表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サクラサケ!  作者: tkkosa
3/12

第2話



 ジリリリリ、ジリリリリ(6時半、目覚ましの音)。

「あ〜、1日ぐらい寝かしてくれようっ(そういうわけにはいきませんよ)」

 ジリリリリ、ジリリリリ(さくらさん、鳴ってますよ)。

 そんな言うなら、そっちが止めてよ(それじゃ、さくらさんが起きないでしょ)。

 えぇいっ、カチャッ(反動をつけて身体を起こし、目覚ましを解除)。

 あぁあ、このまま眠ったら、すっげぇ気持ちいいんだろうな(その代わり、地獄のよう

な現実が後で叩きつけられますけど)。

 と、言いますと(会社に遅刻して平謝りして、さくらさんの天敵・富士誉にグチグチ言

われるんですよ)。

 そうか〜、ん〜、カチッ(睡眠の快楽と非情な現実を天秤にかけて、現実が勝ったの図)。

 起きます、起こさせていただきますっ(分かっていただけて、よかったです)。

 ふわぁ〜あ、面倒っちぃな(あくびはいいけど、口広げすぎですよ)。

 頭ポリポリ、お腹ポリポリ、お尻ポリポリ(だらしなさ、全開っすね)。

 分かったよ、準備するから・・・はいっ、終了(あっ、いつのまにタイムワープをっ)。

 へへぇんだ、使えるもんは最大限に使わせてもらうんだよっ(人が目をはなしてる隙

に・・・・・・)。

 朝食はあいかわらずの牛乳とヨーグルト・・・あっ、牛乳がないっ(あらっ、大変)。

 なんで牛乳がないの、お前が飲んだのかっ(私じゃないですって、昨日、一昨日、帰り

がけに酒しか買わなかったからでしょ)。

 くそっ、飲み物がないじゃないか(ワンカップが冷蔵庫に残ってましたよ)。

 朝っぱらから呑めっつうのか、キャサリン(冗談ですって、それにキャサリンじゃない

んですけど)。

 あぁ、作者さん、牧場で採れたてを取ってきて(どうして、牧場まで話が飛んでるんで

すか)。

 今日はサービスしときますから、チラッ(むっ、そんなセクシー路線できても無理です

よ)。

 私の露出で堕ちないなんて・・・アンタと高田純次ぐらいだよ(いや、高田純次は10

0%堕ちますよ)。

 ホントっ、自信持ってもいいのかな(うん、キレイですよ、さくらさん)。

 じゃあ・・・チラッ(だから、堕ちませんって)。

 なんでよ、キレイって言ってくれたじゃん(それとこれとは話が別です)。

 それじゃ、私はどうやって牛乳を飲めばいいのよ(コンビニで買ってけばいいんじゃ)。

 ・・・・・・あっ、そんな初歩的な答えだったんだ(えっ、まさか気づいてなかったん

ですか)。

 いや〜、ごめん、ごめん(勘弁してくださいよ、さくらさん)。

 おわびじゃないですけど、今日のファッションをご紹介いたします(ピーコさん、植松

さん、よろしくね)。

 フリル付きのホワイトのボレロブラウス、サマーグリーンのエアリースカートを合わせ

てみました。髪をこうしてポニーテールで結ってみれば、ほらっ、イケてませんかっ(う

ん、かわいい、かわいい)。

 あっ、カメラ目線で〜す(目線、いただきましたっ)。

 そういうわけで、いってきま〜す(あれ、うまく交わされた気がする)。

 それいけ、チャンチャカチャンチャンチャン(さくらさん、お江戸の商人っぽい)。

「あっ、宮前さん、おはようございます」

 その声は管理人さん、またまた今日もちゃんちゃんこでお掃除中ですね(でもね、毎日

さくらさんに付き合わされて少々めいってますよ)。

「おはようございます、いってきます」

 さくらさん、またまたとっても自然な笑顔中。

 いや〜、いいですね、管理人さんの笑顔は。ほのぼの度を計測したら、100%を叩き

出すであろうこと間違いなしっ(当の本人はいたって無責任)。

「いってらっしゃい」

 管理人さん、またまたさくらより一枚上手な笑顔中(でも、心のどこかにモヤモヤした

ものを抱えてるのも事実)。

 そして、さくらさんは通勤開始。



「も〜、なんばしよっとっ(これ、どんどん変化してくんですかね)」

 今日も朝から電車の中で押し合いへし合いです、おしゃれしたのにシワになっちゃうよ。

会社に着くまでに疲れちゃうんだよなぁ、そんな毎日、さくらです(もう、自己紹介はい

いんじゃ・・・・・・)。

 こんなのも毎日続くとめげてきちゃうんだよ、ちょっと応援してくださいな(フレー、

フレー、さーくーらっ)。

 もういっちょ、くださいな(頑張れ、頑張れ、さーくーらっ)。

 元気出てきました、ありがとぉ(いえ、いえ、どういたしまして)。

 ねぇ、「どういたしまして」ってさ、「ユー・アー・ウェルカム」って言うんだよ(知っ

てますよ、そんぐらい)。

 えっ、なんで知ってるの(中高生で習いますよ、それ)。

 でもさ、でもさ、中高生で習う素因数分解とか不定積分とか、もう分からないでしょ(は

い、確かに)。

 そういうことですよ(どういうことですか、一体・・・なんか、言ったまんまで逃げる

の多いですよ)。

 そっ、そっ、そっ、そんな、そんなことない、ないで、ですよ(めちゃめちゃ、動揺し

てるじゃないですか)。

