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レヴェネイター  謎多き魔法探偵と霊量士(クォルタード)の活動録  作者: トッキー
第1部 邪神復活事案 レヴェネイターズ始動!
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第43話 犯人は魔界絡み?


「がは、ぐ……貴様……っ!ソロン様……に、栄光あれぇえいい、っ」


「やめておけ、ヴィダールの神柱は貴方たち程度で操れるものではない」


「ヴィダール……!何だか知らん、が、俺は、俺っ!うぐっ、」


「っ、様子がおかしいな、どういうことだ」


 ソロン、正確にはソロモティクスと呼ばれるヴィダールの神柱が存在する。かつて女神ソラから行方をくらませていた地神の1柱でもあり、女神代行としての仕事の1つとして、失踪した神々の捜索と回収を任されているという。


 だがハーネイトは2つ違和感を覚えていた。そもそもソロンはどこにいるのかということと、死霊騎士を操る存在は神柱を利用して何を成そうとしているのかが腑に落ちなかったのであった。


「魔界にて、ソロン様は……っ、力を欲している。力を集めれば、元の力を得る。そうすれば、魔界は元に戻る、それだけ、ではっ、うぐっ、俺は何を……」


「えっ、失踪した私の上司たちって、操られているの?どういうこと……?」


「ほう、それは興味深い話だ。魔界の住民か何かか?それを望んでいるのは」


「ぬぐぅう、はあ、はあ……そうだ、魔界、復興同盟、だ」


 最後にそう言い残すと、ザイハムはすっとその場から姿を消したのであった。


 魔界復興同盟というキーワードを死霊騎士からも手に入れたハーネイトと伯爵は、これで1つ、調査すべき対象を把握することができたのであった。


 幸い、10名近く彼らは魔界の住民も仲間にしているため、その組織が何者なのか知るのは比較的容易いと踏んでいた。


 そのやり取りを終始見ていた勝也はハーネイトに堂々と詰め寄り、何者なのかを問い正す。九龍は止めようとするが、頭に血が上っていた彼を止められずにいた。


「おいてめえ、何者なんだ!」


「口が悪いな、だがいいだろう。私はハーネイト。……しがない探偵さ」


 それに対しハーネイトは余裕のある大人の対応で軽く説明するが、当然勝也は納得しておらずさらに食い掛る。


「あぁ?今のどこが探偵なんだよ、只者じゃねえだろてめえ!」


「まあ、そう言われても仕方ないがな。何でも屋にかなり近いのでね」


 五丈厳はその後もハーネイトに質問をぶつけまくった。その間に彩音は倒れていた文香を背負い、戸惑う九龍に声をかけた。


「てか、鮮那美って一番の乱暴者と友達だったのねえ、知らなかったわ」


「びっくりだわ、こわーい!」


「彩音、間城!何か文句あんのか!ったくよぉ、またこんなところに引きずり込まれるとか、ついてねえな」


「それは、そのとおりね。でも那美ちゃんも璃里ちゃん同様、これでこっちの仲間かしら?」


「じゃあよろしく頼むぜ、彩音。俺はやる気だぜぇ!」


「九龍さんと五丈厳君、そう言えば2人ともあの時の被害者だったしな。てことはまだ増えるよな……能力者」


 時枝は九龍と彩音、間城の3人のやり取りを傍観しつつある懸念を抱いていた。まだ能力者が増えていくのではないか、そう思うと賑やかになる半面、事態が深刻な状態だなと理解していた。


「ちっ、それじゃ何なんだこいつらは。同じ学校の同学年じゃねえかよ。何であいつらも戦ってんだ、ああ?」


 その間にも勝也は大分頭が冷えてきたのか、最後に気になっていたことをハーネイトに質問する。


「ある凶悪で危険な事件に関して、調査や捜査を協力してもらっている。その中で、戦闘術を教えているのだ」


「そう、かい。ちっ、ったくよ。俺はこういう場所は嫌いなんでな。さっさとここ出るぞ!」


状況がいまいち受け入れられずイライラしていた五丈厳はここから早く出ようと進言するもハーネイトは九龍も含め2人に声をかける。


「確かにそうだが、その彩音が背負っている女の子を病院に運んだらそこの2人、ホテル・ザ・ハルバナまで来て頂こう。話がある」


「ケッ、……仕方ねえ。色々はっきりさせてえことがあるしな」


「分かったよ、ハーネイトさん。……それと、ありがと、な」


 五丈厳はもやもやしている状態をぶっ飛ばしてえと言い、九龍は助けてもらったお礼をしてホテルに行くことを告げる。


 最後にハーネイトは、地面で横になり苦しそうにしているモルガレッタに簡易的な治療を施しつつ話しかける。


「あと、そこの仮面騎士さん?ゼノンに連絡をしてきてもらうからそこで待っていなさい」


「もう来たわよ。アストレアもついて来たけど」


 ハーネイトはゼノンたちに連絡をしたがあっという間に現れ、アストレアと共に倒れた彼女を介抱する。


「全く、何をしているんだモルガレッタ!囮になって敵をおびき寄せるとか、愚か者がぁ!」


「あー待て待て、彼女も何か考えがあったのだろう。おかげで敵の素性が少しわかった」


 アストレアはきつい言葉をモルガレッタに浴びせるが、ハーネイトはそれを止める。それから少し間をおいて、ゼノンたちと共に異界空間内の調査をしてほしいと頼み込んだ。


「モルガレッタさん、ゼノンさんたちと共に調査の協力をお願いします」


「了解した。ヴァストロー総隊長が認める男なら文句はない。また会おう」


「ご迷惑をおかけいたしましたハーネイトさん」


「全く、それよりもこちらも急いでいるのでまたな」


 こうして行方が分からない仮面騎士たちは残り2人となり、ゼノンはハーネイトたちに一礼し謝罪してからその場を去ったのであった。


 その後ハーネイトは全員に亀裂の外に出るように指示し案内する。亀裂から脱出した後は大和に連絡をし春花記念病院まで送ってもらうように要請してしばし待機していた。


 すると少しして大和のワゴン車が到着し、ハーネイトと伯爵以外を座席に載せて、車の天井に2人が張り付きホテルまで走り出し春花記念病院まで文香を搬送したのであった。すぐに先に連絡を受けた京子らが対応に当たり文香は少しの間入院することになった。


