17
「もうひとつ確認。俺がゲイだっていうのは?」
やっぱりそれは聞かれるのか。
「俺、言いふらしたりしないから。
それに、カースト最底辺のゲイが、カーストトップの完璧超人をゲイだと言いふらしたとしても、誰も信じないから安心して」
すでに自分で失言しているので、言い逃れをするつもりはないが、何を見たとも言わなかった。
向けていた顔を逸らして言ったのは、だからもう関わって来ないでという意図を、言外に含ませたかったからだ。
しかし、すぐ隣から、ぷっと笑う声が聞こえて、綾斗はまたそちらに顔を向けることとなった。
「“カースト最底辺のゲイ”?“完璧超人”?」
面白そうに綾斗の言葉を復唱しながら、猪瀬春太は自身と綾斗を交互に指さす。
「な、なに?」
「いや、そんな風に思ってるんだと思って。ご存知の通り、俺の方がゲイだし完璧超人でもないけど、ありがとね」
何が楽しいのかアハハと笑う猪瀬春太を、綾斗はぽかんと見つめる。
ここには俺しかいないけれど、そんなあっさりゲイを認めていいの?
「実はね、朝から気が気じゃなかったんだ。
勇樹が同性愛嫌いなのはわかってるし、もし木佐くんが勇樹に今朝のこと伝えてたら、勇樹、俺のこと軽蔑するかなとか考えて、正直怖くて吐きそうだった。
で、勇樹に会うのは怖いから、まず木佐くんに確認しようと思ったんだよね。
もし木佐くんがまだ勇樹に話してなかったら、木佐くんを篭絡して黙らせようかとも考えてたよ」
告白未遂を吹聴されていなかった安心感からか、異常にハイテンションな猪瀬春太のネタ晴らしが始まる。




