大通り、シャトルラン!
7話目!
大筋セーブ投稿!
もう少し詰めます!
さて、槍の人は居ますかね。
町の入り口からは、結構な頻度でストレンジャーが楽しそうに出かけて行く。
ストレンジャーは直ぐにわかりますね。頭の上に文字が出てますからね。どんな原理なんですかね?あの人は冒険野郎マクガイバーさんと言うんですね。やっぱり草原のモンスターを狩るんですかね?程々にとかは、無理でしょうね。レベル上げたいでしょうし、ドロップアイテムって言うのも欲しいんでしょ?寧ろ乱獲しに行きますよねゲーマーさん達は。チュートリアルで聞きましたよ!
「清史郎じゃないか。その森狼達がテイムモンスターか?えらい数だな!」
槍の人が出て来ましたね。呼んでもいないのにね。まあ、会いに行くとこでしたが。森狼?この狼達の種類ですかね?
「はい、仲間になっていただきました」
「そうか。それにしても群れを丸ごととは恐れ入ったな、大分少ないが...よし、テイムモンスターにこの首輪を付けてくれ。他の住人達への目印になる」
なるほど、これはテイムしてるから安全ですよと宣言する為のもですかね?飼い犬的な!
「わかりました」
「首輪を付けてないと、殺されても仕方ないからな」
そっちでしたか。物騒な事この上ない!
「嫌かもしれませんが、付けてないと切りかかって来る輩がいるみたいなのでお願いします」
『ヒト族は、野蛮な奴が多いのだな。仕方がない、そう言うものと割り切ろう。付けてくれ。群れの分もな』
狼に首輪を付けていく。数が多いですね。仕方ありませんが、愚痴りたくもなりますよね。付けないと斬りかかって来るそうですし。はい、完了です。
「付け終わりました。これで中に入れますね」
「そうだな。しかし、これだけ覚えておいてくれ。テイムモンスターがしでかした事は、テイマーが責任を取るんだぞ。忘れるなよ清史郎!」
あー、そう言う事もあるんですね。牢屋とか勘弁ですよ。気を付けましょう。牢屋ってあるんですかね?斬り捨て御免とかじゃ無いですよね?
「わかりました。色々ありがとうございます!では、中へ入りますね」
「ああ、入っていいぞ!いつでも声をかけてくれ。衛兵に分かる事なら教えてやるよ。くれぐれも気をつけるんだぞ新人テイマー!」
これは手厳しい!
「ありがとうございます。では、また!」
挨拶をし、町へ入る。
さてと、冒険者ギルドに向かいますか。ガインさん、いますかね?相談したい事だらけですよ。慌てず、急がねば!
大通りをゆっくり歩き、冒険者ギルドへ。
「ガインさん!ガインさんはいますか?」バタンバタン!
相変わらず、うるさいドアですねぇ。
「なんでぇ、清史郎じゃねーかぁ?ジョブには就けたのかよぅ」
朝から飲み続けてるんですかね?
「はい!見て下さい!私の仲間たちです!」
「森狼たぁ、なかなかやるな清史郎ぅ!でもよぉ、何か元気ねぇなこいつら…」
流石Cランク冒険者ですね。ただの呑んだくれでは無かったみたいで安心しました。う、疑ってなんかいませんよ?
「そうなんです。ストレンジャーが狩りまくりで、彼等の餌場や仲間さえも奪われてしまったそうです」
「ストレンジャーの冒険者かぁ。あいつら、迷惑かけまくってんなぁ。森狼狩るとか何考えんてんだよぉ!」
「ほんとに。今日だけで、どれだけの文句が冒険者ギルドに来たか。もうウンザリだわ!森狼にまで手を出してるとはっ!」
マリーさんの所にも何やら被害が出てるみたいですね。
「清史郎ぅ、狼達の飯なら何とかしてやらぁ。俺とマリーに任せろやぃ!」
「そう言う事ね。安く仕入れて上げるわよ。山ほどね!」
「山ほどですか?」
「そうよ!貴方のアイテムバッグなら入るでしょ?そんな凄いものどこで手に入れたのよ?」
「切り番記念でいただいたんですよ営業本部長様に」
流石に営業本部長は知りませんよね?
