第二章、前編
「これマジで食わないといけねえのか」
俺は自分でもわかるほど嫌な顔をしながらそう答えた。
「仕方ないよ。ここはコロニーじゃないんだよ。つべこべ言わずにパニオンを早く食べないと。ずっと同じ場所にいたらパニオンがどんどん来るよ」
いや、嫌だよ。だってパニオンだぜ。コイツラの肉って青色だ。焼いているから少し青色感は無くなってるが、それでも少し青色が垣間見える。くそ、でもこうなったら勢いだ。えーい。
「意外と普通の肉だな。うまい」
「でしょ。見た目はあんまり良くないんだけど意外と美味しいらしいね」
アルケスは自慢するように言った。いや、お前のお陰でもなんでもないだろ。このパニオン倒したの俺だし。
「でもよく作れたね。ケノンを積んだ車を作れるなんて」
「急に話をかえんなよ。まあでもすごいのはケノン自体だと思うぞ。なんだよ、ブラックホールを完全に制御して、ものが吸い込まれたときのエネルギーを、電力として取り出せる機械なんて。全然壊れないしさ。コロニーがこれを中心に作られるのも納得だよ」
まあ、俺がさらに驚きなのは、なんでアルケスが自分専用のケノンを持っていたことなんだが、まあ今更だな。
「でも、助かったよ。ケノンってそれなりに重いから大変だったんだよね」
アルケスが今にも踊りそうなくらい喜びながらこういった。相変わらず愉快な野郎だ。
「ちなみにちゃんと気付いてるよね。隠れてる人が二人。この感じ友好的ではないだろうね」
は、人だと。全く気づかなかった。俺は急いで戦闘態勢を取った。
「どこにいる?」
「4時の方向」
アルケスはすでに銃を構えていた。その姿を見ていたのだろう。敵が現れた。
「ポルック、油断してるときに、奇襲しようって言ってたけどバレてんじゃねえか。どうすんだよ」
男が二人。互いに黒のコートを着ており、少し軽装のように思える装備を着ていた。武器は、片方は爪のようなものを装備しており、もう片方は槍を持っている。しかし1番驚いたのは、同一人物かと思うほど顔が似ていることだ。
「ストル、これは仕方ないことなんだ。敵のほうが上手だっただけだ」
この感じ、双子か。でも性格はだいぶ違うみたいだな。
「おい。そこのコリスに住む糞ども。さっさと持ってる資源を渡してくれたら、その大事なソテリア壊さないでやるよ」
ストルと呼ばれていたやつが拳銃を取り出し、俺らに向けて、そういった。
「俺は今は、コリスの人間じゃねえんだけど。でも人に銃を向けたんだ。お前も死ぬ覚悟はできてるよな」
俺はそう言って一気に駆け出した。
「うわ。突っ込んでくんのかよ。馬鹿な野郎だな」
馬鹿か。俺からしたら狙いの分かってないこいつのほうが馬鹿なんだが、まあいいか。とりあえず拳銃を蹴り飛ばした。その勢いのまま切りかかってみる。
「俺は仲間はずれか。混ぜてくれよ」
俺を突き刺そうとポルックが横から来た。でも
「君等こそ私のこと仲間外れにしてるでしょ」
その言葉が聞こえると、ポルックは吹っ飛んだ。レールガンで瓦礫を飛ばしたんだろう。
「ポルック!よくも」
爪がアルケスを襲う。しかしそんなのを許すわけがない。俺は盾を展開しつつ、横に割って入り、爪を横にそらした。そのまま爪を破壊するため一閃を放ってみる。しかし、思っている以上に硬い。弾かれてしまった。無力化できないなら・・殺すしかないだろう。そう思いつつ一度距離を空けた。すると、
「リーラ。この人たちを殺すのはだめだからね」
ポルックを弾幕で足止めしつつアルケスはそういった。
「は。あ~~もう分かったよ。どうせ俺がなんて言っても変えないんだろ」
なんか言う気はしていた。仕方ねえ。付き合うしかないだろう。
「ありがとねリーラ」
そんな言葉を尻目にしつつ、状況を確認する。ポルックは未だに銃弾を槍で防いではいるが、チャンスだ。俺はそのままポルックの方に向かう。
