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第35章 虚王星イクスとアイリス


第一節 観測不能の星


虚王星イクスへのアクセスは、ログインとは違っていた。


ワールドストーリーの転移陣は、いつもなら光をまとって身体をほどき、別の場所で再構成する。

けれど今回は、違う。


身体が消えるのではなく、身体の上にもう一つの輪郭が重なっていく感覚があった。


現実の自分。

ワールドストーリー内の自分。

そして、そこからさらに外側へ投げ出される第三の自分。


三重ではない。

二つのログインが、互いを噛み合わせながら、ありえない座標へ手を伸ばしている。


「ダブルログイン……」


主人公は、自分でも気づかないうちにそう呟いていた。


タクトが険しい顔でシステム表示を見ている。


「ワールドストーリー内アクセス経路なのに、現実側の生体ログにも反応が出てる」

「これ、ただのゲーム内転送じゃないぞ」


テトラが小さく頷く。


「世界の内側から、外側のどこかに触ってる」

「でも、その外側が現実とも言い切れない」


ゼロスフィアを模した球体装置の中央で、虚王星イクスが回転している。


黒青い星。

水の気配がない。

大気も、海も、雲も、地球のものとはまるで違う。


それなのに、そこには人類ログがあった。


しかも、その一部に。


父の署名が入っていた。


主人公は何度も見直した。

見間違いではなかった。


署名の形式。

暗号化された研究者識別。

そして、姓。


自分と同じ姓。


「……父さん」


胸の奥で何かが強く鳴った。


なぜ父の署名が、存在しないはずの第十惑星にあるのか。

なぜ地球外から観測できない星に、人類のログが残っているのか。

なぜワールドストーリーからならアクセスできるのか。


答えはない。


ただ、行くしかなかった。


球体装置が静かに告げる。


虚王星イクス接続開始

通常ログイン不可

ダブルログイン状態を維持

死亡概念:未定義

帰還座標:不安定


「死亡概念、未定義?」


タクトが眉をひそめる。


「死なないってことか?」


「違うと思う」


主人公は虚無の鍵を見た。


黒い鍵の表面で、星のような傷がかすかに光っている。


「死ぬことすらできない場所ってことかもしれない」


その言葉に、三人とも黙った。


オブリビオン。


忘却の地。


あそこに近い何かが、この星にはある。


次の瞬間、光が開いた。


主人公たちは虚王星イクスへ落ちた。


いや、落ちたのではない。


重力のない場所へ、投げ込まれた。



第二節 ホロウフロー


足元に地面はあった。


だが、それは土でも岩でもなかった。


黒銀の機械板が幾何学的に組み合わさり、ところどころに青白い線が走っている。

線は回路にも見えたし、魔法陣にも見えた。

一定のリズムで脈打ち、遠くの地平線まで伸びている。


空は暗い。


昼でも夜でもない。

星空でもない。

ただ、情報の波のような光が、薄い幕になって空中を流れている。


そして、地形の外側には、海があった。


しかしそれは水ではない。


霧のようで、液体のようで、穴のようだった。

形を持たないものが、大きくうねり、波のように盛り上がっては、また沈む。

色は黒に近い青。

その奥に、銀色の記号のようなものが無数に流れている。


テトラが息を呑んだ。


「虚属性……」

「でも、ただの虚属性じゃない。流れてる」


タクトが解析画面を開く。


「分子構造なし」

「液体反応なし」

「気体でもない」

「いや、これは……存在確率の流れ?」


主人公は海のようなものを見つめた。


地球外からは当然、観測できない。

そういうものなのだと、なぜか分かった。


この星は光を返さないのではない。

座標を返さない。

観測そのものが、星の周囲を覆う流れに滑らされる。