 ったくもう、うるせえなぁ(立ち直り、早すぎるでしょ・・・・・・)。

 こんなとこで油を売ってる暇ないんですよ(暇って言ってたじゃないですか、暇つぶし

の方法を探してたでしょ)。

 んもうっ、そんなに責めないでくださいよ(あぁ、これはごめんなさい)。

 女の子にそんなつけこんで恥ずかしくないんですか(恥ずかしくはないですけど・・・

まぁ、すいません)。

 あっ、そんなことしてる間に終点だ(言い合いしてるうちに終わっちゃいましたね)。

 言い合いもしてみるもんですね(いや、もう結構です)。

 そんなこと言わずに〜、今後もよろしくお願いしますよ(もしかして、これを暇つぶし

にしようとしてませんか)。

 ドキッ、そんなことないですよ(そうなんですね、さくらさん)。

 どっ、どうして、分かったんですか(誰でも分かりますって)。

 えっ、完璧に隠してたはずなのに(どの口が言いますか)。

 また、次の機会にしてくださいな、バイビー(自分勝手ですね、ホントに・・・・・・)。



 そして、いつの間にだか、こちらはフロートアップAチームのデスク(お得意のタイム

ワープ)。

 ヒーローショーまで1週間、そろそろ私たちも追い込みに入る頃です。

 今回に関しては、企画内容が事前にあったので楽っちゃ楽です。他のメンバー、Bチー

ム、Cチームの手伝いにまわれるぐらいの余裕はアリ。

 今日の私といえば、富士と当日の会場整理を担当する会社へ打ち合わせに行くのです。

私たちが来場者担当とはいえ、1000人収容の広場を2人で整理するなんて到底無理。

 1人で500人っすよ、聖徳太子の50倍、そして私にそれだけの度量はないのだ、エ

ッヘン(そんな偉そうに言うことじゃ・・・・・・)。

 なので、来場者の整理は他の専門のところへ依頼して、私たちは当日の現場の統括を担

うってところでごぜえますだ(おかしいですよ、語尾)。

 フロートアップから外出すると、そこからはイヤ〜な富士との2ショットタイム。

「その服、どこで買ったの」

「どこって・・・青山だけど」

「ふぅん」

 ふぅんって、クールっぽくキメてるよ、この野郎。別に私がどこで洋服買おうと関係な

いでしょ、アンタに。

「ふぅんって、何が言いたいのよ」

「いや、そういう服も着るんだなって思って」

 なんだ、スカートが似合わないって言いたいのか、おいっ。そりゃ、仕事上、パンツが

多いけど、私だってこんなヒラヒラしたスカートだって着るんだよ。

「気色悪い、とか言いたいんでしょ」

「いや、よく似合ってるよ」

 えっ、どういうこと(さくらの頭、速度を上げて回転中)。

 なんで、そんな素直にほめるのよ、私のことを。気色悪いって返されて、その次に言い

返す言葉を探してたのに。

「今日、やけに素直じゃん」

「なんで、俺はいつも素直だけど」

「だって、いつもは私のこと嫌みたいに言ってるじゃん」

「だから、素直なんじゃん」

 ・・・・・・やっぱり、嫌なやつだ。ほめてくれたのは嬉しいが、それ以上にムカつく

よ。家族でごはん食べてるとき、後の楽しみに取っておいた好物を取られるぐらいムカつ

くよ(じゃ、かなりムカついてるんですね)。

 分かってくれるか、キャサリン(だから、キャサリンじゃないですって)。


 相手先の会社との打ち合わせも順調に終わり、これから私たちは・・・グ〜ッ(油断し

てお腹が鳴ってしまったの図)。

「よく鳴んなぁ、お前の太っ腹」

「太っ腹じゃないわよ、ペッタンコよ」

 ねぇ、作者さん(いや、ペッタンコではないですよ)。

 そんなわけないがな・・・プニプニ、ホンマやっ(とうとう、ノリツッコミを覚えまし

たか・・・・・・)。

「昼ごはんにするか、どこに行く」

「富士、今日おごってよ」

「はっ、なんで、俺がお前におごんなきゃなんないの」

「今月ピンチなの、人助けだと思っておごってみない」

「そんな善い単語にしたって無理だって、お前に使う金なんかねぇよ」

 くそっ、男なんだから乙女に優しくしろっつうの(乙女はそんな言葉遣いしないと思い

ますけど)。

 給料日まで10日あるんだから、このペースはまずいんすよ(一体、何に使っちゃった

んですか)。

 使ったっていうか、友達と1泊2日の韓国旅行に行きまして(おっ、いいじゃないです

か)。

 折角だから良いもん食べようって、ちょっと高めのお店に行っちゃったり(ふん、ふん)。

 あっ、ヨン様は見なかったですよ(そりゃ、そうでしょうよ)。

 旅行費もかかるし、お土産もいろいろ買ったし、夜な夜な遊び続けてたし、野沢温泉の

イベントでもお土産いろいろ買ったし、みたいな(総括すると、自分のせいってことです

ね)。

 そんなこと言わず、私が万馬券を当てるってストーリーを入れてはくれませんか(絶対

しませんよ、そんなこと)。

 じゃあ、作者さん、お金ちょうだい(あなたにあげるお金はありません)。

 ちぇっ、ケチンボ(何とでも言ってくださいよ)。

 バカちん、アンポンタン、人でなし、人殺し(・・・・・・私が何をしたって言うんで

すか)。

「いいじゃん、富士の悩みを聞いてあげるから」

「悩みがあっても、お前だけには話したくない」

