序章
本作品が私の初めての投稿です。なので部分があれば指摘して欲しいです。またこの作品はグロテスクな描写が多い作品になっています。r15ほどのグロさになっているので苦手な方はご注意ください
今、あなたにとって世界はなんですか?
人によって答えは分かれるでしょう。この物語の世界は世紀末のように見えるでしょう。しかしその世界で過ごす人々はどんな世界だと感じるのでしょう?
「リーラ、ヘルプ」
シューの声が聞こえる。どうやら異形の怪物であるパニオン四体に囲まれてしまったようだ。俺はそれを認識してすぐ駆け出した。そして気持ち悪いパニオンを一刀両断にする。青緑色の血が舞った。
この世界が自分のオモチャだ。こうやって戦っているとそう感じる。そしてこの気持ちは他で代用することなどできない。パニオン二匹が突進してくる。当たれば即死は免れないだろう。しかし俺はそれをかわし、体勢が崩れたところを二匹まとめてぶった斬る。それをみて焦ったのだろうか、パニオンが俺と距離を空けてきた。それを認識してすぐ俺はワイヤーをパニオンの足に絡ませ引き寄せる。せめてもの抵抗でパンチを放ってきたがそんなものは読めている。体を軽く反りパンチを避けた後に一閃を放つ。
さぁあと一匹だ。この娯楽が終わるのは少し悲しいが、せめてもの慈悲でさっさと終わらせてしまおう。俺は一気に距離を詰め抜刀術による一閃を放ち、刀を鞘に収める。ワンテンポ遅れて切られたのに気づいたのだろう。断末魔をあげながら死んだ。これにてゲームセットだ。
「流石リーラだな。まさかパニオン四体をサクッと殺しちまうとは。四体って普通3人くらいで戦ってちょうどいいくらいなのに。いいもん見れたぜ」
三節棍の扱いをミスって盛大にこけたせいで囲まれたシューがこう言いながら近づいてきた。
「こんくらいはウォーミングアップにもならねえよ。てか変なミスの尻拭いを俺にさせるのはやめてくれ。」
「すまん、すまん。牙輪にあきて三節棍使い始めたはいいんだけど、やっぱ難しいな。」
一応謝ってるが全くもって感情がこもってないし、なんらな少し笑ってるな。まぁいいか。
「とりあえず帰ろうぜ」
とシューは言った。
「全然いいんだがソテリアはどうする。意識だけでも帰れるが結構このソテリアはメチャクチャ調整したから捨てたくないんだが」
ソテリアは意識だけを入れて生身でいる時よりも格段に動きやすくなるロボットであるため意識だけを戻すこともできる。ただ言ったようにこのソテリアは調整にかなりの時間をかけた。ここで捨てたら後がめんどくさい。
「なるほどな、だったらめんどいが歩いてコリスに行くか」
瓦礫や荒廃しかけている建物、パニオンの死体、腐敗しかかっている人の死体、そしてそれに群がるパニオンたちが並ぶ。
「相変わらず地上は面白い光景で溢れてるな」
とシューは突然話しかけてきた。
「そうか?この光景自体を面白いとは思わないな。まぁ不快ほどではないが」
シューはこんな感じで時々おかしなことを言ってくる。こんな光景など地上であればどこでも見る景色だ。
「お前は面白いと思わないのか。く〜〜なんとかして面白さを伝えたいんだが、理由を言葉に表すのは難しいんだよな」
「理由を言葉にできないことって割とあるよな。俺もパニオンどもを殺すのは楽しいが、理由を言葉になんてできっこない」
こんなたわいもない会話を10分ほど続けていたら
「すみません、コリスの方々ですよね。どうか娘だけでもコリスに入れてくれませんか?」
女が話しかけてきた。痩せこけすぎて全身に骨が浮き出ているし、何か皮膚病にかかっているのだろう。肌がとてつもなく荒れている。正直言って気持ち悪い。そして抱き抱えられているのは生後10ヶ月ほどの赤ちゃんだろうか、こちらに関しては痩せこけていたり皮膚病にかかっている様子はないが、それでも垢がとてもあるし、表面がベタベタしている。
「残念だけど俺らにそんな権限はないんだよね。知ってるでしょ。コリスはとても安全だけど、とても神聖な場所でもあるんだ。なのにそんな汚い格好で入ろうだなんて、掛け合ってみても無駄だと思うよ。というかなんでこんな世界になってるのに子供なんて作るの?」
シューが言っていることは至極真っ当と言っていいだろう。いつからこんな世界になんてしまったのかなんて知らないが俺が物心ついた頃からこんな世界だったから最低でも10年くらいは経っている。それなのに子供を作るなんてバカなんだろうか?