「ホロウフロー」


その単語が、頭の中に浮かんだ。


誰かから聞いたわけではない。

でも、そう呼ぶしかなかった。


虚王星イクスの周囲を取り巻く、形なき虚属性の流れ。

地形を囲み、空間を隠し、座標を奪う霧の海。


主人公が一歩踏み出した瞬間、身体が軽く浮いた。


「うわっ」


地面に足がついているのに、重さがなかった。

歩こうとすると、足が空を掻く。

踏みしめる感覚がない。


タクトもよろめく。


「重力がないのか」


「正確には、自然重力が発生してない」

テトラが杖で地面を突きながら言う。

「この機械の地形に、何かの固定術式が流れてる」

「それで辛うじて立ってるだけ」


主人公は機械の大地を見回した。


巨大な歯車のような谷。

折れた塔。

浮いた橋。

宙に静止した黒い岩塊。

そのすべてを、ホロウフローが囲んでいる。


足場を外れたら終わりだ。


落ちるのではない。


流される。


どこへ行くかも分からない深い霧の中へ。


そのとき、主人公の胸に、奇妙な感覚が走った。


足跡。


誰かが、ここを歩いた。


現実にはありえない。

機械の大地に足跡など残っていない。

それでも、分かった。


父だ。


父が、ここに来ている。


「父さん……」


主人公が呟いた、その瞬間だった。


ホロウフローの海面が盛り上がった。


波ではない。

霧でもない。

何か巨大なものが、下から浮上してくる。


テトラが叫ぶ。


「来る!」


虚海が裂けた。


そこから、長い胴を持つ化け物が現れた。


頭部は魚にも竜にも似ていない。

目がない。

口だけがある。

その口の中には歯ではなく、黒い文字列のようなものが無数に並んでいた。


虚属性の化け物。


虚海獣。


表示が遅れて走る。


虚海獣:ノル・ヴェルム


タクトが叫ぶ。


「こいつ、生体反応がない!」

「でも捕食反応だけはある!」


ノル・ヴェルムが口を開いた。


吸い込まれる。


空気ではない。

身体でもない。

存在の輪郭を引き剥がされる感覚。


主人公たちの足場が崩れ、テトラの身体が虚海の方へ流される。


「テトラ!」


主人公が手を伸ばした。


届かない。


次の瞬間、金属音が空を裂いた。


黒銀のアンカーが飛来した。


アンカーはノル・ヴェルムの首筋へ突き刺さり、空中で巨大な重力の杭となって展開する。

虚海獣の身体が、ぐん、と機械地形へ縫い止められた。


さらに、別のアンカーがテトラの腰へ巻きつき、強引に引き戻す。


「っ!」


テトラが機械床へ転がる。


その直後、空中に巨大な盾形の機械兵装が展開した。


六角形の防壁。

重なり合う機械の翼。

中心には青白い虚属性制御炉。


誰かの声が響いた。


「機械兵装イージス、展開」


盾が閉じる。


ノル・ヴェルムの口が迫る。


イージスが光った。


防御ではない。


圧縮された重力と虚属性の反転流が、盾の中央から放たれた。


ノル・ヴェルムの上半身が、無音で砕けた。


破片は血ではなく、黒い記号の雨となって虚海へ散っていく。


主人公たちは、呆然とその光景を見ていた。


機械の大地の上に、一人の女が立っていた。


黒銀の装甲外套。

背中には巨大なアンカー兵装。

両腕には盾と砲を兼ねた機械装置。

脚部には、地面へ自分を縫い止めるような鋼の杭が展開している。


銀に近い髪。

青く冷たい瞳。

だが、その奥には、長く生き延びてきた者だけが持つ警戒があった。


彼女は言った。


「初見でホロウフローへ近づくな」

「ここでは落ちるんじゃない」

「喰われる」



第三節 アイリス・イクス・ノルヴァ


「助かった」


主人公は立ち上がりながら言った。


だが女は警戒を解かない。


「名を示せ」

「どの座標圏から流入した」


主人公は一瞬迷う。


「俺たちは……地球から来た」


女の表情が変わった。