「なんでよ、大爆笑してあげるから」

「ふざけんな、お前」

 結局、さくらの「そんなこと言いながら、どうせおごってくれるんでしょ作戦」の末、

富士は敗北(可哀相に、富士)。

 洋食店で食べた昼食は富士がハヤシライス、さくらは富士よりも高いビーフシチューを

オーダー(鬼だ、こいつ・・・・・・)。

 鬼とか言うな、人だっ(おごってもらう側の方が高いの頼むとかナシですって)。

 いいんですよ、私のお金じゃないんだから(ぶん殴ってやりたい、こいつ・・・・・・)。

 殴れるもんなら、殴ってみなさいよ(殴れないって知ってて言ってるでしょ)。

 言っときますけど、女性に手を上げるなんて最低ですからね(それを武器にして何でも

する人はもっと最低ですけどね)。

 言ったでしょ、使えるもんは最大限使うって(・・・・・・この先が思いやられますよ)。

 そんな、なんだかんだ言って、私のことがかわいいんでしょ(かわいいとき、かわいく

ないとき、それぞれです)。

 許してくださいな、これからはかわいくなるように気をつけ・・・モグモグ(そんな気、

ないでしょ)。

「あっ、おごってもらったからさ、富士の悩み聞いてあげる」

「お前に話す悩みなんか、ねぇよ」

「いいんだよ、遠慮しなくっても(いや、遠慮はしてないと思いますけど)。そうだ、この

前言ってた彼女とはうまいこといってるの」

「・・・・・・いってないよ」

 ・・・・・・うまくいってないんだ、彼女と。まぁ、富士の性格からすれば納得だけど

ね・・・モグモグ(おごってもらっといて、ひどい)。

「どうして、うまくいってないの」

「元々は向こうから告られて始まったから・・・こっちの気がそんなに高まんないんだよ

な」

「それは、今後高まる見込みはないの」

「向こうの押しが強くて、こっちの気持ちと釣り合いが取れてないんだよ」

 なるへそ、彼女の方が富士を好きすぎてるのか・・・見る目がないな(言いすぎ、言い

すぎ)。

 富士はそこまで好きじゃなさそうだし、これは続きそうにないな。

「富士にその気がないんなら、ちゃんと言ってあげた方がいいと思うよ。このまま長続き

させても、それだけ彼女のこと苦しませるんだからね」

「・・・・・・分かった」

 んっ、今日はやけに人の言うこと聞くな。

 調子狂うんだよなぁ、富士が突っかかってこないと(これを見習って、さくらさんも素

直にいきましょう)。

 分かりましたよ、ちょっと待っててくださいね(おっ、やっとその気になってくれまし

たか)。

 テクマクマヤコン、テクマクマヤコン、素直にな〜れ(魔法の力まで借りないとなれな

いんですか・・・・・・)。

 ほらっ、作者様、もう良家の御令嬢ぐらいになりましたわよ、オホホホホ(若干、気持

ち悪いっすね)。

 こらっ、気持ち悪いとか言うな(あっ、やっぱ、直ってない)。

 やっべ、バレたじゃねぇかよ(いいんですよ、予想はつきましたから)。


          ☆


 ところかわりまして、こちらは宮前さんの自宅のあるマンションの101号室です。

 ただ今の時刻は19時、そろそろでしょうか、あの忌まわしい時間が訪れるのは。

 お気づきの通り、丹乍幸四郎です、このマンションの管理人をしています(今日もこの

時間が来てしまいましたね)。

 はい、この1週間、彼女のおかげで1人で過ごせる有意義な時間が極端に減ってしまい

ました。最初の日、これからも来てもいいと言ったら、毎日来るようになってしまいまし

て(なんで、言っちゃったですか)。

 だって、まさか、毎日来るなんて思ってないでしょう(来るんですよ、あの子は)。

 作者さんからも彼女に一言、言ってもらえませんかね(いや、聞かないですよ、多分)。

 ピンポーン、ピンポーン(恒例になった、夜に響く101号室のインターホン)。

 あぁ、今日も来てしまった(ちなみに、ダースベーダーのBGMが流れています)。

 スタスタ、ガチャッ(開けたくないのが本心だけど、しょうがないから玄関を開けるの

図)。

「こんばんは、管理人さん」

 宮前さん、やっぱり来てしまったんですね。

 あれっ、今日はコンビニの袋を提げていない(もっ、もしや)。

 今日は飲みに来たわけじゃないということでしょうか(やりましたね、管理人さん)。

「こんばんは、何かありましたか」

「フフフ、今日も飲みに来させてもらいましたっ」

 やっぱり、そうなのか・・・・・・(管理人さんに射した一筋の光は瞬間的なものでしか

なかった・・・・・・)。

 じゃあ、レジ袋を持っていないのはどうしてなんだ(そう、そうですよね)。

 おじゃましま〜す、ズケズケズケ(もはや、当然のように部屋に上がっていくさくら)。

 やれやれ、ズケズケズケ(もはや、当然のように部屋に上がられていく幸四郎)。

「今日はお酒を持参してはいないんですね」

「はい、実は金欠になってしまって無駄遣いできないんですよ」

 タッタカタ〜、ガチャッ(弾むような足取りで冷蔵庫を開ける)。

「ジャンジャジャ〜ン、実は昨日冷蔵庫を開けたとき、10本パックのビールが入ってた

のを覚えてたんです(相変わらずの目ざとさ)」

