ゲーム探索日記 その1
今こそ、”黒歴史”タグが本格的に発動する……
何なんだよ、あれは!
いわゆる魔法ってやつか?
ふざけんな!
いきなりぶっ放すなよ!
思い当たる節?
正直バリバリありますよ!
それこそ痛いくらいな!
魔王戦はクライマックスだから、やっぱりここでもいろいろ遊ぼうと思ったんだ。
だから、わざわざ魔王戦だけメソッドを別に作って個別のイベントみたいな扱いになったのだ。
そのいろいろのうちの一つ、「魔王だけが使える即死亡魔法、『運命の審判』」
だが、まだ実装しておらず、頭の中だけの構想だったのだ。
頭の中だけだったはずなのにっ…………!
何だよ、「押し寄せる運命の女神」って!
タイムセールで特売品の為に殺到する運命の女神たち?
いらないメルマガでもないんだからさ。
あぁ、深夜のテンションって恐ろしい…………!
痛すぎて将来きっと悶絶するわ。
しかし、これはいったいどういうことだ?
ここは俺のイメージを投影したゲームの世界ってことか?
その割にはやけに魔法の発動ができすぎている。
ほんとにぼんやりとしか考えていなかったのだから、俺のイメージを投影したとしたらあんなにはっきりとしたものになるはずがないよな。
(名前だけ考えてにやにやしていたとも言う。
あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ)
それにしても、あれはないわ。
膝立ちの状態でゆっくりと前方に体を傾け、両手をつきガックリとうなだれる。
いわゆる orz をしていて、あることに気がついた。
いつからか、うっすらと俺に輪郭ができていたのだ。
もやのかかったような淡い輪郭。
指先などの細かいところははっきりとしていない。
一筆書きで書かれたような感じだろうか。
見ると、いつの間にかに地面にも固さがある。
こつこつと石のような固さ。
色は相変わらず白いままだが。
なんというか、漆喰で固めたようだ。
いつからこんな風になったかはわからないが。
きっと進むごとに自分もほかのところもいろいろと変化するのだろう。
よくよく気をつけて行動しよう。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
『モンスターが現れた!
MHP:120 MSP:13 MPP:6 MOP:5 MEP: 470
ステータス 体力243 スタミナ 564 素早さ2 防御力17 攻撃力16 です』
素早さ13かよ。
スタミナを90消費して攻撃する。
うわっ、なんだ?!
いつものように『どのくらいの力をこめますか?:』の後ろの所にに90という数をイメージしたら、体が勝手に動き出した。
誰かに無理矢理引きずられているようで、へんな感じがする。
ゆがみが動き出す前に素早く近づき、腕を振り上げる……っておい、ちょっと待て。
俺の振り上げた腕は勢いよく振り下ろされた。
攻撃方法=殴る かよ!
『勇者の攻撃
モンスターに 1386 のダメージ
勇者は勝利した。』
なんだろう、この感覚?
一瞬手応えがあったと思ったら霧散してしまった。
ゼリーを殴った感じと表現するのが一番近いといえるかもしれない。
てことは、あれはスライムなのだろうか?
顔に手を近づけ、手のにおいを嗅いでみる。
大丈夫だ、変なにおいはしない。
うーん…………
無手というと聞こえはいいけど、素手で殴っただけだ。
ファンタジーを目指したゲームとしては、なんか違うような気がする。
もっと、こう、ファンタジーらしくかっこいい魔法とか、クレイモアとか、水晶剣の二刀流とか、魔法とかさ。
いくらなんでも素手で殴るのはないだろう?
ゲーム世界における攻撃の有り様について考えていたら、ログが更新された。
『宝箱を発見した!
プロテクトキャンディーを手に入れた。』
おお、プロテクトキャンディー!
その名の通り防御力が増えるキャンディーだ。
やっぱり見えるような形はないようだが、口の中に何かが入った感覚がある。
口の中がしょっぱくてすこし甘い。
夏の野外労働のお供、塩飴の味が近いだろうか。
『防御力が1増えた。』
……あんまり防御力って関係ないよな。
一撃オーバーキルかフルボッコのどっちかだし。
相変わらずの白い空間を進んでいたら、なんか俺の周りを未確認飛行小物体が飛んでいるんだが。
これは、もしや…………
『妖精さんが現れた!』
ログを見ると、やはりこれが妖精さんらしい。
妖精さんキター!
どうやら、妖精さんは30代の夢見るおっさんではないらしい。
それだけは安心した。
おっさんと二人旅なんて絶対に嫌だからな。
さて、この妖精さんの諸設定もこれからする予定だったから、これ以外特に特別なイベントはない。
入手できるアイテムに「妖精のおやつ」というものがあるくらいだ。
本当はいろいろとたくら……ごほん、楽しみにしていたのだが、それが叶う前にこの状況だ。
やることといえば、名前を付けることくらいだろう。
…………実は試行で一番エラーになったのもこいつの箇所だった。
エラーを示す真っ赤な文字がずらずら並ぶ画面は、何度も見ていると精神衛生上よくなかった。
弾幕の次にSAN値削ったよな……。
スルーメソッドを導入することによってなんとかプログラムとして成立させることになんとか成功したんだよな。
こんな状況でエラーなんか起こしたらいったいどんなことになるかわからない。
そんな恐ろしいことは絶対に避けるべきだ。
安全策として、試行のときに確実に成功したアルファベットで名前をつけようか。
淡く黄緑色のかかった光が俺の周りを飛び回っている。
妖精…… フェアリー…… 黄緑…… グリーンアップル……?
なんかいいのが思い浮かばない。
こういう名前って、長くなるほど微妙になる傾向があるように思う。
ここにノーパソもしくはスマホがあったら、適当に検索するんだけど。
無い物ねだりはしても仕方がない。
まぁ、こういうときは直感だよな。
『名前をつけてあげてください。:rio 』
漢字にすると梨の音だろうか?
全く妖精さんに関係のない名前になってしまった。
妖精さんが顔に近づき、うれしそうにチカチカ点滅した。
うん。
どうやら気に入ったようだ。
『rio が仲間になった。』
…………名前が反対向きの orz に見えるような気がするのは俺の気のせいだろうか…………。
*祝 脱ぼっち!*




