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第十四章 同感4

オリジナル:http://blogs.yahoo.co.jp/kome125

皆、慌てふためく様子は無く、ただ黙って自分の携帯電話のテレビを見詰めていた。



すると近藤が何かに気づいた。



そして近藤は、「おい皆んな、全員で携帯電話でテレビを見てしまうと、



その内、携帯電話の電池が切れるぞ。



誰か一人の携帯電話で、テレビを皆んなが見る様にして、



後は外出中の営業の奴らから、電話を来るのを待ち受けに使わないと、



停電中だから充電は出来ない。



この外の有様だと数日は、停電状態が続くかもしれない。



俺も一応予備充電様の電池は持っているが、なるべく電話を掛ける為に、



携帯の電気を溜めて置け」と、指示をすると、社員達は突然、大事な事に気づいた。



そう、自分の都内の身内の安否である。



すると一斉に社員達は、携帯電話で家族や身内、そして知り合い親友などに、



電話を掛け始めた。



だが時はすでに遅しと言わんばかりに、携帯が通じない状態になっていた。



この時、初めて社員達は、パニックに陥るのであった。



電気の供給は来ない、携帯は通じない、テレビ放送は国営すら写らない、



ライフラインの全てが、麻痺した事に気づいた。



すると近藤が大声を張り上げて、「落ち着け、いいか皆んな良く聞くんだ。



今都市機能は麻痺している。



だがこの洪水は雨が止めば、数時間で水は全て都内から掃ける。



何故かだが、今この状態は都市の下水施設全般の、水が掃ける設備の限界で、



この様な状態に置かれている。



だが東京の下水施設は、増して来る水が無ければ、



全て都市に溜まった水は、海に流れる仕組みだ。



しかし今よりも、雨が上がりその都内に溜まった水が、掃ける時に災害が置き易い。



何故なら今俺達は、ここで身動きが取れないが、



少し身動きが取れる状態に成ると、一刻も早くここから脱出したくなり、



外に出様と試みるが、水が掃けない内に動き出すと、とても危険だ。



パニクルのが一番命を奪われ易い。



だから、ここでしばらく静かにじっとしているんだ」と、社員に告げると、



社員達は落ち着きを見せて、自分のデスクでじっとしていた。



利奈も自分のデスクの席に着いた。



隣のデスクの近藤も、席に着いた。



不安そうな利奈を横目で見る近藤は、



そっと自分のデスクから、利奈の手を持った。



利奈は近藤にそっと振り向き、また顔を戻した。



言葉を無くす社員達、皆雨が止むのを、静かに待っていたのだった。



近藤が悟った様に、2時間後に雨は止み、外は冠水した水が、



街をゆっくりと流れていた。



それを本社ビルの二階のフロアーから、社員達は眺めていた。



すると誰もが予想出来ぬ事態が、待ち受けていた。



下水に流れ込んだ水が溢れて、街は冠水していたが、



急に下水の本来の機能が戻ると、近藤が悟った様に、



冠水した水は一気に下水に流れ込む。



至る所で渦を巻き、大洪水は激流と化したのであった。



まるで街は、洗面台に水を溜め顔を洗い、



その洗面台の栓を抜いた様な状態に成り、



一気に街に溜まっていた水が掃けて行った。



あちこちで、ゴボっと音を立てては、



大きな空気の塊が下水から浮いてきて、地上で溜まった水面の上で爆ぜていた。



街にはあらゆる物が流れていた。



その時だった。



幼い女の子が激流に流され、助けを求めていた。



丁度会社の前を過ぎていった。



すると近藤は無意識に、窓から激流に飛び込んだ。



それを見た利奈が、「智彦」と、叫んで利奈も激流に飛び込んだ。



一瞬の出来事で、止める事が出来なかった会社の社員達。



二人の名前を叫ぶだけで、見届けるしかなかった。



すると近藤は女の子の所に泳ぎ着き、女の子を抱えて流されていた。



利奈も二人に泳ぎ着き、近藤の手を持とうとすると、



近藤の方から利奈の左手を掴んだ。



三人は激流に流されながら、何かに掴まろうと必死で、近藤と利奈は、



片方の手を伸ばしていた。



その時だった、利奈が道路標識のポールを掴んだ。



だが激流は近藤の体に強く当たり、手に付いていた油と水が混じり、



滑り易く成っていた。



滑る利奈と近藤の手は、無常にも滑り出し、



近藤は最後の利奈の左手の薬指を掴んだが、



利奈の指輪と共に手が離れ様とすると、



指輪を近藤が掴み、指輪が利奈の薬指から抜けて行く。



滑り利奈の薬指から抜けて行く指輪を、



近藤が握り締めて、離れてしまったのであった。



そして利奈は掴んでいたポールを離して、また激流に飲まれて行った。



すると道路はYの字に分かれていて、激流は綺麗に左右に分かれて流れていた。



近藤は右側の道路に流され、利奈は左側の道路に流されて行った。



利奈はその時、また道路標識のポールを掴むと、



丁度その横に、家のベランダが目に入った。



もう片方の手で、ベランダの鉄製の手すりを掴み、



ポールを持っていた手も、ベランダの手すりに手を掛けると、



ベランダによじ登って、その家のベランダに下りた。



ひたすら智彦の名前を叫ぶ利奈は、もう成す術は無かった。



そしてそこの家のベランダに、座り込むしかなかった利奈は、



ただ泣き叫ぶしか手立ては、なかったのであった。



この物語はフィクションであり、登場する人物、建物などは実際には存在しません。

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