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Transparent Blue  作者:
11/11

小さな思い出

更新が遅くてごめんなさい…

庭に向かって行くと、お茶の用意をするカヨの姿が見えた。


「カヨー!」


僕の声でカヨが振りかえる。


「坊ちゃま!もう少しで坊ちゃまの好きなアールグレイが出来上がりますので、お待ち下さいね」


透明なティーポットから茶葉が踊り出しているのが見える。

カヨの入れるアールグレイは絶品だ。


「ネオン、カヨ、待たせて悪かったな!」

後方から父様の声がした。


そして、僕の目の前の席に座る。


「父様、お仕事の方はどうですか?」


「あぁ、やっと少し落ち着いたよ。ネオンとお茶を飲むなんて久しぶりだな…本当は、もっと一緒にいたいのだが…」


「父様、僕のことは気にしないで下さい。僕は、大丈夫ですから…」


「紅茶の準備が終わりました」

カヨが父様と僕の前にティーカップを置く。


父様は、ティーカップに唇を付け飲む。


「とても美味しい。カヨの入れる紅茶を飲むと、落ち着くな…」


「旦那様、ありがとうございます!まだ、先代には叶いませんが…」

カヨは、嬉しそうに微笑んだ。


「あぁ、確かにリオの入れた紅茶も美味しかったな」

父様は、遠い昔を懐かしむように言った。


その時、ドアが勢いよくノックされた。


「旦那様、トリスタンです。少し、面倒な事になりました」


「許可する、入れ」

父様の許可を得たトリスタンは、部屋の中に入ってきた。

そして、トリスタンは、父様に耳打ちした。


「ごめん、仕事が入ったようだ。カヨ、御馳走様。リヨン、半刻後には屋敷を出るから、準備を」


そういうと父様は、僕には、一切目線を合わせずに、席を立って足早に去って行った。


「承知致しました」

父様の後について、リヨンが部屋から出ていく。


結局、いつも通りのメンツになってしまった。


「坊っちゃま、どういたします?」

カヨが伺う様な目線を僕に寄越す。


「僕は、もう少しお茶とお菓子を頂くよ。カヨも父様のお手伝いがあるんでしょ?行ってきたら?」


「坊っちゃま、気を遣って頂きありがとうございます。申し訳ありませんが、失礼させて頂きます」


カヨも父様の手伝いで席を外してしまい、独りぼっちになってしまった。


「あぁー、また独りか。寂しいと言えば、何か変わるのかな…」


そう呟いた時、あの水色の存在を思い出した。

そして、近くにあるナプキンにクッキーを包み、蔵へ向かった。



一週間ぶりの蔵。

以前来た時とは、何も変わっていなかった。


「ルリアー?ルリアー?」

奥の空間に、声を掛ける。


「ネオン、遅い!ずっと、待っていたのに!」

籠の中の小鳥は、両翼を広げ、僕に怒りを表している。


「父様の仕事の関係で、来れなかったんだ。でも、今日はお土産を持ってきたよ!」


「お土産?お土産って何?」

お土産がよっぽど気になるのか、翼を下ろして僕に寄る。


「クッキーを持ってきたんだ!」


「クッキー?」


「クッキーはね、食べると幸せになれる食べ物だよ。甘くて、美味しいんだ!」


手のひらに、クッキーを細かく割って、自分の手にのせて目の前に出してやる。


目の前の存在は、器用にクッキーを砕き、食べる。


「何これ、美味しい!あれ、これを以前に食べた事がある気がする…あっ、痛…!」


突然の激痛がルリアの頭を襲う。


「大丈夫!?」

痛みに耐えるように、頭を振るルリアの姿に心配になる。


「たまに、こういう事があるの。なんか、いきなり映像が見えて…私と他の人。私を見て幸せそうに笑ってた…」


「その人を思い出せる?」


「うぅん、思い出せない…」


ルリアは嘴を小さく振り、答えた。

また、目の前の存在の謎が深まったのであった。


最近、無農薬の紅茶に嵌まっています。

クッキーと紅茶の組み合わせって最高ですよね!

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