「ポルックはやらせねえよ」
後ろからストルが近づいてくる。でも、それは俺が一番狙ってたことだ。俺は振り向きざまに抜刀する。しかし
「これで終わりだ」
眩しい。目眩ましか。まずい。俺は野生の勘で横に転がる。外れた音がする。なんとか避けれたか。俺は引かせるために適当に刀を振るう。
俺はなんとか復帰できたので、状況を再度確認する。アルケスは少し距離を取りながら銃を撃っている。ストルは少し距離を空けて眼の前にいた。なら、俺はアルケスの方に近づく。
「なんだ、お前。ポルックに近づけてくれんのか」
俺は攻撃を捌きつつさらにアルケスたちの方に近づく。そうして、アルケスと背中を合わせた。
「アルケス!」
「了解!」
そのままアルケスと入れ替わった。俺はポルックと相対する。
「スイッチですか。面白いですね」
アルケスもストルと相対する。そのまま銃を撃って、ストルを防御に回らせる。そして、俺は一気に距離を詰め、槍を吹き飛ばす。しかし、すぐに素手による戦いに変えてきた。柔軟な野郎だ。
右ストレートが飛んでくるが盾でなんとか受け流す。しかし、右側が空いてしまう。そのままジャブをモロに喰らってしまった。でも、
「なんで?!」
軽い。そんな拳じゃ俺を引かせられねえよ。俺は刀を強く握りそのまま頭にぶち込んだ。
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この子、厄介だな。変則的な動きで弾が当たらないし、周りのものを積極的に使ってくる。しかも室内に逃げ込んじゃったせいで相手の使えるものは多い。でも、
「君さ、なんで私たちのことを狙うの」
私はこう問いかけた。
「なんでねぇ。そんなの言わずともわかってるだろ。お前らコリスの人間どもは、俺たち地上の人間を気に留めないどころか、法律違反になるからって言って、殺してくる。それにイラついて殺そうとしても奴らを殺せはしない。ソテリアとかいうクソみたいな機械でここに来てんだから。だからせめて物資を奪う。少しでも奴らを不幸にする。ただそんだけのことだ」
「そう、辛かったね。でもごめん。ここでいなくなるわけにはいかないんだ」
そう私は言い、一気に距離を取る。そのまま銃を撃つ。でもエネルギー切れだ。私は物陰に隠れた後にリロードを行う。
「いなくなるのがだめでも、資源くらいくれよ」
そういって落ちていた瓦礫を飛ばし視界が覆われてしまった。私は横に避けそのままリロードが終わった銃を使いストルを狙う。でも、最初にリーラが吹き飛ばしていたはずの拳銃を構え、撃ってきた。
やばい、腕を撃ち抜かれた。でも、私はワイヤーをすでにストルの足に絡めさせている。そのままストルの体を崩す。そして頭を蹴り気絶させようとする。でも横に転がって避けられた。少し攻撃が甘すぎたんだ。しかも、私の顔に向かって爪で切りかかってくる。私は後ろに避けた。でもまだ起き上りきってない。私は逃げた。
「ここで敵前逃亡か。は、情けねえな」
情けない。そうかもね。だって私が今狙ってるのは・・
「やらせねえよ」
リーラが現れ、背後から首を刀でぶっ叩いた。
「流石だね。峰打ちで気絶させちゃうなんて。ポルックって呼ばれてた子もこうしたのかな。あと、守ってくれてありがとね」
「お前がいねえと旅ができねえからだよ。感謝される筋合いはない」
あ、リーラが照れてる。こういうところかわいいな。
「ま、とりあえずポルックのところにこの子を連れてこうか」
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「は、縛るのは可哀想?」
俺は思わずこう言ってしまった。
「え、逆に可哀想だと思わないの」
は〜〜相変わらず理由のわからない野郎だ。