いや、変わったというより、彼女の中で何かが翻訳されたように見えた。


「アルス?」


彼女はそう言った。


主人公たちは顔を見合わせる。


「アルス?」


「地球のことを言ってるのか?」とタクト。


女は主人公たちを見たまま、一瞬だけ沈黙した。


そして、驚くほど自然な動作で片膝をついた。


「これは失礼した」

「まさか、伝説のアルス出身者とは」


テトラが目を丸くする。


「かしずいた……?」


主人公も慌てる。


「いや、待ってくれ」

「たぶん、お前が想像してるものとは違う」


女は顔を上げた。


「アルスは、今も顕在なのか」


その問いには、妙な重みがあった。


国が残っているか、と聞いているのではない。

星がまだ存在しているか。

文明がまだ崩れていないか。

そういう問いに聞こえた。


主人公は慎重に答えた。


「あなたの想像しているものと同じかは分からない」

「でも、顕在だ」

「俺たちの世界は、まだある」


女の瞳がわずかに揺れた。


「そうか」

「アルスはまだ沈んでいないのか」


彼女は立ち上がった。


「私はアイリス・イクス・ノルヴァ」

「機械神殿ノルヴァ・アークの守護者」

「あなた方を招待したい」


「招待?」


「我が神殿へ」


タクトが周囲を見回す。


「その前に聞きたい」

「ここは何だ」

「虚王星イクスなのか?」


アイリスは当然のように答えた。


「そうだ」

「イクスは隠された星」

「ホロウフローに覆われ、外界からは座標も形も観測できない」

「あなた方が生身の航行で来たなら、まず生きてはいない」


主人公は言った。


「生身じゃない」

「ワールドストーリーから来た」


アイリスが首を傾げる。


「ワールド……?」


「ゲームだ」

タクトが補足する。

「いや、ただのゲームではないけど」

「仮想世界からデータ転送されてここに来た」


アイリスはしばらく真顔で聞いていた。


そして。


「魔法? ゲーム? データ転送?」


ふっと笑った。


「はははは」


それは馬鹿にした笑いではなかった。

心底、予想外のものを見た者の笑いだった。


「そんな世界は、アルス伝説の文献にもない」

「イクスの伝承にも伝わっていない」

「だが、愉快だな」

「あなた方は、遊びの世界を通って、観測不能の星へ来たのか」


主人公は少しだけ口元を引き上げた。


「遊びの世界だった」

「でも、もうただの遊びとは言えない」

「ワールドストーリーは、この星に辿り着いた」


アイリスの目が細くなる。


「ならば、その世界は門だ」

「あるいは、門になるよう作られた世界だ」


主人公の胸に、赤い閃光のような痛みが走った。


父。


父はこれを知っていたのではないか。


ワールドストーリーが、ただのゲームではなく、イクスへの門になることを。

オブリビオンへ触れ、虚王星へ至る経路になることを。


「アイリス」


主人公は言った。


「この星に、人類のログがある」

「そこに、俺の父の署名が入っていた」

「何か知っているんじゃないか」


アイリスの表情が、少しだけ固くなった。


「父?」


「研究者だ」

「アルス、つまり地球の人間」

「この姓と同じ署名が、イクスのログに残っていた」


主人公が識別データを見せる。


アイリスはそれを見た瞬間、息を止めた。


ほんの一瞬。


だが、主人公は見逃さなかった。


「知ってるんだな」


アイリスはすぐに答えなかった。


代わりに、遠くに見える巨大な建造物へ視線を向けた。


ホロウフローの上に、ありえないものが浮かんでいた。


機械の大聖堂。


無数のアンカーで虚海の上に縫い止められた、巨大な神殿。


「話は、ノルヴァ・アークでしよう」

アイリスは言った。

「ここは長く立ち止まる場所ではない」



第四節 機械神殿ノルヴァ・アーク


ノルヴァ・アークは、地面に建っていなかった。