「そっ、それは・・・・・・(1人で感慨にふけりながら飲む、至福の一時のための管理人

さんビール)」

「10本あるから、私が7本、管理人さんが3本でいいですよね(どっから、そんな計算

が出てくるんですか)」

 プシュッ、乾杯、コツン(缶ビールでの乾杯、さくらには至福の時間、幸四郎には地獄

の時間がスタートです)。

 別に苦痛ということはないのですが、私の時間が奪われてると思うと損をしてる気分に

なってしまうのです(なるほど)。

 私はどうすればいいのでしょうか、このままでは毎日彼女はここにやってきます(まぁ、

そうでしょうね)。

 こうした時間を楽しめるように努力する方がいいのでしょうか(それか、来て欲しくな

いと言ってしまうか)。

 いやぁ、それはさすがに言えませんよ(キャラがキャラだけにね)。

 宮前さんに悪気はありませんし、彼女を傷つけるのもしたくありませんし(じゃあ、こ

の状況に慣れるしかなさそうですね)。

 そうですね、少しずつ前向きに検討していきたいと思います(うん、頑張ってください

ね)。

「宮前さん、会社ではどういう仕事をしてるんですか」

「雑用ですよ、面倒くさいことを押しつけられる役どころです。やれコピー、やれコーヒ

ー入れろ、やれ何々の準備、そんなのばっかです。でも、基本的に先輩たちは良い人たち

ばかりで助かってます。上にいる2人のおかげですね、リーダーの紀子さんは私みたいな

下っ端でもチームの一角として見てくれてるし、サブリーダーの佐渡さんは「ミスしても

構わないから、お前らのやりたいようにやれ」って言ってくれる人なんです」

「ふぅん、とっても良い職場に恵まれてるんですね」

「はい、本当に富士以外は素敵な人たちなんですよ」

「その、富士って人は相変わらずなんですか」

「それがね、彼女とうまくいってないみたいなんです、ざまぁみろですよ(こいつ、やっ

ぱり悪魔だ・・・・・・)。日頃の行いが悪いんですよ、きっと(と言ってる本人、彼氏な

し)。今日なんか、私に素直にポロポロそんなこと話してくるんですよ(確か、あなたから

聞いたんじゃ)。弱ってるんでしょうね、慰めてなんかあげませんけど」

「相談に乗ってあげたらどうでしょう、気が進まないかもしれませんが一緒にやっている

仲間でしょう」

「ええぇ、富士の相談に乗るぐらいなら、妻夫木聡の相談に乗る方がいいですよ(そりゃ、

誰でもそうだろうに)」

「でも、ここで恩を作っておけば、後々で見返りがあるかもしれませんよ(言い方を変え

てみた幸四郎)」

「・・・・・・確かに(簡単に乗っかるさくら)」

 そんな話をしてるうち、宮前さんは6本、私は3本の缶ビールを空けました。残りの1

本は、「管理人さんが夜中に飲みたくなったら用」と宮前さんが残していきました(その優

しさがあるなら、6本も飲むことを変えられないのだろうか)。

 先ほどの通り、私も宮前さんとのこの時間を有意義と位置づけられるように努力してい

こうと思います(頑張ってくださいね)。

 まぁ、宮前さんも明るくて良い方なので、そのうちに慣れていけるとは思います。

 では、今日はこのへんで、失礼させていただきます(消灯、パチッ)。


           ☆


 まずい、まずい、まず〜いっ(青汁でも飲んだんですか、さくらさん)。

 ゴックン、まずいっ、もう一杯、アホかっ(わざわざ、やっていただかなくても・・・

急いでるんでしょ)。

 そうですよっ、こんなことしてる場合じゃないの(寝坊しちゃったんですよね、熟睡し

てたもん)。

 知ってるんなら起こしてよ、もうっ(私はいないもんだと思ってください)。

 いるんだからいいじゃん、ところで誰なのさ(そのへん、うやむやでお願いします)。

 そんなこと言いながら、もう何回も「作者さん」で返答してるじゃん(「作者さん」兼、

天の声ってことで)。

 了解です、って時間取らせないでよ(あっ、すいません)。

 えぇい、超特急モードオン、シュパパッ(高速で物事をやり終えていくの図)。

 そんじゃ、いってらっしゃいっ(いってきます、でしょ)。

 ていっ、タッタカタ〜ッ(階段、二段飛ばし)。

「宮前さん、おはようございます」

「おはようございますっ(いつもの和やかな挨拶をしようとした管理人さんに「それどこ

ろじゃない」慌しさで挨拶だけ言い置くさくら)」

 ごめんね、管理人さん、帰ってきたら仲良く飲みましょ〜(それを管理人さんが望んで

るかどうかは別ですけど)。

 早くしないと、遅れちゃうよ〜(あっ、聞いてない)。

 走り出す、宮前さくら、美しい(友蔵、心の俳句・・・って、本当は余裕あるでしょ)。



 ガタンゴトン、よかった、ガタンゴトン(だから、入れるところ違ってますよ)。

 いつもよりかは遅いけど、なんとかギリで間に合う電車に乗れました(よかったですね、

さくらさん)。

 えぇ、これも作者さんのおかげですよ・・・って、何もしてないじゃんかよ(勝手に怒

らないでもらえますか)。

 じゃ、今日は何について話しましょうか(暇つぶし、結局それになっちゃったんですか)。

 いいじゃないですか、なんだかんだで作者さんとのやりとり好きなんです(それは嬉し