「可愛そうもなにもさっきお前こいつらに殺されかけたろ」
「え、でもさっきリーラから襲いかかったじゃん」
ぐ、痛いところをつかれたな。これに関しては実際そうだからなんとも言えない。だが襲いかかりかけられているんだ。正当防衛ではあるだろう。
「ストル!生きてるのか。よかった。でもなんで。なんで私達を生かしたんですか」
おや、ポルックが起き上がったか。この様子からして襲いかかって来ない確証はない。刀に手をかけてはおこう。
「お、ポルック・・だよね。おはよう。私はアルケス。さっきは状況的に言えなかったけど私達はコリスの人間じゃないんだ。誤解させちゃってごめんね」
アルケスは温和な姿勢でこう言った。
「そ、そんな事言われて信じられると思ってるんですか。私たちがコリスの人間にどれだけの目に合わされてきているのかわからないでしょ」
どうやらかなり警戒してるみたいだな。でも
「さっきから気になってんだが、なんでお前はコリスの人間に恨みを持ってんだ?」
俺は持っていた疑問を吐き出してみた。
「そうですよね、気になりますよね。でも私にどんなメリットがあるんです?そんなことをして」
「自分の立場がわかってないみたいだな。もう一度ボコされてえのか。なら・・」
俺はそう言って刀を抜きかける。一触即発そんな雰囲気の中
ポン
「リーラだめだよ。でもポルック、教えてくれない。あなた達の過去について」
こいつ銃のストックの部分で俺の頭をたたきやがった。地味に痛えな。
「あなた、いやアルケスさんはだいぶ甘いですね。でも、戦闘の時の会話を聞く感じアルケスさんのお陰でストルが生きてるんですよね。分かりました。この義理の礼をしましょう。教えてあげますよ。俺達の過去のことを」
「ありがとね。あ、でもこのままだと危険だね。車で話そうか」
「そうですね。では、入りましょうか」
そう言ってポルックは丁寧にストルを持ち上げアルケスの後ろをついて行った。俺はその後ろに着いていく。でもなんか嫌な予感がするな。まあ気のせいか。
俺達車の居住スペースに入る。居住スペースと言ってもベッドが二台と少し展開型の作業スペースが有るだけだ。おれはその展開型の作業スペースの椅子だけを展開させて腰を下ろす。そうしている間にポルックは丁寧にストルをベッドにおろして寝かせ、その隣りに座った。アルケスはもう一台のベッドに座ったようだ。
「じゃあ、ポルック今度こそお願い」
そうアルケスが言うとポルックは重い口を開いた。
「今から5年も前のことです。あのときはコロニーのみんなで仲良くしていました。でもそんな中でのある日のことです。私達はただこの世界を生きていただけなのに、突如、私達のコロニーはソテリアの集団に襲われました」
「なんでそんな事になったかってわかる?」
アルケスが不思議そうにそういった。だが
「少し心当たりがある。コリスでは毎年、危険因子を殺すための戦闘隊が組まれていた。大方その戦闘隊に襲われたんだろうな」
俺は特段なんの感情も持たずにこういった。
「そうかも・・いやなんであんたそんな事知ってるんですか。やっぱりあんたたちは!」
ポルックは明らかに怒りながらそういった。少し言うタイミングをミスったか。
「ごめん、ポルック。しっかりと説明してなかったね。リーラはたしかにもとはコリスで過ごしていたんだけど、とある理由で追放されて今は地上で過ごしてるんだ。誤解させちゃったよね。本当にごめん」
アルケスは深々と頭を下げながら言った。俺が言ったことなのにこんなに謝るなんてこいつは優しすぎるな。
「そうだったんですか。そんな過去が。でもあんたはその戦闘隊に参加してたんじゃないんですか」
ポルックは先程よりかは落ち着きながらも、こう問いかけてきた。
「いや、誰かに従うのが嫌だったから参加してなかったな。だから俺はこれについてこれ以上何も知らないぞ」