「それは生活のために体を売るしかなく、そしたら授かってしまい…」
なるほど、納得自体はできる。しかし大変なんだな。地上で生きる者どもは。
「確かにそれだったら仕方のないことではあるね。でもそんなかでも自分より子の方が大事なんだ。面白いね、君」
そう言いながらシューはうつむき何かを落とした。そして何かが女に触れ、女は気絶した。どうやら落としたものは、電気ショックを浴びせるためのものだったようだ。
「ごめんね。面倒ごとはごめんなんだ。てかちょっと強くしすぎたかも、まぁ生きてるでしょ」
シューはそう呟いた。まぁ面倒くさいというところに関しては俺も同意見だ。というかそもそも無許可で地上の人間を入れるのはとんでもない重罪だ。しかもこれは勝手についてきたとしても入るのを補助したとして罰則を受ける。まぁ殺さなかっただけ優しいだろう。
「変なところで足止めを喰らっちまったけど、行くか」
なぜか悲しそうな表情をしながら、こうシューは呟き、止まっていた足を動かし始めた。
あれから1時間ほどたっただろうか。ようやくコリスに入ることができた。こんなに時間がかかったのはコリスの構造にある。コリスは絶対的な安全地帯であるために、二重扉になっていることに加え、一つ目の扉は他にカモフラージュされてるし、二つ目の扉は迷路をくぐりぬけた先にある。慣れていてもこれのせいでかなり時間がかかってしまうのだ。疲れたな。早くソテリアを家に戻そう。そう考えていると
「うわ、リーラだよ。パニオン狩りから戻ってきたのか。」
「戻ってこなければよかったのにな。あいつがいるせいでコリス最強決定戦が全然面白くないんだよ」
わざとだろうか。俺をみて、俺にも聞こえるように二人組が言ってきた。
「そんなに面白くないって思うなら、お前らも参加しろよ。コリス最強決定戦の参加権はコリスの全員にある。だから自分で出場して面白くさせろよ」
少しイラっときたので俺はこう言い返した。
「リーラ、一位のお前が言っても嫌味にしか聞こえないぞ。すみませんねお二方。今日は迷路で少し迷っちゃったせいでちょっとイライラしてるみたいで。リーラ、しっかり謝りなさい」
「なに母親みたいなこと言ってるんだよ。俺はお前の子じゃねえぞ。あとなんで謝らなきゃいけないんだよ。俺はもう先帰るぞ」
シューが場を治めようとしているのはわかるが、謝るなんて嫌すぎる。さっさと帰ることでこの場を終わらせよう。そうして歩き始めたら今度は
「やっぱりシュー様ってかっこいいね。あのリーラを手なづけているし、さっきもうまく場を治めようと頑張ってた」
「なのにリーラったらなんであんなにシュー様に気に入られてるのかしら。本当に気持ちが悪くなる。でも今日やるあれが成功すれば」
こんな小言が聞こえてきた。シューがすごいのは共感できるが、俺があいつに手なづけられてるってなんだ。あいつに手なづけられた覚えなんてないぞ。まぁもういい。考えるほうがめんどくさい。さっさと帰って寝よう。
ドーン!!
大きな音によって夢のなかから現実に引き戻された。なんの音だろうか。コリスにパニオンが侵入するなんてことはないだろうが、万が一に備え最低限の装備をつける。
ドーン!
