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宝石だけじゃない、工学知識でモノづくり ~荒野での快適生活を邪魔する奴らは、返り討ちにする~  作者: 色石ひかる
2_荒野の拠点

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第7話 今後の方針

 俺とレネを暗殺しようとした男たちを返り討ちにして、荒野の入口には俺とレネしかいない。このまま北側を目指して、丘と山の間をまっすぐに進むと隣国ルシェロ王国に着くらしい。


「たしかルシェロ王国の街まで徒歩で2日くらいだが、街を目指すのか荒野で拠点を作るのか相談したい」


 レネに向かって意識的に声をかける。


 元女神であるレネに俺から提案するのも気が引けるが、いままでの雰囲気から俺のサポートに徹しているように思える。俺の体を消滅させて異世界へ連れてきたのを気にしていると思うが、設定した幼馴染みのように気軽に話してもらいたい。


「キュウヤの好きなほうで構いませんわ。荒野の横断でも拠点を探すにしても、私と神力の使い方を身につけたキュウヤがいれば問題ありません」


「それなら拠点を作って、まずはスキルと神力を使いこなしたい。レネの植物スキルもどのような感じか知りたいが、街を後回しにすると神殿へ行くのが遅くなるがそれでも大丈夫か?」


 レネは自分の立場や異世界召喚について、この世界の神に会いたがっていた。


「時間は充分にありますから大丈夫ですわ」


「わかった。拠点を探しながら、ルシェロ王国の街へ向かう方針で移動する。拠点を作るにしても、街の位置を確認しておきたい。必要な品物は街で購入したいし、アオトとコハルが心配で、彼らの情報を入手するにも街へ行く必要がある」


 俺たちが生きているのは国王の耳にも入ると思うから、俺たちをかばったアオトとコハルの立場も心配だった。


「あのふたりを気に掛けるとは、キュウヤはやさしいですわ。危険な目に遭っていたら、助け出すのもやぶさかではありません」


 レネにやさしいといわれて、うれしくもあり恥ずかしくもあった。何処までできるかは分からないが、レネに誇れるような生き方をしていきたい。


「魔力やスキルは充実しているらしいが、もしクリニエル王国から逃げたいと言われたら拠点に招き入れよう。ルシェロ王国へ向かいたいが、食料や水がないからなるべく早くたどり着きたい。神力の体だとどのくらい飲食がなくても大丈夫か?」


「当分の間は平気ですが、ただ数日もエネルギーを補給しなければ、少しだけ力が衰えます。それでもよほどのことが無い限り、魔物に倒される心配はありませんわ」


 当分の間がどのくらいの期間かは気になるが、数日でも少しの影響なら食料や水よりも移動や拠点探しを優先してよさそうだ。俺たちにはこの世界で重要な魔力はないが、レネからもらった神力はそれ以上にすごかった。


「食料と水の優先順位は低くて平気そうだから、直線的に進みながら移動する。途中で魔物や盗賊が出るかも知れないが、俺は先ほどの棒を作って退治しようと思うがレネはどうする?」


 ゲームのように体が動くので、早めに形だけでも槍を作って慣れておきたい。いまは先ほどと同じ棒でも充分に動けるが、やはり棒と槍では動きが異なる。


「素手で大丈夫ですが、威嚇や追い払うのには不向きです。弓や短剣などの飛び道具があれば楽ですが、荒野なら素材の多い小石で充分です」


 俺たちは狩りに来ているわけではないから、すべての魔物を倒す必要はない。だからレネは飛び道具を選択したようだ。追い払うだけに使用する小石なら硬さもそこまで必要ないから、近場の鉱物で作れば大丈夫だろう。


「投げやすい大きさの小石をいくつか作っておく。俺も好んで戦闘をしたいわけではないから、逃げていく魔物はそのままにしておきたい」


 再度、周囲の地面に鉱物鑑定を唱えて、小石に出来そうな鉱物を探す。クオーツと呼ばれる石英がたくさんあるから、この鉱物を使って小石を作ろう。


 鉱物加工で大きさと形の異なる小石をいくつか作ってレネに渡した。レネは小石を受け取って、手首のスナップだけを効かせて遠くへ投げる。簡単に投げているが、100メートル以上も遠くへ飛んでいって、意図的か分からないが変化球のように小石が曲がる場合もあった。


「少し平たい、この小石が投げやすいですわ」


 レネが選んだ小石は厚みのない楕円形だった。指定された小石を鉱物加工で作るときに、もろくはなるが表面の硬度をあげて威力を増しておく。ふつうなら空気抵抗を減らす流線型の形状を考えるが、100メートル以上飛ぶので問題ないだろう。


 片手に10個はもてそうな大きさなので、10個ほど作ってレネに渡す。同じ小石を作るからなのか、2個目以降は出来上がるまでの時間が短かった。


「野球のように球が投げやすいと思ったが、楕円形を選んだ理由は何だ?」


「曲がりやすくて、いろいろな方向へ投げやすかったからです。遠くにいる魔物を狙撃するわけではないので、360度どの方向へも対応しやすい小石にしましたわ」


 変化球を投げていたのも、どこから魔物がきても対応できるようにするためで、レネの考えに感心した。


「初めての異世界冒険となるが楽しくいこう」


 馬車から利用できそうな荷物のみを袋に入れて、レネと一緒に荒野を歩き出す。目指すは山と丘が見える谷間で、そこを通ってまっすぐに進むとルシェロ王国の街が見えると聞いた。


 途中でキツネやトラのような魔物に出会って討伐していたが、2日と聞いた工程を1日で移動して、遠くに街がみえる位置まで到着した。


 魔物討伐はレネの小石で充分だったが、俺の練習も兼ねてたまに近くまで魔物をおびき寄せて討伐した。魔物の姿は動物に似ているが大きさは2倍程度もあり、目が赤くて体からは炎のような黒いゆらぎが異様さを際立たせていた。


「思ったよりも早く街がみえたが、拠点になりそうな場所を先に探したい」


 いくつか魔石を入手したので売れば街で買い物はできるが、拠点で落ち着いたあとにじっくりと街をみたかった。


「東側は高い山が連なっていて、西側が丘とその奥に森がみえましたわ。拠点にするのなら山か森のどちらにしますか」


「俺の鉱物スキルを考えると山が鉱物の宝庫でうれしいが、レネの植物スキルなら森がやりやすいだろう」


 川があればそちら側を拠点にしたいが、山でも森でも川はありそうなので決めかねていた。森は食材を探しやすそうだが、山なら鉱物スキルを使って簡易的な家も作れるかもしれない。


「キュウヤのスキルを優先してかまいませんわ」


「わかった。山を目指して進もう。もし拠点になりそうな場所がなければ、森にも調査範囲を広げよう」


 レネと一緒に山へ向かって道を歩き出してしばらくすると、前方の遠くから人影が何名か見えた。人影は街へ向かうのか俺たちの方向へ移動してきたので、あまり時間をかけずに顔を認識できる距離まで近づいた。

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