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地面が強く揺れ、僕らは足元がふらつきっぱなしになった。
天井、壁に張り巡っていた鏡はヒビが入り、割れて落ちてきた。
下りの階段のくぼみに僕たちは避難した。
「あいつは確かに、私の矢で消えたはずなのにどうして声が聞こえたんだ?」
クオンは疑問を隠せない表情で言った。
そして、音が落ち着いて、揺れも無くなった。
その時だ。
「ガルルルルラァーっ!」
雷鳴のように、何かの咆哮が聞こえた。
僕は上を見た。
さっきの天井は突き抜けていた。
先ほどの咆哮が聞こえた方向を見てみると…
黒くてツヤのあるうろこ、鋭く尖った爪、光をかき消すような真っ黒な翼。
黒龍ベラフェルトだ。
「ソラさん、あれはベラフェルトではなさそうです。なにかに乗っ取られ、支配されています。多分、リリスによるものではないでしょうか。」
ベルはただならぬ表情で僕に伝えてきた。
「みんな!ベラフェルトだ!リリスと融合してるみたいで、もっと強力になってるはず。
無理だと思ったら、絶対に逃げてくれ!」
「ソラ、こんなとこまで来たのに逃げるわけないだろ。俺は死なないし、他の奴らも守る。任せとけ!」
僕の言葉にエドワードはとても心強い言葉で返してきた。
「オマエラ、ゼッタイコロシテヤル。」
やはりリリスだ。リリスはベラフェルトを乗っ取っていたのだ。
-GIANT KILLING-
エドワードの体が、どんどん鬼のような体に変化した。肌の色は、赤くなりツノが生えていた。鬼人化したのだ。
「説明しとこか!エドワードは、魔法とか無理やけど、自分の体をいろんな生物と合体した融合体になれんねん!この技にはもう一個すごい所があんねん!相手が自分より優れてれば優れてるほど強くなれんねんよ!逆に相手があんまり強くなかったら、弱いけどな!」
ハクがこんな非常事態にも関わらず、技の説明していた。
僕には半分くらいしか聞こえていなかった。
「倒ス。…行クゾ。」
エドワードの口調が変わっていた。
ドンッと地面に鉄球を落としたような音が聞こえた後、エドワードは瞬間移動したように龍の目の前にいた。
「ドゥオォォっ!」
そして、右ストレートを龍にぶち当てた。
龍はふっとんだが、やはり段違いの強さのようで、あまり効いてなかった。
「ジャイアントキリング状態のエドワードの攻撃が効いてないってどーゆーことなん?ありえへん!」
ハクは龍の強さに少し乱されていた。
「ハハハ、ワタシニカナウワケナイダロ。アキラメロ。」
「あきらめない。絶対に僕は…僕たちはお前を絶対に倒す!」
龍の口から、獄炎の咆哮が飛んできた。
「ブオォォォ!」
辺りは炎に包まれ、僕は1人孤立してしまった。
「ソラっ!大丈夫?私とハクと辛うじて避けたよ」
「僕も大丈夫、エドワードが時間を稼いでる間に、聞いてほしいことがある。」
「無茶はしないでほしい。絶対に。だから、ハクが無理と思えば、クオンと先にこの塔を脱出してくれ。」
僕はこの絶対という約束に対して、反論できないような表情で話した。
「わかった…」
そう言って、2人は頷いた。
エドワードが龍にぶっとばされ、ハクとクオンの近くに落ちた。
だめだ。これは危なすぎる。
僕はみんなを守りたい。
「ハク、みんなを頼むよ。必ず倒して戻る。
ちゃんと僕だって、みんなみたいにすごくなりたい。こんなとこで負けるわけにはいかないしな!みんなを連れて、外に行け!」
「わかった、絶対戻りや!絶対やで!」
-ワールドダイブ-
ハク、クオン、エドワード、ベルを光が包み込み、移動魔法が発動された。
「ハクこんなことしないで!ソラ1人で龍相手になんかできないよ。守れないじゃないか。」
ハクは苦しそうにクオンの言葉を聞き流した。
「大丈夫だよ、クオン!絶対に帰ってくるから。ハク行ってくれ!」
「ソラぁぁぁ!…」
クオンが泣きながら必死に止めようとしていたが、移動は完了した。
ふぅ。さあどうするか。
「オマエヒトリデナニガデキル?シヌダケダ。」
「どうかな?お前なんかに僕は立ち止まれない。ここで倒させてもらう。」
ん?なんだ?左腕が光り輝きだした。
ー冒険者よ、力を授けよう。君に勇気が芽生えた時、さらなる力を得るだろうー
そして、頭に直接話しかけられた感覚で知らない男の声が聞こえてきた。
まったく僕には理解できなかった。
ただ新しいスキルを修得したようだ。
-神打一閃-
さあ行くか。みんな待ってるし。
僕と龍の一対一の戦いが始まった。
龍からの攻撃はすさまじい勢いでやってきた。
だが、なぜだか僕は全ての攻撃が遅く感じたのである。
「ナゼアタラナイ?」
龍が動揺を隠しきれない様子である。
体が軽い、なぜだろう。
僕はこの勢いで、斬撃をとてつもないスピードで与えた。
「グアァァァ!!」
龍は、ダメージに耐えれずよろめいた。
「さあ、もう終わりにしよう。行くぞ…」
「ナニガオワラセルダ、シネエエエ。」
神打一閃。
光速に近い、スピードで龍の体を貫いた。
戦いは終わった。
ベラフェルトと共にリリスは完全消滅した。
上から龍玉らしい、虹色に光る玉石がゆっくりと落ちてきた。
龍玉を手に入れた。
「僕にもできたよ、メイ……」
僕の意識は遠のいていき、気を失った。