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第7話 これが地方都市ディードとやらかい?

 「これが地方都市ディードとやらかい?」


 水瀬は目の前に見える高さは五メートル程の街壁があり、中世ヨーロッパを思わせる建築をしている。


 「ええ、ここがライオネル王国の地方都市の1つであるディードです。」

 「他の街もこんな感じかい?」

 「地方都市は似たようなモノですが、王都などの大都市はもっと大きい街ですよ。周りを囲っている城壁ももっとしっかりとした造りとなっていますし・・・。」


 水瀬の問いにミントは苦笑しながら説明してくれた。そんなやり取りをしている間に荷馬車は、幅五メートル程の街門の前へと進み、その門の左右で待機していた警備兵らしき二人がミントの姿を確認すると、


 「お、ミントさん、仕入れから戻って来たか。」

 「・・・護衛のパーティーも揃っている様だが、そこの男は初顔だな。」

 「あ、この人は水瀬さんと言って、ここ(ディード)に帰って来る途中、野盗達に襲われていたところを助けてもらったんですよ。」

 

 ミントの説明に警備兵2人の顔色が変わった。


 「ミントさん達の様子から見て無事なのは分かるが、野盗達はどうした?」

 「ほとんど水瀬さんが討ち取りました。」

 「僅かな残りを俺達が討ち取った。」


 ミントに続いてレナードが答えると警備兵2人は安堵の色を見せたが、

 

 「あ~話はまだありまして、その後、次はシルバーウルフの進化体に襲われまして・・・。」


 ミントの説明に、警備兵2人は目を見開き驚愕の表情となり、


 「シルバーウルフの進化体だと!?お前ら、よくあんなのに襲われて無事だったな!!」

 「それでシルバーウルフの進化体はどうした!?」

 「あ~、実はシルバーウルフの進化体も、水瀬さんが負傷しながらも一人で討伐しまして・・・。」


 ミントの説明に説明に再び驚きの表情となって水瀬を見て負傷した箇所に気付き、


 「取り合えずあんた、怪我の具合は良いのか?」

 「ええ、そこのレナード君からポーションを譲ってもらったので、取り合えず傷は塞がりましたよ。」

 「・・・ポーションを飲んだだけで済む程度の負傷で済むなんて、高ランクの冒険者か?」

 「いや、生憎だが元居た所ではしがない何でも屋さね。」

 「・・・何でも屋ねぇ、その割にはあまり堅気の感じがしないんだがな。」

 

 そう言うと二人の警備兵は目を細め、警戒する仕草を取った。それを見て水瀬は「ひひっ」と嗤い、


 「そこのリタお嬢ちゃんと言い、あんたらと言い鼻は効くようだねぇ。まぁ、今言った様にしがない何でも屋を経営していたので、裏の依頼も受けていたのは否定しねぇよ。仕事を選好み出来る身分じゃなかったのでねぇ。」

 「・・・裏の世界に片足を突っ込んでいるという訳か。あんた何処から来た?」

 「日本という国から来たと言うか想定外の事で、転移して来たんだが・・・。」

 「聞いた事のない国だな?それに想定外の事で転移して来たとは?」

 「言葉通りですわ。依頼で神隠しが昔から定期的に起こると言う噂のある山で人を散策していたら妙な霧に包まれて晴れたら、そこのお嬢ちゃん達が野盗どもに被害に遭っていた場所の近くに移動していたと言う訳さね。」

 「・・・山中を散策していたら霧に包まれて転移した・・・ねぇ。まぁ、そういうトラップがあると聞いた事はあるが・・・う~ん、どうする?」

 

 どうも水瀬を街に入れる許可が下りなさそうな雰囲気になって来たのでミントが慌てた様に、


 「待ってください!確かに水瀬さんは危ない人かもしれませんが、私達を助けてくれたのは確かですし、どうもここら辺の地理に詳しくない上に、お金なども無い様なので、ここで街に入るのを拒否されたら野垂れ死んじゃいます!命の恩人がそうなるのは私としても心苦しいので、通行許可をお願いします!」

 「・・・まぁ、ここで見捨てたら後味が悪いのは確かだな。街に入るのを許可してくれないか?」

 「・・・まぁ、怖い人かもしれないけど助けられのは確かだし、街に入れず野垂れ死にされても・・・ねぇ・・・。」

 「・・・あたしは許可しない方が良いと思うけど(ぼそ)」


 リタは小声でボソッと反対したが、この場にいる者達には聞こえなかったらしく、ミント達が懇願した効果があったのか、警備兵の片割れが大きく溜息を吐いた後、


 「はぁ、しょうがねぇな。」

 「おい、通行を許可するのか?」

 「・・・今のところこの男が何かしたわけでも無く、逆にこの街の住人達を助けたのは確かだろ?」

 「それはそうだが」

 「だろ、なら拒否するのも違うからな。街に入るのを許可しようじゃねぇか。」

 