いですね、どうも)。

 お世辞だっつうの、アハハ(・・・・・・殴ってやりたい、やっぱり)。

 ウソ、ウソ、ホントに気に入ってますよ(こっちは複雑です、なんだか)。

 作者さん、懐メロ聴くって言ってたでしょ(はい、たまに)。

 今日の話題はそれにしましょう、ねっ(いいですよ、ちなみにさくらさんにとっての懐

メロってどこらへんですか)。

 私ですか、そうですね・・・普通に聴くようになったのはミスチルやスピッツあたりで

す(じゃ、それよりも前の時代ってことで)。

 なんか、良い曲ありますかね(うぅん、この時期ですからねぇ・・・夏の日の1993、

とか)。

 ほぉ、どういった曲なんざんしょ(1993、恋をした〜、Oh、君に夢中、普通の女

と思ってい〜たけれ〜ど)。

 けれど、ニューハーフだったとか(そういうことじゃないですって、そんなの売れない

でしょ)。

 アハハ、他にはありますかね(もういいです、どうせボケかますんでしょ)。

 怒んないでくださいって、きっと良いことありますよ(なんで、あなたに慰められてる

んですか)。

 大丈夫ですって、気にしない、気にしない(そんな、何の根拠もない「大丈夫」に効き

目なんてないですからね)。

 私が景気づけに歌ってあげます、十八番です、チェリー(んっ、なぜメロディーが流れ

出すんだっ)。

 愛して〜る〜の響き〜だけ〜で、強く〜なれ〜る〜気〜がしたよ(本意気で歌うんすか、

一応満員電車ですよ)。

 作者さん、愛してるっ(あっ、なんか強くなれる気がしたっ)。

 元気ついたでしょ、私のおかげで(元気をなくしたのも、あなたのせいですけどね)。

 過去とか振り返らないの、みみっちぃな(尤もなこと言ってますけど、それだけですよ)。

 いつの時にも前を向いて歩きなさい、って誰かが言ってましたよ(その「誰か」を言っ

てよ・・・・・・)。

 うぅんとね、オダギリジョー(適当に言わないでください)。

 あっ、終点だ、今日はこのへんで(絶対、良い様に利用されてる気がする・・・・・・)。



 ってなわけで、到着でございます(あれ、ここ遊園地ですよ)。

 実は今日がヒーローショー当日なので、現地集合となっているわけです(あぁ、いよい

よ本番ですか)。

 そうなんです、当日は緊張もありますが何より楽しさが一番にくるんですよ(エンター

テイメント性の強さですもんね)。

 ほらっ、会場設営も完璧ですよ(突撃セインダー、スペシャルショー、って書いてあり

ますね)。

 えぇ、一体、何がスペシャルなんだかさっぱりですけど(運営側がそんなこと言ってい

いんですか・・・・・・)。

 いいんですって、要は来てくれる人たちが喜んでくれれば(究極を言いましたね、さく

らさん)。

「あっ、宮前さん、おはよう」

「あっ、絵里奈さん、おはようございます」

 絵里奈さん、今日も綺麗な顔して素敵な微笑みです(誰かさんとは違ってね)。

 てめぇ、なんか言ったか、コラっ(目がすわってます&言葉遣いが汚くなってますよ)。

 てめぇ様、なんかお言いになりましたんか、コラっですわ(そんな無理やりな丁寧言葉、

いりませんって)。

「4回公演だから朝早いよね、眠くてしょうがないよ、今日ちゃんと起きれた」

「えぇ、もちろん、仕事ですからね(大嘘つき・・・・・・)」

「宮前さんは来場者担当だから大変だね、私は出演者担当だから結構余裕ありそうだけど」

「でも、やりがいがある方がいいですから(ガッツポーズ、キメっ)」

「いいな、その元気うらやましい。私の今日の楽しみは、ショーに出る俳優さんと接する

機会があることぐらいだからね」

 そうか、ショーをやるってことは突撃戦隊セインダーに出てる役者さんたちも来るのか

(なぜ、それを当日に知るんですか)。

 いいな、誰が来るんだろう(私には分かりませんけど、ヒーローものはイケメンが多い

ですよね)。

 イケメン、マジっすか(あっ、何かに火をつけてしまった気が・・・・・・)。

 いいな、絵里奈さん、代わってくんないかな(さっき、やりがいがある方がいいって言

ったばっかでしょ)。

 そんなこと、言ってませんよ(無かったことにするんですか・・・でも、文字で残って

るから無理ですよ)。

「おい、何やってんだよ」

 むっ、富士か、こんにゃろめ(まだ、何もしてないのにケンカごし)。

 もうスタジャンに着替えてる・・・ダセぇな、プププ(さくらさんも着るんですよ)。

 心配無用、私の魅惑のプロポーションなら格好よく着こなせること間違いなしです(い

いから、さっさと着替えてください)。

 無視かよ、ブー、ブー(ブーブー言わないの)。

 いいですよ〜だっ、ほらっ、着替えましたよ(あっ、意外に似合ってますよ)。

 スタジャン似合うって言われても複雑なんですけど(似合わないって言っても文句言う

くせに)。

「行くぞ、もぉ時間になるぞ」

「ふわぁあ、ったく、眠いんだよな〜(さくら、あくび全開の図)」

「眠いのなんて全員同じだろうが、別に寝たいんだったら寝てもいいけど」

「やりますよ、やらせていただきますよっ」

 あぁあ、朝も8時から富士と言い合いなんかしたくないんだよなぁ(じゃあ、しなきゃ