 大和はそれらの対応を手早く済ませてから車に戻り今度は伯爵だけ車の天井でくつろぐように居座りまで運んでもらったのであった。


 ホテルの地下駐車場に車を止めた大和は、ハーネイトらとともに事務室まで移動し文香の状態について話をした。

 

「文香さんか、病院に運んだが君たちのおかげで大事には至らなかったようだ」


「よかったぜ、文香……」


「フン……まあいい。死なれちゃ気分悪いからな。全く、酷い目に遭ったぜ」


 ハーネイトたちは大和の報告を聞いて安堵していた。九龍は気丈にふるまうも泣きそうにしていた。


 また五丈厳も言い方は悪いが文香が無事でよかったと思っていた。その間に2人はそれぞれ具現霊と短い会話を交わしていた。


「父さん……ずっと俺の傍にいたんだな。気付けなくて……」


「鮮那美、お前にはもっと強くなってもらわないといけない。分かっているだろう、今何が起きているか」


「ああ、父さん」


 九龍はマスラオとなった父に、これからやるべきこととそれに向かう決意を示した。


「スサノオ……本当に隼人なんだな?」


「……そうだ、全く粗暴なところは昔から変わらないな。昔通り、あだ名で呼んでくれ」


「ケッ、んでどうするんだお前は」


「お前と一緒にあの化け物たちを倒す。みんな知らないだろうが、あの矢田神事件と同じことが他の地域でも起きていたんだしな。勝也、戦うしかねえよ」


 2人はそれぞれ具現霊と心をかわし、やるべきことが何かを再確認した。2人を静かにみていたハーネイトは少し微笑んでいた。自分で淹れた紅茶を飲みながら、彼は二人に対し話を続けた。

 

「君たちも災難続きだな」


「つーか手前らなんなんだよ、あーもうイラつくぜ。ホテルの専属探偵とか抜かしてやがるが、ぜってえ裏に何かあるだろ、ああ?」


「なあ兄貴、俺たちも戦える力を手に入れたんだ、仲間に加えてくれよ」


「……確かにそれは認める。実際すごい力だったしな。だが……うん」


 勝也はハーネイトに対し敵対心をかなり向けていた。どうも彼は隠し事や卑怯なことが好きではない性分らしい。そう分析しつつハーネイトは2人の素質の高さは評価していた。


 だがしかしそろそろ自分と伯爵だけで彼らに技術を教えるのがきつくなってきたと感じていた。


「なあ九龍。矢田神村の話覚えてっか?」


「彩音たちから聞いたことあるけどさ、どうしたの」


「俺のダチ公、さっき戦ったような化け物に襲われて死んだんだぜ……」


「あの村以外でも被害が出ていたか」


 ハーネイトは九龍と五丈厳のやり取りを見ながら、魂食獣による被害が思った以上に出ていることを理解し、他の地域での調査も早急に実施しなければならないと考えていた。


「俺は面倒だが、この俺と似たやつにマブダチの魂が宿っている以上やるしかねえよなあと」


「そうか……申し訳ない、私たちがもっと早くここに来ることができれば」


 自分たちにも非常に重要な案件があったため中々異界に足を踏み入れることができなかったがそれでも、無理を押してでも早く調査すべきだったなとハーネイトと伯爵は謝りながらそう考えていたが、五丈厳はそれを気にはしていなかった。


「フン、んなことどうでもいい。それよりだ、あの化け物たちを倒しまくる。前だけ見て俺は生きる!スサノオも、同じことを言っている。仕方ねえ、手伝ってやるよ探偵さんよぉ!」


「強いんだな……わかった。では、これから協力して頂こうかね」


 九龍も五丈厳も、意志が揺らぐことはなかった。ハーネイトたちは彼らを仲間として認める判断をした。一通り話が終わったのを見た間城は、ホテルの中を探検した感想を述べる。


「それにしても立派な事務所よね。温泉も入りたい放題だしうらやましいなあ」


「皆さん、いつでもいらしてくださいな。いつでもお待ちしております」


「さっすが亜里沙さん!」


「間城、はしゃぐのもほどほどにしろ」


 無邪気な子供のようにはしゃぐ彼女を時枝は注意した。しかし彼もまた顔には出してはいなかったがホテルと事務所についてかなり興味を抱いて興奮していた。


「それは真司の方でしょ?ったく、意外とおこちゃまなんだから」


「何を!」


「2人とも、あとで好きにしていいから少しあれね」


「すみませんハーネイトさん」


 結局2人はハーネイトに注意され、九龍と五丈厳以外は自由にしていていいと指示した。


「ふう、とりあえず勝也と九龍はそこのソファーに座ってくれ。他のみんなは自由にしていてくれ」


「では一旦家に戻ります先生」


「んじゃ俺もな」


 そうして響たちが部屋を出た後、ハーネイトは再度2人に対して、これからどうするかを確認したのであった。


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