 警備兵二人は結論を出し、水瀬達を見て、


 「そこの水瀬とか言うの、街に入っていいぜ。」

 「ただし、何かやらかしたら、問答無用でしょっ引くからな。そこは肝に銘じておけ!ミントさん達も通ってくれ。無事、帰ってこれて良かったよ。」

 「・・・まぁ、ここは礼を言っとくべきかねぇ。通してくれてありがとよ。」

 「お二人共、ありがとうございます。お仕事頑張ってください。」

 「礼を言う。警護頑張ってくれ。」


 水瀬の礼に警備兵二人は鼻を鳴らし、ミントとレナードの礼に片手を上げて答え、エマとリタも通る時会釈をして通った。


 


 「いやはや、ゲームや漫画のファンタジーモノの光景そのままだな。」


 目の前に広がる中世ヨーロッパを思わせるレンガ造りもしくは木と漆喰の建築物、不揃いの石畳通り、挙句に、そこを行きかう人々はぱっと見、西洋人だが顔の彫がそこまで深くなく、日本人としては馴染みやすい顔立ちをしているが、整った顔立ちが多く、その上、耳が尖っていたり、頭から猫耳だの犬耳だの動物の耳を生やし、お尻のあたりにからも尻尾を生やしていたりと、明らかに純人間でない者達も大勢いる。

 そのゲームや漫画の世界で見たようなファンタジー世界の光景を見て水瀬は驚きと感嘆、そして多少の呆れが混じった声で呟いた。


 「・・・ゲームや漫画って何だよおっさん?」

 「ああ、こっちの事、リタのお嬢ちゃんは気にしなくて良いぜ。」

 

 水瀬の返しにリタは怒りが湧いたが、()()とヤバい男と言うのは理解出来ていたので、何とか怒りを飲み込み、


 「で、これからどうするんだよおっさん?どうみても堅気の仕事なんて出来る様には見えねぇぞ。」

 「ひひっ、その物言いは酷いねぇ。こう見えても堅気も相手にした何でも屋を営んでいるのにねぇ。」

 

 水瀬の言葉にリタは鼻を鳴らした。


 「ハッ、()()()何て言っている時点で、本命は裏の方だろ。」

 「おっと、これはおじさんの言い方がまずかったかねぇ。」


 おちゃらけた様に、水瀬は自分の頭を軽く叩いた。

 二人のやり取りを見守っていたミント達だったが、レナードが


 「・・・水瀬、これと言って見通しが立っていないなら、取り合えずでも冒険者になってみたらどうだ?」

 「ほう、冒険者ね。まぁ、おじさんとしても選択肢の1つに入れていたが、そっちから提案されるとはな・・・。」

 「・・・お前の強さと野盗達を迷わず殺せる非情さと決断力があればモンスターや賞金首の討伐依頼は難なくこなせるだろう。他の依頼は分からないがな・・・。」

 「こいつは手厳しい・・・。」

 

 レナードの物言いに水瀬は軽く肩を竦ませると、


 「冒険者にはどうやったらなれる?」

 「ここから先にある三階建ての大きな建物が冒険者ギルドで、そこの受付で俺達に勧められて冒険者になりたいと言えば後は向こうが説明と手続きをしてくれる。」

 「・・・冒険者になる時に金は掛かるのか?」

 「いや大丈夫だ。冒険者登録は無料だ。序にシルバーウルフの進化体の遺体も買い取りも頼めば、査定に暫く待つ事になるが買い取ってくれる筈だ。」

 「ひひっ、そいつは色んな意味で有難いねぇ。じゃあ、おじさんは冒険者になるための登録に行こうかな。」


 水瀬はニンマリ笑って目的地を冒険者ギルドに定めた所で、


 「水瀬さん、お世話になりました。良かったら今度、私のミント商会にお越しください。安く商品を販売しますよ。」

 「水瀬さん、野盗達とシルバーウルフの進化体から助けてくれてありがとうございました。」

 「・・・水瀬、少しの間だが、世話になった。」

 「はぁ~、ようやくこのヤバいおっさんから離れられるぜ。」


 最後までらしいリタの様子に水瀬は苦笑しながら、


 「ひひっ、リタのお嬢ちゃんは最後まで酷いねぇ。ま、他の皆さんもレナードの言った様に少しの間だが、世話になった。あんがとね。」


 水瀬はそう言って片手を上げて礼をすると、ミント達と別れ冒険者ギルドに向かって歩き始めた。

 

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