いいのに)。

 知ってますか、今日は日曜日なんですよ(はい、もちろん)。

 いつもなら熟睡してる時間ですよ、それが何が悲しくて早起きしなきゃいけないんです

か(しょうがないでしょ、ヒーローショーなんて土日にやるもんなんだから)。

 あっ、テレビ局の人だっ、おはようございま〜す(あれっ、やけに笑顔じゃないですか)。

 だって、もしかしたら、スカウトされるかもしんないでしょ(いや、されるなら絵里奈

さんでしょ)。

 モデルデビューして、SEVENTEENでトップになって、女優に転向しちゃったり

して(あっ、勝手に妄想まっしぐらしてる)。

 CMにも出て、チャルメラをたっくさん送ってもらおうっ(なんでまた、そこピンポイ

ントなんすか・・・・・・)。

 海外進出してハリウッド女優になったらね、ハリウッド女優になりたいの(同じこと、

2回言ってますよ、さくらさん)。

 あれっ、そういえばここってどこだっけ(遊園地ですよ、そろそろ現実に戻ってきてく

ださ〜い)。

 あぁあ、現実はしけてんなぁ(そんなこと言わず、お付き合いくださいな・・・・・・)。


 私が来た頃にはまばらだった親子連れも、朝9時を過ぎると続々と列を作っていきます。

 みんな突撃戦隊セインダーが好きなんだね、いいよ、もうすぐ会わせてあげるからね(別

にさくらさんの力で会えるわけじゃないんで、あしからず)。

 まぁ、とにかく子供たちは元気です、あちこち走り回ります(なんか、意味のない動き

が多いですよね)。

 そう、そう、折角の日曜日なんだから体力をちゃんと温存しとかないと(それ、完全に

年取った人間の意見ですよ)。

 そんなことないですよ、まだまだピチピチの17歳です(さりげなく、嘘つかないよう

に)。

 「まだまだ」ってところですか(「17歳」ってところに決まってるでしょ、分かってる

くせに)。

「それではこれより開場いたします、ゆっくり順番に進んでいってください」

 9時半になり開場、親子連れのみなさんが会場の中へと入っていきます。それに合わせ、

富士は会場内、私は引き続き会場外の来場者を受け持ちます。

 1人になったからには責任も全て自分自身、気を引きしめないとなりませぬ。

「さくら、おはよう」

 あっ、これはこれは紀子姉様。スタジャン姿でも、出来る女オーラが輝いておりますっ。

「おはようございます、いよいよ本番ですね」

「うんっ、こっちの方は1人で大丈夫なの」

「はい、問題ありません」

「子供は急に何しでかすか分かんないから、緊急時にはすぐ連絡してね」

「はい、ありがとうございます」

 いいなぁ、心配してここまで来てくれたんですね(全体の統括ですからね、紀子姉様は)。

 頼れるアネゴ、今後も着いていきますぜ(とても着いていってるように見えませんが)。


 朝10時、いよいよ本番開始です。

 さくらは仕事モードに入って面白味に欠けるため、宮前さくらさんナレーションにより

ます副音声でお楽しみください(なんかややこしいですけど、分かりました)。

「それでは、これから突撃戦隊セインダーのスペシャルショーをスタートします」

 どっかのお姉さんの司会のもと、ショーの開始でございます(どっかのお姉さん、っ

て・・・・・・)。

 おっ、あれがセインダー役の俳優さんですね、確かにイケメンじゃない(キリッとした

顔立ちですね、二枚目、二枚目)。

 ニバ〜イ、ニバ〜イ(それ、高見山ですから)。

 あっ、変身しましたよ、早着替えですね〜(そういう、子供の夢を壊すようなこと言わ

ないの)。

 なんでよ、子供だってね、子供なりに分かってるもんだよ(それでも、言うのはよしま

しょうよ)。

 サンタなんていないし、お菓子の国なんてないんだよ(あっ、あんまり暴走するんじゃ

ないっ)。

 こりん星なんて絶対に存在しないんだから(まぁ、それは私も賛成しますけども)。

 しかし、今どきのヒーローものは完成度が高いですね(そうですね、魅せるヒーローに

なってきてますからね)。

 ただ強いだけじゃダメってことですね、教授(教授じゃないですよ、ピアノなんか弾け

ません)。

 タンタンタ〜ン、タンタンタラタンタンタンタンタ〜ン(ライディーンとか歌わないの、

話がそれるから)。

 そうこうしてるうちに、戦闘が始まりましたよ(おっ、見せどころですね)。

 バキッ、ドカッ、ビシッ、ポヨヨ〜ン(最後の、勝手に足したでしょ)。

 どうして、バレたんですか(バレるがな、そらぁ)。

 だって、暴力シーンばっかりだと子供に悪影響かなって思って(まぁ、それは一概には

否定できませんけど)。

 そうですよ、暴力反対、戦争反対、家賃を下げろ(個人的な感情を入れないでください)。

 おっ、いつの間にか、セインダーと悪の親玉の一騎打ちです。

 いけっ、そんな悪人、ぶっ殺せ(暴力反対じゃなかったんですか・・・・・・)。

 はっ、じゃあ暴力反対だけどぶっ殺せ(めちゃくちゃ言わないでください・・・・・・)。

 チュド〜ン、やりましたっ、セインダーが勝ちました(まぁ、普通ならそうなるでしょ

うね)。