「営業本部長様は知らないけど、太っ腹な人ね。運が良かったじゃない!」
太っ腹でもナイジェリアは無理なんですよねー。でも、何企んでるんですかね?ガインさん、マリーさん、悪い顔してますけど。
「んでだ、とりあえず狼達をテイマーズギルドに見せに行ってこいや!そんで、少し預かってもらえぃ!その間に餌集めといてやっからよぉ」
「良いんですか?」
「おう!」
「任せなさい!」
「では、お願いしますっ!行ってきます!」
清史郎は、狼達を連れて大通りをゆっくり進む。
ガインさんとマリーさんに迷惑をかけてしまいましたね。私の仲間達の為にありがとうございます。
「大丈夫ですか?もう少しの辛抱ですからね」
『問題ない。すぐに死ぬわけではないからな』
良かった。でも、出来る限りゆっくり急ぎましょう。私の仲間達なんですから。
清史郎は、テイマーズギルドの扉を開ける。
「アニマ!アニマ居ますか?」
「これはこれは、清史郎!お早いお帰りですね。成果はありましたか?おや、その子達は森狼ですか。数が少ないですが群れをテイムとは、流石テイマーズギルドの新星!」
「アニマ、詳しい話は後でします。私の仲間達を預かって下さい。飢えと疲労で弱ってるんです。私はご飯を調達に行ってきます」
「わかりました!早く行って来なさい、清史郎!」
「ありがとうございます!行ってきます!」
大通りを引き返す。
今日で何回大通りを往復するんですかね私は?
高校生の部活みたいですよ。帰宅部でしたが。シャトルランでしたっけ?往復で走り倒すやつって?
さて、ご飯の具合はどうなってますかね?
清史郎は、再び冒険者ギルドを訪れる。バタンバタン
ドア換えましょうよ?出入りするたび鳴るじゃないですか!
「はえーよ、清史郎ぅ!ここに座って黙って待ってろぃ。もう少し毟るからよぉ」
ガインの台詞も顔も、悪人そのものである!
毟る?何を?髪の毛ですか?それだけはやめたげてー!
「清史郎君、もう少し待って下さいね。狼達をお腹いっぱいにさせてあげますから!」
マリーもガインに負けず劣らずの腹黒い顔を見せる。
「わ、わかりました。お願いします」
何これ?怖いですよ!犯罪じゃないですよね?牢屋は勘弁ですよ!合法で!合法で頼みます!
ストレンジャーが6人、素材買取カウンターへやって来る。
「あのツノウサギ弱くて良いカモだな!乱獲しちまったぜ!」
「レベル上がったしな!」
「おねーさん!これ買取おねがーい!」
チャラいですね。こんな奴らが私の仲間を追い詰めたと思うと腹が立ちますね。斬り捨てたら牢屋案件なんですかね?そこんとこどうなのよ、営業本部長さん?
「すいません。ツノウサギの肉は今は買取してないんですよー」
「何でだよ、今朝は買い取ってくれたじゃねーか!」
「買取拒否とか何様だよ!」
お前が何様だよ!お前らのせいでストレンジャーの評価が駄々下がりですよ!営業本部長ばりに、メコメコにしてあげますよ!
「供給過多なんですよ。需要が無いのに買取する訳ないでしょう?置いといても腐るだけだし」
ん?需要と供給があるんですか!ゲームがいきなり、経済を含み出しましたよ!この様子では、流通もあって然りですね。よく出来てますね、このゲーム。でも、ゲーム感覚で行くと足元を掬われそうですよね。最早、ゲームでは無く、異世界と認識した方が妥当ですかね?現実と然程変わりないみたいですし。
「NPCの癖にでかい口叩くなっ!」
「さっさと買い取れよ!俺らの戦果をよっ!」
あー、マナーが悪い!最早犯罪者ですよ。同じストレンジャーとして恥ずかしい限りです。ところで、エヌなんとかって何ですかね?現地の人に向かって言ってるので、現地の人の事だとは思いますが?ゲーマーさん達の中でのスラングなんですかね?こう、ゲーム用語みたいな?
「では、ツノウサギの肉、全部で50リムで良ければ」
「ふざけるな!100以上あるんだぞ!」
「どうせ、他でも断られたのでしょう?もう、ツノウサギに価値なんて無いんですよ。ストレンジャー様達が大量に持ち込むので、買ってもらえるだけでも有り難いと思いなさい!」
マリーさんが怖い!そして、この状況が辛い!
