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ギルド受付は職業の自由を重んじたい

「……んだぁ? この女。あのなぁ、嬢ちゃん、ここは、あんたみたいな貴族のご令嬢が来るような場所じゃねーんだよ。金持ちの甘ったれお嬢は、家で茶でも飲んどきな」


威圧するようにノエルに詰め寄る男に、エリオットは呆れ顔で声をかける。


「ちょっとあんたら、勝手に盛り上がらないでくれる? 依頼の受注はおれを通してもらわないとできないの。そんで、この依頼はこのお嬢さんに任せたの。あんたの出る幕はないってこと、おわかり?」


面倒そうにそう言うエリオットに、男たちはいきり立つ。


「おい、たかがギルドの受付がおれたちに指図しようってのか? おまえがそこの書類書き換えれば済むんじゃねーのかよ」


そう言って胸倉につかみかかられた手を、エリオットはあっさりと捻り上げた。


「おうおっさん。『職業選択の自由』って知ってっか? 人は能力に関わらずオシゴトを選ぶ権利があんだよ。ギルドの受付をしている奴が、『ギルドの受付しか出来ねぇ』とは限らないんだぜ?」


「ぐ……っ」


平然とした表情で屈強な冒険者を締め上げるエリオットをちらりと眺め、ノエルは小さくため息をついた。


「私はこれで失礼します」


そう言うと、ノエルは踵を返し、ギルドから出ていった。エリオットは締め上げていた男を放り投げるように降ろすと、「ふん。おれに感謝しろよ」と言ってひらひらと手を振った。


「……っくそ、なんなんだよ。なんであんな女が魔物の討伐依頼なんて受けてるんだ……!」


「おっさん、お上りさんですかい? あんたが見下した『あの女』は、ここいらじゃ有名な冒険者だ。妙な絡み方するとこんなどころじゃない目にあうぞ」


「ふ、ふざけんな。どっから見てもただの貴族の娘じゃねーか!」


「だから、言ってんだろ。職業の自由、ついでに身分の不自由。貴族令嬢やってる奴が、それしかできないなんて思っちゃいけねーよ」


エリオットはそう言うと、寝ぐせのついた髪を掻きながら欠伸をし、また手元の読書に戻った。

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