 いつの日にも正義が勝つ、神から生まれた平和の子、さくらですっ(・・・・・・出演

者じゃないでしょ、あなた)。

 こっちに手振ってるよ、セインダーありがと〜、セインダーさいこ〜(一応、スタッフ

でしょ、さくらさん)。

 だって、副音声だからいいんだもん(あっ、ちゃんと逃げ道を知ってたな)。


 そして、12時、14時、16時と、セインダーのショーは滞りなく行われました。

 特に目立った混乱もなく、イベントは盛況のうちに終了。子供たちに一時の幸せを送り、

笑顔で会場を後にしていく、我ながら良い仕事してるなと思えます。

 私のおかげで、子供たちは喜びいっぱいになっていくんです(あなただけのおかげじゃ

ないですから、言っときますが)。

 最後のショーの終了後、来場者を送り出すと会場のゴミ拾いが待っています。このゴミ

収集をしている自分、盛況の後の現実にすっかり引き戻されます(祭りの後の静けさ、み

たいなもんですね)。

 気分がめいるんで、ミッション・イン・ポッシブルのBGMをリクエストします(それ

で気分がのるんでしたら、はいっ)。

 おぉ、トム・クルーズになった気分ですよ(・・・・・・簡単ですね、さくらさん)。

 落し物の収集、会場の点検、会場整理の会社さんとの最後の確認と挨拶を終え、18時

前にようやく私と富士は長い呪縛から解放されるに至るのです。

「というわけで、問題はありませんでした」

「はい、分かりました。じゃあ、さくらと誉は直帰していいからね、ご苦労様」

「はい、お疲れ様でした」

 紀子姉様へ今日の報告をすると、私と富士の任務は終了(お疲れ様です、さくらさん)。

 出演者担当の絵里奈さんと智成さんは既に直帰していましたが、舞台担当の鋸鎖さんと

米太良さん、スタッフ担当の緒辺さんと佐渡さん、統括の紀子姉様はまだまだ残っていか

なければならなそうです(長丁場ですからね、こればっかりは)。

 頑張ってくださいね、お先でやんす。トットコ、トットコ、トットコ(会場を後にして、

遊園地内を出口に向かって歩くさくら)。

 ワーキャア、ワーキャア、ワーキャア(日曜日ということもあり、家族やカップルや学

生でにぎわう遊園地)。

 ・・・・・・いいなぁ、みんな楽しそうで(おや、どうしました)。

 折角さ、遊園地に来てるんだから、ちょっとは遊びたいもんだよね(あぁ、そうですね)。

 こんなことなら、帰りに遊んでこうって絵里奈さん誘っておけばよかったなぁ(ジェッ

トコースターを見上げ、たそがれるさくら)。

「おい、なに立ち止まってんだよ」

 しまったっ、富士に見られた。

「辛気臭い顔すんなよな、レジャーランドで」

「別にアンタには関係ないじゃんよ」

「乗ってみたいなぁ、とか思って見上げてたんだろ」

「違いますよ〜、長いこと乗ってないなって思ってただけです」

「・・・・・・そういえば、俺もしばらくプライベートで遊園地なんか来てないなぁ」

「まぁ・・・忙しいしね」

「・・・・・・乗ってくか、ジェットコースター」

「はっ、何言ってんの」

「何言ってんのじゃねぇだろ、いいから行くぞ」

 ちょっと、勝手に歩き出さないでよ。私、まだ何も返事してないじゃんか。

 タッタカタ〜ッ、タッタカタ〜ッ(早歩きぎみの富士の後ろをただ着いてくだけのさく

ら)。

「しょうがないから、今日は俺がおごってやるよ」

 しょうがないからって、別に金欠だから嫌がってるんじゃないわよ。

「ねぇ、別に私乗るなんて1回も言ってないじゃん」

「俺が乗りたいんだよ、ほらっ、チケット」

 アンタは乗りたいかもしんないし、私も乗りたいかもしんないけど、アンタと一緒に乗

りたいんじゃないんだよ(さくら、心の叫び)。

 こっちの気持ちは無視かよ、ホントに勝手なやつだな(そう言いながら、もう隣に座っ

てるじゃないですか)。

 もうっ、私は私が乗りたいから乗るんであって、アンタは関係ないんだからね(現在の

状況を自分なりに把握しようとするさくらの図)。

「お前、こういうの怖いタイプなの」

「うるさい、話かけないで」

 そうよ、これは宮前さくらと富士誉が乗ってるってことじゃないのよ。宮前さくらが乗

ってて、富士誉が乗ってる、ただそれだけ。富士と私はただのお隣さん、それ以上じゃな

いんだからね。

 ガタンガタン、ガタンガタン(発車し、上昇していくジェットコースター)。

 やばいっ、こんな高かったっけ(スリルに気分が高揚していくさくら)。

 富士っ、富士っ、笑ってやがるよ、おいっ(こういうの好きみたいですね、富士は)。

 ガタンガタン、ピタッ、ゴオ〜ッ(てっぺんで一時停止し、本領発揮するジェットコー

スター)。

 あわわわわ、いわわわわ、うわわわわ、えわわわわ、おわわわわ(それ、五十音ぜんぶ

言う気でしょうか)。

 かわわわわ、きわわわわ、くわわわわ、けわわわわ、こわわわわ(そうみたいですね・・・

収集つかないんで早送り、ピッ)。

 プシューッ、ガッチャン(ジェットコースター終了、テンション上がりぎみの富士、毛

穴と瞳孔開きぎみのさくらの図)。

「いいな、アガってきたよ、どんどんいこうぜ(このテンションのまま、次に行きたい富

士)」

「えっ、まだ乗るの(少しインターバルをおきたいさくら)」