先程よりかは小さいがそれでも大きい音がした。そして武装集団が部屋に押し入ってきた。
「リーラだな。お前には無許可で地上の人間を入れようとした疑いがある。」
ぱっと見で20人ほどの人数が俺に銃口を向ける。そして少し興奮気味にしている。暗くてわかりづらいが、帰ってきた時に陰口を言っていた野郎もいる。
「は?わけがわからない。俺はそんなことをしようとした覚えはないぞ。一体なんのことを言ってるんだ。」
確かに俺は昨日、地上の女と話をした。しかし本当に話しただけだ。シューが気絶させていたからついてきたということもないはずだ。
「いや、したさ。この監視カメラの映像を見ろ」
そう言って見せてきたのは地上の人間を迷路の部分に俺が誘導して入れているというものであった。しかし4人入ったはずなのに次の映像では3人になっていたり、俺の使っている武器が刀ではなく銃であったりなど明らかにおかしい部分がたくさんある。明らかなフェイクだ。
「これこそが動かぬ証拠。無許可で地上の人間を入れるなどコリスの安全を壊す危険な行為だ。即刻追放処分とする」
俺が理解できていない間に話はどんどん進んでいく。俺はそのまま拘束されてしまい、何もできぬまま出口に近づいていく。
「おい、裏切り者のリーラだぞ」
「ははは。マヌケな面をしてるわ。いい気味ね」
「その通りね。よし、写真撮ったから明日の新聞にでも載せましょ。これはよく売れるはず」
「最高の気分だ。あのリーラがついにいなくなる」
「お母さん、あの人誰?」
「知らなくていいわよ。それより早く寝なさい」
うるさい…うるさい、うるさい!なんなんだこいつらは。くそ、はめられたのか。このクソみたいな連中が考えたのだろう。つまらない野郎どもだ。
「せめてもの慈悲だ。お前の大好きなお前のソテリアはやるよ。まぁなんの役にも立たないだろうがな」
残酷にも扉が閉じられた。生身で地上世界に放り投げられた。
怖い。ここで少しでもパニオンの攻撃を喰らってしまったらそれは一生の傷になってしまう。しかも急所にくらってしまったら待っているのは
死
これを認識した瞬間、世界が赤く見えてきた。怖い、怖い、怖い、怖い。
とにかく逃げないと。パニオンから逃げないと。
「ウヴォー」
パニオンの叫び声がする。まずい近くにいたのか。くそ、こっちにくる。死ぬのかこの俺が。こんなところで死ねないのに。あいつらに復讐しないと。こんなところで死んでしまったらあいつらの思う壺だ。
そうだ戦えばいい。幸いなことに最低限の装備をつけている。目の前にパニオンがくる。戦える。俺は戦える。刀を握る。
カチカチカチ
なんだこの音は。手が震えているのか。体がうまく動かない。足が震えている。死という根源的な恐怖に体が追いついていない。パニオンが突進してくる。くそ、動け。動け、動け、動け。ここで死ねないだろ。どんどん近くなってきている。死ぬのか俺は。そんなの嫌だ。でももう目と鼻の先にいる。死ぬのか。くそ、なんなんだこの世界は。なぜ強者が弱者に虐げられなければならない。この世界はクソすぎる。
バーン!!
目の前でパニオンが弾け飛んだ。助かったのか?
バーン!!
再びパニオンが弾け飛ぶ。俺は弾け飛んだ理由を探るために周囲を見渡す。女が立っていた。背が高くスタイルも良い。とても美しい女だ。だが、あいつはソテリアである感じはしない。生身なのか?銃を構えている。
しかしパニオンが後ろから迫ってきている。あんなタイプの銃は近距離が弱いとシューが言っていた。しかし接近し切る前にバク転のような跳躍をした。甘く見積もっても2mほど飛んでいるだろう。助走をした様子もなかったのになんであんなに飛んでいるんだ。月と重なり女神のように見える。そのままの勢いで近づいていたパニオンをピストルのようなもので撃ち抜く。
それをみて勝てないと悟ったのだろうか。ちりじりと逃げ始めた。しかし女はそれを許さなかった。アサルトのようなものを構え、引き金を引いた。音からして反動はかなりありそうだったが、微動だにしていない。反動など知らないようだった。こんなことを考えているうちにもどんどんパニオンが死んでいく。しかし女は悲しそうな表情をしていた。
銃声が止んだ。どうやら倒し終わったみたいだ。周りを見回してみると12体以上のパニオンの死体が転がっている。一人で倒し切ったのか。こいつとんでもなく強いぞ。
なぜかパニオンの死体の前で立ち止まり、少し経ってから合掌をしてから、なにもなかったかのように近づいてきた。こいつは味方なのか?わからない。俺は今から何をされる?そんな俺の疑問をよそに女は手を差し出し、
「もう大丈夫だよ。……命に変えても守ってみせるから」
と優しい声で話しかけて、痛くなるくらい強く俺の手を握ってきた。
俺は自然と身構えて
「お前は誰なんだ」
と言った。
「あ〜名乗ってなかったね。私の名前はアルケス。アルって呼んでくれると嬉しいな」
人差し指を顔に当てながらこう言った。
この時の俺はまだ知らなかった。このアルケスという女のことを、この世界のことを。




