↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゲームのキャラと現実世界の夏祭り  作者: ReseraN


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
1/8

第1話「暑すぎる世界」

今作から文字数を気にせず書くようにしたので、話によっては短く感じるかもしれません。

 夏真っ盛りの八月。

 現実世界・リアリティアの人々は、今日もうだるような暑さに苦しんでいた。


 年々、夏の気温は上がり続けていた。

 九月どころか、十月に入っても涼しくならない。

 リアリティアの四季は、少しずつ壊れ始めているようだった。


 ここはアクセプト寮という女子寮。

 先日、再入寮したばかりのユアは、新たな生活に慣れるために日々奮闘していた。


 とは言うものの、親しいメンバーは一人も変わっていなかった。友人にギャル組が加わったこと以外は。


 今日は久しぶりに、ショッピングモールへ出かけていた。

 寮に戻り玄関に入ると、ゲームやアニメなどが大好きな、いわゆる「空想組」の三人が迎えに来た。


「おかえり、ユア!」最初に、タハナが声をかけた。


「ただいま! どうしたの、三人そろって?」


「ユアにお客さん来てるから、早く行ってあげて」


 ラッカに言われるとユアは急いで靴を履き替え、客がいると言う食堂へ向かった。



 食堂のドアを開けると、ギャル組の三人が一人を取り囲んでいた。

 中央の者は、紫色の短髪で黒いジャケットを着ていた。明らかに夏向けの服装ではなかった。


 ユアはその見た目に心当たりがあった。


「ディン様?!」


 ギャル組とその人物が、同時にこちらへ向いた。


 紫色の髪の者はユアの想い人であり、イマスト(ファイブ)というゲームのキャラ・ディンフルだった。

 今はリアリティア仕様の姿に変身しており、名前も「ディーン」と名乗っていた。


「ユアっち、お兄さん来てるよ。すっごくしんどそう……」


 ギャル組の代表・ソウカが教えてくれた。

 ディーンは「ユアの兄」という設定で、周囲に伝えられていた。


 いつも眼鏡をかけているディーンはこの時だけ外し、すでに疲れ切っていた。


「どうしたの? “今日来る”って聞いてないけど……」


「その前にいいか……?」


 ディーンは肩で息をしながら、苦しそうに言った。

 そして……。



「何故、こんなに暑いのだ?!」



 彼が怒鳴ると、ユアとギャル組は口をぽかんと開けた。


「いや、お兄さん、今さら……?」


「リアリティアが暑いのは、数ヶ月前からだよ……」


 ヒースとズノも呆れ返った。


 彼は普段、夜にしか来ないので、昼のリアリティアは久しぶりだった。

 この暑さを知らないのも無理はない。


 そこへ空想組が心配して、食堂へ入って来た。


「先ほど来てビックリしたぞ! まさか、リアリティアの夏がこんなに暑いとは! お前たち、よく平気でいられるな!」


 ディーンは初対面にも構わず、全員に向かって声を張り上げた。


 リアリティア人も平気ではなく、数ヶ月過ごして来たので、対策をわかっていた。

「そのジャケット、脱げば良くね……?」ヒースが、引き気味で提案した。


 そこへ、タイシが疑問に思った。


「“先ほど”って……じゃあお兄さん、空港からここまで、どうやって来たんですか?」


 ディーンは、いつも空間移動の魔法でフィーヴェ(イマスト(ファイブ)の舞台)からリアリティアへ飛んでいた。

 リアリティアでは、海外勤務という設定になっていた。

 なので、海外から来るにしても、空港から暑さを感じないのは不自然だと思われた。


「い、いつも、空港からクーラーガンガンのタクシーで来るから、外の気温がわからないんだよねっ!?」


 ユアがあわててフォローした。

 少しでも怪しまれると、ゲームキャラのディンフルだとバレてしまうからだ。


 友人たちは「あぁ~!」と納得してくれたが、ギャル組はあることが引っかかっていた。


「てか、ユアっち。さっき、お兄さんのことを“ディン様”って呼んでなかった?」


「“ディン様”って、イマストのディンフルだよね?」


「何で、そう呼んでんの?」


 ソウカ、ヒース、ズノが順に聞くと、今度は空想組も疑問に思った。

 ユアとディーンは、ぎくりとした。


「そういえば、お兄さんってディンフルに似てない?」


 タハナが、ディーンを見つめた。


「声も似てない?」


「思った! もしかして、本人だったりして?」


 つられて、ラッカとタイシもじーっと見つめ始めた。

 ユアとディーンは、同時に血の気が引いた。


 危機を感じたところで、食堂の奥から、寮母がコップ一杯の麦茶を持って来た。


「遅くなってごめんなさいね。麦茶がちょうど切れてて、買いに行ってたんです」


 差し出され、ディーンは「感謝する!」と一気に飲み干した。


「ずいぶん美味い飲み物だな。色だけ見るとブランデーのようだが……。おかげで生き返ったぞ」


 彼が初めて口にする麦茶に感動していると、周りの者はどっと笑い出した。

 ヒースが思わずツッコんだ。


「いや、大袈裟だから!」


「もしかして麦茶、知らないんですか?」


 タハナが聞くと、ユアが「海外にいる方が多いから……」と疲れながらもフォローした。


 初めての猛暑、初めて顔を合わす友人と、ユアはディーンのフォローをしなければならなくなった。

 心の準備も出来ていなかったので、不安は一層強いのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ディ、ディーンがディンフィル本人のわけないじゃない!(汗 き、君たちのように勘の良いギャルは困るますよ!(笑 ソウカたちが「ギャル組」として括られているのが「ふふふ(嬉」ってなるます♪ しかし、暑…
梅雨が明けたら日本も暑いぜ…… ディン様にも涼しい格好をしてもらいましょ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。