 スクリューコースター、ループコースター、フリーフォール、スカイルーピングブラン

コ(次々に絶叫アトラクションへと、たらい回しにされるさくら)。

 しっ、死んでしまうっ、コイツに殺されるっ(しかし、なんとかクリアして充実感にひ

たるさくら)。

 こらっ、充実感なんてあるわけないでしょ(あっ、これは失礼)。

「お前、髪バッサバサになってるぞ」

「誰のせいだと思ってんのよ、仕事より疲れたわよ」

 20時前、クールダウンもかねて最後に大観覧車に乗ります。

 ふぅ、やっと気持ちが落ち着いてきた。まったく、こんな振り回されたの久しぶりだよ

(基本、振り回す側ですからね)。

 あぁあ、でも、なんだか身体中のいらないもんが外に出てったような気がする(いろい

ろ消化になりますから)。

「たまにはこういうのもいいな、ストレス発散になったよ」

「なんで、私がアンタのストレス発散に付き合わされなきゃなんないのよ」

「いいだろ、お前が適任なんだから」

「はっ、どうして私が」

 そこから少し空白があり、私もそうしなきゃいけない気がしたように黙ってました。

 すると、富士は

「彼女と別れた」

と一言だけ言ったのです。

 前の富士との会話から、そんなニオイはありましたが本当に破局したようです。

 この重みのある沈黙、どうしたらいいのか分からなくて私はなぜか喋りまくりました。

「大丈夫、大丈夫、気にすることないよ」

「この世に男と女なんて星の数ほどいるんだから、また次があるって」

「なんなら、私がパイプになって紹介できるようにしてあげようか」

「世の中、広いようで狭いからね、すぐ新しい彼女が見つかるよ」

 私はとにかく富士に慰めの言葉をかけまくりました。富士はそれをいつものように冷静

な顔して見ています。いつも言い争いしてる富士なのに、こんな親身になれるのかと感心

したくなるくらいに言葉が次から次へと出てきました。

 3分くらい喋り続けると言葉がなくなり、私は富士を見たまま、富士は私を見たまま、

沈黙の空間ができました。

 そしたら・・・そしたら・・・富士が私にキスをしました。

 私はビックリのてっぺんまで到達して、富士を突き飛ばし、身体がガッチガチに固まっ

てしまいました。

「・・・なっ・・・何してんのよ・・・」

「・・・ごめん・・・」

 はっ、訳分かんない、何してんの、何されてんの。

 彼女と別れたんでしょ、私をその子の代わりにしてんの、私にその子への腹いせをして

んの。

 ちょっと何様よ、人を使って何してくれてんのよ。

「おいっ、宮前っ(観覧車を下車した瞬間に走って帰るさくら、声はかけたものの追うこ

とはしなかった富士)」

 信じらんない、こんなのあり得ない(ダッシュで走り続けるさくら)。

 こんな仕打ち、生まれて初めてされたよ(泣きたくなるのを人前だからこらえるさくら)。

 バカ野郎っ、富士誉のバカ野郎っ(帰り道、ずっと頭の中で整理がつかずにいるさくら)。


          ☆


 ところかわりまして、こちらは宮前さくらさんの自宅のあるマンションの101号室で

す。

 ただ今の時刻は21時、ここ最近はにぎやかだった時間帯も今日は一休みです。

 お気づきの通り、丹乍幸四郎でございます。

 今日は宮前さんはイベントの本番だそうで、帰り時間も未定なのでここへも来ないかも

しれないと言っていました。この時間になっても現れないということは、今日は久しぶり

に1人の有意義な時間を過ごせそうです。

 あっ、お先に缶ビールの方をいただかせてもらっていますよ(どうぞ、どうぞ、遠慮な

く)。

 いや〜、たまにはこうした静かな空間もいいですね、心が和みま・・・ピンポン、ピン

ポン、ピンポン、ピンポン、ピンポン、ピンポン、ピンポン・・・(エンドレスで鳴り続け

るインターホン)。

 なっ、なんですか、こんな時間に。緊急のクレームでしょうか、ガチャッ。

「・・・管理人さん・・・」

 慌てて玄関を開けると、宮前さんが泣きそうな顔で立っていました。

「どうしたんですか、何かあったんですか」

「・・・お酒、ありますか・・・」

「お酒でしたら、缶ビールの10本パックがありますが」

「・・・おじゃましますっ・・・」

 宮前さんは部屋にあがっていくと、和室のテーブルにあった飲みかけの缶ビールを一気

飲みしました(それって、管理人さんの飲みかけ・・・関係ないか、この際)。

 そして、冷蔵庫に入っていた10本パックの缶ビールもヤケになって飲み続けました。

「なによ、なんなの、なんなのよっ」

 宮前さんは声に出して、自分の中にある怒りを抑えつけてるようでした。

 私は横でそれをただただ見ていることしかできませんでした。

「宮前さん、私でよかったら話を聞きますが」

「・・・ごめんなさい、話しかけないでください・・・優しくされたら泣いちゃいますか

ら・・・」

「・・・・・・はい」

 結局、宮前さんは何も話すことなく缶ビールを全て飲みほし、そのまま酔って和室で眠

ってしまいました。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