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数日後、ようやく父の仕事も一段落したらしく兄と一緒に魔樹調査に出かける。アーサー殿下やグレイも勿論いる。当初、父達だけの調査だったけれど、私も調査隊に入れて良かったわ!というか、私がその場所まで案内しないといけなかったわ。
私とリリーを案内役として調査隊一行は魔樹の居た辺りに向かった。この間よりも目ん玉増えてる気がする。これはもしや、素材取り放題祭りの開催じゃないかしら。
ワクワクしながら父と兄を見る。
「お父様、この間よりも目玉は増えていますわ。どのように増えるのか気になりますね。採取するから前に一応纏うタイプの結界を張りますわ」
ごめんね。聖女じゃないからエリアを囲う位の結界は作れないんだよ。今更ながらだけど、結界は光属性の魔法ね。
私は少し属性があるから簡単なヒールや解毒、解呪、身体強化、小さな結界は使えるんだよね。本来ならあまり優秀な物は出来ないんだろうけど、魔力量やイメージでゴリ押ししてるため、そこそこ使える代物になってはいる。
もちろん聖女や王宮治療師達が使うようなエリアを対象としたヒールや結界は使えないんだ。広範囲の結界が使えないのがちょっと悔しいと思いつつ、みんなに身体を覆う結界と身体強化を施す。
私はナイフを取り出し、木に付いている目ん玉を抉る。淑女なのにね、平気なのよ、素材取りの方の嬉しさが勝って。きっと他の令嬢達なら失神ものよね。グロいもの。
今回は目ん玉が沢山いるので30個程採る。おおよそ1本の木から30~50個位、木にどうやら寄生しているようだ。目玉が寄生している木は森の中では中程度の背の高さの木。普通の広葉樹。寄生している範囲としては半径20メートル程度。そこで気づいた。
円の中心辺りにある木は他の木より黒い。そして一際目玉が赤黒くデカい。親玉か。これは親玉は放置させて目玉を増やすのが良さそう!木自体も変化が有るのかな。
親玉の太めの枝を風魔法で1本切る。不思議な事にすぐに枝が生えてきた。攻撃はやはりしないみたいだね。目ん玉を量産したいし、目ん玉の栄養って何だろう。リチャードを連れて来れば良かったわ。
手で直接親玉の木を探ってみる。香木?香りがほのかにする。香木の元になる木なのか?
魔樹になった事で香りがするのかしら?土属性の魔力を使い魔樹の栄養を思い浮かべてその場で調節しながら魔樹に魔力を流してみると、葉がザワザワと揺れ始めた瞬間、葉から無数の目ん玉が出てきたかと思えば、色んな方向へ飛び散る。おぉぉー!!そんな増え方なのか。感動だわ。
「お父様!凄いですわ!見ましたか。目玉が増えました。量産出来そうですわ!」
私ほ目をキラキラさせながら振り向いてみるとやべぇ。父、目玉くっついてる。兄も殿下もグレイも。リリーは私の横に居てすぐに気づいて目玉を避けたようでくっ付いてはいないみたい。
不覚にも笑ってしまったよ。
結界は効かないのね。私には付かなかった理由はきっと栄養を流してたからかな?父達にくっついてる目ん玉は少しずつ魔力を吸っているようだ。
父や兄は思うように魔法が出せないらしい。殿下は出しにくいけれど、問題なく出せるみたい。グレイに至っては全く魔法は出せないみたい。中々面白い結果となったわ。
そろそろ帰る頃合いかな。
「皆様に目玉も付いた事ですし、そろそろ帰りますか」
私はそう言って枝を拾い、収穫した目玉とみんなに付いてる目玉に浄化をかける。父達の身体に付いていた目玉は奇声と共にボトボトと落ちた。
「今すぐ全て拾うのよ!!」
私は咄嗟に大声で指示をすると、父達は焦ったように目ん玉を拾い集めている。大事な私の素材達。ふふふ。みんな慌てて拾った事だし、そろそろ退散しないとね。
先程の奇声で集まってきた魔物達。今回は大きな蛇のようなやつと熊っぽいやつと狼5頭ほどが私達に向かってきた。父達は魔法剣で戦ってるわ。ここぞとばかりに魔法剣使うの楽しんでるよね。父は熊っぽい奴、兄は蛇っぽい奴、アーサー達は狼2匹と対峙するようだ。
狼さん達と目が合った。
私、魔法剣以前に剣すら持って無いのよ?
チッ。仕方ない戦うか。
指先から風を飛ばす。ポンって音と共に狼が倒れる。続けて2頭も同じ様に倒す。空気銃のイメージね。ツタを出し、3匹を括り付けて引っ張る。
「お父様達終わりましたか?」
あらあら、素材を刻んでしまいましたのね。勿体ないわ。なんだか父達が私を見て若干引いてる気がするんですが。
「さぁ、帰りますわ」
ホクホク顔で父が刻んだ熊肉ぽい物をいくつか拾って帰る。