「坊主ども、その辺にしとけよぉ。冒険者登録抹消されんぞぉ。一度抹消されたら二度と冒険者にゃなれんぞぉ。それに恐喝にしか見えねぇなぁ。衛兵呼ばれる前に物持って帰るか、金受け取るかした方がいいんじゃねぇか?ストレンジャーさんよぉ。まあ、持ってても腐るだけだけどなぁ」ガハハッ!
あー、どっちが悪人なんですかね。ギリギリ合法みたいにしか見えないよ!黒幕は私じゃないですか?違いますよね?いや、背に腹は変えられませんが!
「わ、わかったよ」
ストレンジャーでも、ガインさんにはビビりますか!強面ですもんね。
お金を受け取り、ストレンジャー達はギルドを後にした。後姿に哀愁を感じたのは清史郎だけみたいだ。
「清史郎ぅ、大量だわ!!こんだけありゃ、しばらくは大丈夫だな!」
「これで狼達も一安心ね」
笑うしかないですよね。一安心ですけど。よし、もう少し頼みましょうか?幾らでも持ち歩けるんですし!腐りませんしね!切り番記念万歳!
「ここに1000リムあります。今回の金額を引いた残りで肉を出来るだけ多く集めてもらう事って出来ますかね?勿論、狼の肉はダメですよ!共食いみたいで気が引けますので」
「できるわよ。低価格依頼として張り出してあげるわ」
「任しとけやぃ!」
「では、お願いします。ギルドに来た時受取りますね。そのお金が無くなったら取り敢えず終了でお願いします。出来るだけ沢山お願いしますね」
「任せといて!」
「冒険者仲間にも声掛けとくわ!森狼好きな奴ぁ多いからなぁ、力になんだろぅ?」
「ありがとうございます!」
よし、ご飯はこれで良いでしょう。お肉受け取ってテイマーズギルドへ行きましょう。
「さあ、受け取って!ツノウサギの肉283個よ!占めて78リム!」
「多い上に安い!ありがとうございます」
肉に手を向け、メディスンバッグに入るように念じる。
「良いわねそのバッグ」
「メディスンバッグはあげませんよ!」
「わかってるわよ!」
「それでは、頼みましたマリーさん。ガインさんもありがとうございます」
「良いってことよぅ。早く行ってやれやぁ!腹減って死んじまうぞぉ!」
「行ってきます!また、後で来ます!」
「いってらっしゃい!」
「おう、行って来い!」
ありがたいですね。私もストレンジャーと知っているはずなのに、差別はされていません。あんなストレンジャーと一括りにされたら堪りませんけどね。さあ、急ぎましょう。
大通りをまた引き返す。テイマーズギルドに向けて。全速力で!
「アニマっ!」
「清史郎、早いですね。戦果は?」
戦果で良いんですかね?戦って無いですけど私は。あの二人はある意味戦っていたんでしょうけど…
「上々です!食べさせていい場所ありますか?」
「ここで大丈夫ですよ。大きめのタライを用意しましょう!」
アニマは、アイテムポーチから巨大なタライを取り出して床に置いた。
「さあ、出して下さい。お仲間がお待ちですよ!」
大きいですね。さあ、出しましょう。
「お待たせしてすいません。さあ食べて下さい!」
メディスンバッグをタッチし、プレートを出す。取り敢えず23個入れちゃいましょう。たんと召し上がれっ!
タライにツノウサギの肉が大量に現れる。その数23個!狼達の涎が凄い!
『何という光景。清史郎!恩にきる!さあ、皆食べよう。清史郎からの贈物だ』
狼達の遠吠えが連鎖する。歓喜に震えるその声に群れの主は優しげな表情を見せる。景気良く肉を喰む音が響く。
「素敵な遠吠えでしたね、清史郎。喜びの感情がよく出ていました。2、3日様子を見れば大丈夫でしょう」
「良かった...本当に良かった...」
清史郎の頬には、いつしか涙が流れていた。同胞によって引き起こされた悲劇を回避できた安堵。現地の人の優しさ。狼達の歓喜。水をタライに入れるアニマと暫くその光景を見守るのだった。
食休みの狼達を見ながら、あらましをアニマに説明した。
「と言う訳なんです」
「ストレンジャーの冒険者達が一気に増えた弊害ですか。バランスが崩れたんですね。全く面倒な!暫く続きそうですねこれは…」
「まだまだ増えるでしょうね。色々なところに問題が出ると思いますよ。同じストレンジャーとは思いたくありませんが」
ゲームを楽しむのはわかりますが、迷惑をかけていい事にはなりませんから。現実でもあんな振る舞いなんですかね?何にせよ恥ずかしい事この上ない!
