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12.婚約破棄計画の始まり。

こ、こ、婚約破棄ぃ!?


「その提案のりました!」


やや前のめりになって、答える。まさか相手から言ってくれるとは。


「そう。やっぱり君みたいな子初めてだよ」


藤宮君は意味深な笑みを浮かべた。


「?…そうなんですか?」


「あれ?大和、何してるんだ?」


声のした方を振り向くと、栗色の髪に灰色の瞳の男の子がいた。

あれ?この人って…。


かなめ…」


やっぱり…攻略対象…。

萩野要。両親が芸能人で父方の実家は代々続く和菓子店だ。


「あ、君…。ふっ、ふふっ…。今や有名人だな」


「どういう意味ですか?」


有名になった覚えなんてないのだけれど。


私が眉を寄せれば、萩野君は噴き出した。

意味不明…。


「大和、百合さんに何も説明してないのか?ははっ」


萩野君が笑っているのとは対照的に藤宮君はイライラした顔をしている。


「煩い。…はぁ、ごめん。ここに呼び出したのは、婚約についてなんだ」


「えっと…?」


「この婚約は大人達が決めた事なんだ」


それは、分かっているけれど、それがなんだと思ってしまう。

藤宮君は深い深い溜め息を吐いた。


「俺、俺には…。好きな人がいるんだ。ずっと、昔に会った子なんだけど…。

信じられない、よね」


シュンと項垂れる藤宮君。クソッ、可愛い。


「そんな事、ない、と思います…」


だって、それヒロインの桔梗ちゃんでしょ?

それを否定したら、私本物の悪役令嬢じゃない。


「あ…、でもなら何故私と婚約を…?」


「俺はその子の事分からなかったし、気づかないうちに婚約が決まっていたんだ」


教えてやりたい。それは、神楽坂桔梗ちゃん(多分)なんですよ、と。

でも、ストーリーを見るには、しょうがないことなんだ。

ごめんなさい藤宮君…。


「じゃあどうやって婚約破棄すればいいか考えましょう」


「そうだね」


「あ、俺もそれに参加していいか?」


萩野君がニコニコと訊く。

眩しくて、目を細める。周りにいた女子達も倒れた。

え?倒れた?

こわっ。スマイル殺人。


「私は、いいですけど…」


「俺も。要は計算が得意だから、役に立つかも」


へぇ…。裏設定なのかな?

それともゲームには出てたのかな?

やっぱり、このゲームしたかった~!!


「百合さん?」


「…はっ!」


変な次元に行っていた。

危ない危ない。


「じゃあ、今日から婚約者(仮)よろしくね」


「はいっ!」


こうして私と藤宮君、萩野君の婚約破棄計画が始まった。


新たな攻略対象の登場です!

ヒロインも、もうすぐ出てきます。

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