俺は少々めんどくさがりながらもそう答えた。
「そうなんですね。なら良かった。あ、すいません話がそれましたね。えーと、あ、それでソテリアの集団の攻撃で私達のコロニーはいとも簡単に滅びてしまいました。その時、私達は両親のおかげでなんとか生き延びれたのですが、そのせいで両親は少し遠くに行ってしまいました」
ポルックは俺の答えに少し安堵し、あまりにも普通にこう言ってきた。こんなにも親の死を簡単に口にできるんだな。少し意外だ。
「そうなんだ。それは本当に苦しかったよね。でも、すんごくいい親御さんだったんだね」
アルケスはそんなポルックとは反対にとても苦しそうになりながらもこういった。
「はい。本当に優しい親でした」
ポルックは誇らしげにそう答えた。
「それで、わたしたちは天涯孤独の身になりました。でもそんな中でも私にはストルがいた。もちろん、コロニーがなくなって大変なことも山ほどありました。でも、ストルがいたから乗り越えられた。だから、私は夢を持てた」
「夢、すごいね。そんな大変な中でも夢を持てるなんて。ギューってさせてほしいな。あと、私もその夢を応援してもいいかな?」
相変わらずだなアルケスは。そもそもポルックはまだ夢の内容言ってないだろ。
「え、あの夢を応援してくれるのは嬉しいんですが・・ギューってのをされるのは大丈夫です」
あ、そうか。ポルックはこういうアルケスの部分を見るのは初めてか。何か面白いな。
「ポルック。こいつはこういうやつだ。構わなくていいさ。それで、その夢って何?」
「リーラ、その言い方はちょっと違わない?私はただポルックを褒めようと・・」
「そういう褒め方はやめろ。されてる方が気まずくなるんだから」
「は〜い」
うん、分かってなさそうだな。まあこいつは本当にこれがいい方法だと思っているんだろう。だからといって、するのはやめてほしいが。
「えーと、話戻してもいいですかね?」
ポルックは気まずそうにこういった。
「あ、ごめんね。じゃあ、お願い。ポルックの夢を教えて」
アルケスは申し訳なさそうにそういった。
「分かりました。私の夢、それは私達みたいなやつを救うためのコロニーを作ることです。今の世界じゃ、コロニーってのはあまりにも足りなさすぎる。わたしたちがこんな生活をしてるのは、私達を受けてくれるコロニーが見つからなかったからです。だから作る。そのために今は物資を集めているんです」
ポルックは少し嬉しそうに、希望に満ちた表情でそういった。
「本当にすごいね。立派だよ。私があなたたちくらいの年齢のときにそんな事はできないよ。改めてお願い。私達にあなたの夢を応援させて」
アルケスは嬉しそうにしながらそういった。いや、
「おいちょっと待て。”私達”ってなんだよ。俺は何もしないぞ」
俺は少し怒りながらそういった。
「え、前この世界のこととかシュクレイヤみたいな人をもっと知りたいって言ってたじゃん。だからいいでしょ」
ああそんなこと言ったな。やばい少し恥ずかしい。でもこいつ、辱めようとして言ってないから余計にむかつく。
「はあ、もういいよ。お前の判断に従うぜ」
俺は相当テンションが下がりながらそういった。
「よし、リーラの許可も取れたことだし、できる限り協力させてもらっていい?」
「すんごく助かります。じつはまだケノンがゲットできてなくて。ケノンって基本的にパニオンがうじゃうじゃいるところにしかないからとっても心強いです。こちらこそお願いします」
ポルックは喜びながらそういった。
「よし、じゃあケノン探しの旅へレッツラゴー!」
アルケスが元気いっぱいにこういった。そんなとき、
「ん、どこだここ。へ、なんで生きてんだ俺」
ストルが起き上がった。やっべこいつの存在忘れてた。