「清史郎、貴方は他のストレンジャーとは違います。既にガイン、私に認められています。卑屈になどなってはいけません。貴方の様なストレンジャーもいると言う事を私達は知っていますから」
ありがたいですね。全部悪だと言われたら、このゲーム終わりですよ。営業本部長が路頭に迷ってしまいますよ。
「ありがとうございます。小さい事ですが、ストレンジャーにも良い奴が居るとわかってもらえる様に頑張ります」
少しでもストレンジャーの地位を上げなければ!私の居場所すら無くなりそうですよ。全く、勘弁して頂きたいですね。
「清史郎、貴方なら大丈夫ですよ!私も、きっとガインも味方してくれます!」
「肝に命じます。それと、狼達の事なんですが…」
「明々後日の朝まで、ここで療養させてあげて下さい。彼らのご飯は、こちらで預からせて下さい。小さなアイテムポーチですが時知らずですから。それに森狼達を愛でなけれなりませんし」
若干怪しい言葉が聞こえましたが大丈夫ですよね?はぁ、これは頭が上がりませんね。ツノウサギの肉を全て渡しておきましょう。あんなタライが入るなら肉も入るでしょう。
狼達のご飯を私ながら、清史郎は頭を下げる。
「アニマ、よろしくお願いします。狼達を頼みましたよ。明々後日の朝迎えに来ます。って言っても様子は見に来ますよ」
「そうしてあげて下さい。腹が減っては冒険は出来ませんから。休養も必要ですよ、清史郎!」
そうですね。腹が減っては冒険もくそもありませんから。ゆっくり休んでいただきましょう。
「たくさん食べて、休養していてください。私は獲物の確保の仕事がありますから」
『助かる。我の妻はやれぬが、この群れを頼む。この群れの主は清史郎、お主だ。我共々よろしく頼む!』
妻溺愛ですね。私と同じですね。気が合いそうで何よりです。群れの主になってしまいましたね。責任重大です!
「いいんですか?主の座を譲ってしまっても?」
『かまわん!皆が無事ならそれで良い!』
「わかりました、謹んで受けましょう!」
もっと気楽でも良いんですよ。仲間じゃないですかー。主の責任とかあるんですかね?
『我等を頼む、清史郎!』
「任されました」
群の主なのに呼び捨てです!
「清史郎、テイマーズギルドに登録が完了してませんでしたね。ここも冒険者ギルド同様、依頼があります。登録しておく事をお勧めしますよ」
わーお、就職の窓口、ここにもあったんですね。
「名前とテイムモンスターだけ、これに書けば登録完了です!さあ、書きなさい!」
強引!これで無職じゃなくなるー!
「はい、記入完了です。よろしくお願いします」
「承ろう!これを頼む!」
「・・・・・」
無言で書類を持っていく受付嬢さん。相変わらず、愛想が悪いです!もしかして嫌われてます?
「少し待っておれば、テイマーズギルドカードが出来上がる。何、すぐ出来る心配無用だ」
狼達を撫でたりしていると、カードを持った受付嬢が現れる。
「・・・・・・」
「これで登録完了だ、清史郎」
「わかりました。何か良い依頼あったら教えてください。では、いってきますアニマ!」
「明々後日の朝だ!忘れるでないぞ!」
清史郎は、走り出す。大通りをまた引き返す。シャトルランの如く。
無職では無くなったが、稼ぎは無い。寧ろ出費ばかりだ。
「大通り何回往復するんですかね私は?」
清史郎はひた走る、冒険者ギルドへ!
当初の目的である冒険者になる為に。
「ダブルワークですね」ふふっ
イジイジするからね!
違う内容になってたらこめんね。