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なにかいる  作者: ariya
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おまけ

 市内の同じ大学医局員が集まる飲み会の最中、河村先生と久々に出会った。


「そうそう、私。今とわだ学園に当直バイトいきはじめたんだけど」


 とわだ学園と聞き、過去のことを思い出す。

 お菊さん人形が押し入れに入っていた当直室の精神科病院と併設されている施設である。

 そういえばあそこも当直医がいるとか言っていたな。


「検食、めっちゃおいしくなっていた。昔はザ・オール糖質だったのに」

「でしょ! あれ、俺がめっちゃ検食帳簿に意見いいまくったからですよ」


 糖質過多について書いたらしばらくして改善され、次は味付けについてしおっけが強いなどを言い、次は彩についていって。


「だいぶ改善されたでしょう」

「へー、飯田君、結構言うんだね」

「つーか、河村先生も気づいていたなら書いてくださいよ。何の為の検食ですか?」


 検食は食の安全確認以外が目的であるが、改善すべき点は意見を言うものである。


「やぁ、あそこって精神科の重い人とか、障害児が多いじゃん。スタッフさんが食べさせやすい食事形態で患者も満腹感感じられるものだと選ばれているのかと考えたら言いにくくって」

「先生、糖尿病内科でしょう? 俺より専門じゃん」

「そうだねー。次から意見書いとくわ」


 あははと河村先生はハイボールを飲み干して次の飲み物メニューを確認した。


「そういえば、先生。当直室の人形て」

「あ、聞いていた? 怖いから片付けてくれって言ったのは私」

「あれって何かあるんですかね?」

「あるんじゃない? 人形て念がこもりやすいし」

「怖い話……先生たまに怪談とか読んでいますね。しゃれこわとか」


 前、一緒の病院にいたときに休憩時間に洒落こわまとめ動画を視聴していたのを思い出した。医局のテレビでわざわざyoutubeにつなげて。

 怖がりの耳鼻科の部長が「やめてぇ」と河村先生に頼み込んでいたのを思い出した。


「まぁ、気になっちゃうし」

「人形を片付けさせたのはやっぱ怖いから?」

「さすがに目と目が合うのはいやだから人形は片づけてもらったわ」


 あの当直室で感じた現象をはたして彼女は経験したのか。

 いっこうに話が出てこないということはそういう経験はないようだ。

 何で彼女には出なくて俺に出てきたのか謎である。


「飯田君は怖い話結構好きなの?」

「別に……」

「あ、君が今いる病院。外来に赤いドレス着た女の人が徘徊しているけど、ただ徘徊しているだけだから知り合っても気にしないで」

「何でそんなこと言うんですか」


 翌日から、夜遅くまで病院で働いた後に帰宅後、こつんこつんとヒールの音が聞こえる現象に遭遇することになる。



(おわり)

特にオチはありません。

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