獣人の中に魔法、さらには精霊術を無効化する者、つまりはスキルを持っている可能性が高いと言うことです」
「スキルですか...伝承で聞いたことはあります、[音速]や[思伝]、[分身]など、でも本当にスキルが実在するとは...」
フランクの言葉にアルドは立ち上がるとフランクの横を通ると散らばった資料の中から埃を被った朱色の厚本を拾い上げると机の上に広げる。
「これは...」
本に書かれているのは信仰革命について書かれていた本であった。
「この本は世間は広まっていない上流階級のみが知る精霊の歴史です」
その本には精霊信仰の前に存在した三大神の存在、ある1人の人物によって精霊が広められたこと、そして旧信仰を覆した大罪人について書かれていた。
「...その本とスキルのになんの関係性が?」
「この大罪人です、この者は[思伝]のスキルを持っていたとされています。その者はたった1人で教会を壊滅させるほどの力を持っていました、そしてあの亜人はこの精霊産業物全てを停止させることもできます、くれぐれも慎重に油断せず行なってください」
アルドはそう言うとリドルの肖像の描かれた紙を一枚渡す。
「忠告ありがとうございます、報告は以上です、失礼しました」
フランクはそう言って部屋を出るとすぐさま次の準備へと取り掛かった。
〜シードル王城〜
シードル中心にある巨大な古風の城、豪華なシャンデリアが天井を陣取るような赤を基調とした謁見の間の玉座に座る帝都シードル19世国王、ロッド・マルフォンス・シードル・ラルフォンス、巨大な王冠、小太りで白くふわふわとした髭、細目なその王は中世にいるような王であった。
「なるほど、そのような反逆者がおるのか、人は正義に動くものが多い、武力で制圧すれば民衆は奴らの味方をする可能性がある、あくまで穏便に、確実に排除する必要があるであろう」