ホロウフローの上に浮かんでいる。


いや、浮いているというより、無数の巨大アンカーで虚海の流れに縫い止められていた。

アンカーは神殿の下部から放射状に伸び、虚海の霧の奥へ突き刺さっている。

そのたびに、機械の鎖が青白く脈動し、流されようとする神殿を押し留めていた。


外観は大聖堂に似ている。

尖塔。

アーチ。

巨大な扉。

ステンドグラスの代わりに、透明な情報板がはめ込まれている。

そこには星図、古いログ、存在座標、虚海から回収された断片が流れていた。


ただし、神秘と呼ぶには機械的すぎた。


機械と魔法が分かれていない。


歯車が祈祷具のように回り、魔法陣が回路のように光り、巨大な鐘の代わりに重力炉が低く鳴っている。


主人公は思わず呟いた。


「すごいな……」


テトラも圧倒されていた。


「神殿というより、星を縫い止める装置みたい」


アイリスは頷く。


「正しい」

「ノルヴァ・アークは避難神殿」

「沈む者の存在ログを回収し、完全に虚海へ流される前に引き戻す場所だ」


「神殿っていうからには」

主人公は聞いた。

「神を祀っているのか?」


アイリスは不思議そうに首を傾げた。


「神?」

「何だそれは」


三人は黙った。


タクトが小声で言う。


「神殿なのに、神の概念がないのか」


アイリスは少し考え込む。


「ノルヴァ語で近い語なら、アルテシアかもしれない」

「だが違うな」


すぐに否定した。


「論理演算がそれを許さない」

「アルテシアは祈る対象ではない」

「構造だ」

「この神殿は、何かを崇める場所ではない」

「沈むものを、沈みきらせないための場所だ」


主人公は神殿の奥を見た。


そこには巨大な中枢炉があった。

球体ではない。

幾何学的な心臓。

中心で青黒い光が脈動し、その周囲を数千本の細い機械糸が取り囲んでいる。


アイリスは静かに言った。


「祖先は、虚海に沈んだ神を繋ぎ止めるために、この神殿を建てたと伝えられている」

「だが本当は違う」

「繋ぎ止めているのは神ではない」

「イクスそのものだ」


「星そのもの?」


「虚王星イクスには、死の概念がない」

アイリスは言った。

「ここで終わる者はいない」

「終わる代わりに、ほどける」

「ほどけて、ホロウフローへ流れ、虚海へ沈む」

「だから、繋ぎ止めなければならない」


タクトが低く言う。


「死なない代わりに、忘却される」


「そうだ」

アイリスは彼を見る。

「あなた方はそれを知っている目をしている」


主人公は答えなかった。


オブリビオンのことを思い出した。

作者の声。

アインソフアウル。

二千兆の自分。

忘却されるよりも深い恐怖。


アイリスは神殿の中央へ進む。


「あなた方は、なぜアルスやイクスが見つけられないのか疑問に思っているのだろう」


「イクスは分かる」

タクトが言った。

「ホロウフローが観測を逸らすからだ」

「でも、アルスまで?」


アイリスは頷く。


「ホロウフローは座標を隠す」

「だが、それはイクスだけではない」

「イクスに触れた座標もまた、見つけにくくなる」

「アルスがこちらを見つけられないのは当然」

「そして、こちらもアルスを直接は掴めない」


主人公は思い出す。


地球から観測できない虚王星。

存在しないはずの第十惑星。

それなのに、人類ログがある。


「じゃあ、父さんはどうやってここへ来た」


アイリスは答える代わりに、奥の記録室へ案内した。



第五節 沈んだはずのもの


記録室は、図書館ではなかった。


本はない。

紙もない。

代わりに、無数の光の板が宙に浮かび、その一つ一つにログが刻まれている。


観測ログ。

落下者回収記録。

ホロウフロー変動値。

虚海獣出現記録。

存在保持率。

座標喪失者一覧。


その奥に、古いログがあった。


アイリスが手をかざすと、光の板がゆっくり開く。


外来観測者ログ

識別:アルス由来

署名形式:人類圏標準暗号

記録者:***


主人公の目が見開かれる。


隠されている。

だが署名の一部だけで十分だった。


父だ。


姓が同じ。

暗号形式が同じ。

そして、父の癖がある。


研究者が残す署名には、わずかな癖が出る。

無駄に見える余白。

記号の配置。

終端処理の仕方。


間違えるはずがなかった。


「父さんだ」


声が震えた。


タクトも画面を覗き込む。


「本当に……あるのか」

「どうして、こんなところに」


ログの下部に、文章が浮かび上がる。


ノルヴァ・アークは、沈む者を救う舟ではない。

沈んだはずのものを、まだ沈んでいないことにする神殿だ。


主人公はその一文から目を離せなかった。


沈んだはずのものを、まだ沈んでいないことにする。


それは、死者蘇生ではない。

救済でもない。

もっと危ういものだ。


忘却に落ちた存在を、完全に消えたと認めない装置。


父は、それを知っていた。


アイリスが静かに言う。


「この署名を持つ者は、イクスの深部へ向かった」

「ホロウフローの下ではない」

「虚海のさらに奥」

「我々が終焉の地と呼ぶ場所へ」


主人公の中で、赤い閃光が走った。


ピシッ、と頭の奥に亀裂が入る。


終焉の地。


その言葉を、どこかで聞いた気がする。


オブリビオンの奥か。

父の手紙か。

夢か。

それとも、まだ思い出していないループの中か。


主人公はアイリスを見た。


「終焉の地への行き方を知っているのか」


アイリスの表情が硬くなる。


「それを問うのか」

「アルスの子よ」


主人公は一歩も引かなかった。


「父のことを知りたい」

「それに、ここまで来た理由も」


アイリスは長く沈黙した。


その間にも、ノルヴァ・アークの中枢炉は低く鳴っている。

遠くでホロウフローがうねり、虚海の奥から何か巨大な影が泳いでいく。


やがてアイリスは言った。


「終焉の地へ行く者は、帰還を前提にしない」

「そこは死ぬ場所ではない」

「死より悪い」

「存在が、終わったことすら忘れられる場所だ」


主人公は虚無の鍵を握りしめた。


「それでも行く」


アイリスは、その鍵を見た。


黒い鍵。

オブリビオンから持ち帰られた虚無への鍵。


彼女の瞳に、初めて明確な驚きが浮かぶ。


「あなたは……すでに虚無を通っているのか」


主人公は答えた。


「戻ってきた」

「完全じゃないけど」


アイリスは目を閉じた。


そして、静かに膝をついた。


「ならば、ノルヴァ・アークはあなた方を拒まない」

「沈む者を、まだ沈んでいないことにするために」

「私は、あなた方の錨となる」


テトラが小さく息を呑む。


タクトが主人公を見る。


主人公はアイリスを見つめた。


新しい仲間。


まだ何者か分からない。

言葉も感覚もずれている。

けれど、この星で生きるには、彼女の力が必要だ。


虚王星イクス。


ホロウフロー。


虚海獣。


ノルヴァ・アーク。


父の署名。


終焉の地。


すべてが、さらに深い場所へ向かっている。


アイリスは立ち上がり、背中の機械アンカーを展開した。


「この星で盾を構えるだけの者は沈む」

「私は、落ちる場所そのものを止める」


主人公は頷いた。


「頼む、アイリス」


ノルヴァ・アークの外で、ホロウフローが大きく波打った。


虚海の奥に、先ほどのノル・ヴェルムとは比べものにならない巨大な影が横切る。


星が、こちらを見ていた。

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仮想世界だと思っていた場所が、少しずつ別の顔を見せ始めます。 続きもよろしくお願いします。
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