幾億海底に燻る微光 其の四
「ここが海拓者ギルド。クエストの受注とか、困り事とか取り扱ってる」
中には受付け·酒場·クエストボードに別れていた。酒場には大柄の男から小柄な女性まで幅広い層が盛り上がっている。
「始まりの街のギルドと同じ感じの市役所ね。」
『困り事か、これ住民の好感度上げがヒントになりそうか?』
「やっほーナナミちゃん。」
「あ!ティアちゃん!」
カウンター越しに満面の笑みを見せたその女の子は近くにいるにも関わらず大きく手を振っている。
「ティアちゃん!と、隣の人は?···って!人族だ!私初めて見た!」
「ん、あぁ、そういばそうか、ティアの反応が普通すぎで忘れてたけど、人間なんて居ないもんな。ガンマだ、よろしく」
「ナナミだよ!見ての通り海拓者系のことは全部任せて!」
ティアが普通に接してくれてるおかげ?せいでここにいるのも普通に感じてしまっていたが、よくよく周りを見渡したら物珍しそうに見られていることに気がついた。
「まぁ、色々あってここまで来た。海拓者ってやつに登録したいんだけど、どうすればいいんだ?」
「あぁ!登録ね!」
なんかよく見るカード的なやつを渡された。なんでも、持った瞬間アイテム化して所有権が移って登録が完了するとか何とか、
「はい!これで登録かんりょーう!」
「おお、えっと、海拓初心者?」
「海拓初心者から始まって1番上が海拓王。加護も沢山貰えて凄く強い。ほらあれ」
そう言われ指さされた方向を見てみると窓の外をとんでもない速度で泳ぐ男が居た。
「·······なにあれ、ジェット機?」
「この国唯一の海拓王バハグンさんですね!すごーく強くてすごーく優しい人です!」
「うん。バハグンは凄く便利。なんでも手伝ってくれる」
『これを見ると好感度は大切だな。他のゲーでも好感度に応じて報酬だとか情報が貰えることは珍しくない。今はとにかく主従の聖杖の情報を集めなきゃな。』
「クエストを受けたい時はあっちにあるクエストボードから持ってきてね!目指せ海拓王だよ!」
そう言われティアと一緒にクエストボードに向かった俺たち。どうやらティアも海拓初心者らしい。登録だけして放置してる人も珍しくないらしい。
「うん。同じランクということは同じものを受けられる。ちょうどいい。」
「まぁ、急がば回れってな、迷子の魚を探せ·······は?これクソムズだろ、さ、魚?!」
3度見ほどしたが内容は変わらなかった。
「思ったより簡単だよ?」
「そ、そうなのか?じゃあやってみるか」
1時間後
「馬鹿すぎるだろ!」
理由は明確。数が多すぎる上に広すぎる
「海ってな?ほぼ無限やねん!現実でも探索できてないとこもクソみたいにあるんだぞ!」
「あ、言い忘れてたけど街の中にいるよ?」
「潰すぞお前、とっとと言えよ、」
あっさり見つかった
「おぉ、好感度はポイント形式なんだな」
「何の話?ポイント?」
「いいや、聞かなかったことにしてくれ。」
ガンマ視点では画面の左上部に市民の好感度というものが表示されていた。今の魚探しで0.5%上昇した。
『MAXが100%か?だとしても今の魚探しを200回·······時間が足りなすぎるな。』
「住民にもっと近いものはないか?住民の役に立ちたいんだ」
「おーいい心意気。だったらこれは?」
「治安維持活動?」
「そー治安維持活動。迷惑するやつとかを沢山取り締まるやつ」
そのクエストを手に取ると如何にも好感度が稼げそうな内容が記載されていた。言うなればゲーム内時間で1日、海拓者兼街の用心棒になれって感じだ。時間内に取り締まった数だけ好感度が上がる仕組みだそうだ。
「ほー?やったろうじゃあーねぇか」
ガンマはクエストを受注し街の用心棒的存在に就職した。
「よしティア、一緒にこの国の治安を守るぞ!」
「おー」
ティアも気だるげそうだが着いてきてくれるみたいだ。
「お?早速なんかしてながるな」
「悪は裁くべし。」
裏路地からスタートしたのは大正解だったみたいだ。女性が輩に囲まれている。
「とう!」
水中なため着地音はないが、自分の口でいい現れた。ガンマは武器を取り出し女性から輩を引き剥がした。
「おいてめーら!寄って集って何してやがる!」
「あぁん?!誰だテメe」「えい」
「あ」
セリフを言う前にティアがそいつの頭をフライパン?でぶん殴っていた。とんでもない音がしたが·······普通に死んでいる可能性が出てきた。
「悪即斬。」
「·······まぁいいか」
ガンマも参戦し輩、計6人をボコボコにしばき女性を救った。
「ありがとうございます·····!!!子供の迎えに行く途中だったのですが、輩に金品目当てに襲われて······どうすれば良いか分からなかった所に、」
「いえいえ。我々は当然のことをしたまでですよ。」
「当然のことをしたまでです」
言葉を真似てティアがそういう。2人ともドヤ顔を見せて居るが、MobNPCはそういうのには敏感ではないだろう。
「このご恩はどこかで必ず·····!!!」
そうして女性は去っていった。
「おお、!」
ガンマの左上のゲージが4.5%に上昇していた。6人ボコしたことによる3%増加、助けたことによる1%増加、?だと思われる。
『このペースでやれば今日中にはどうにかなりそうだな。』
「ティア!じゃんじゃん行くぞ!」
「おー」
『これなら間に合う!待ってろよ!メガイストス!』
だが、物事はそう簡単に進まない。人間のエゴと言うものは時に、正より誤を選ぶ場合もある。
「おいおいおいおい、どんな頭してんだよ。」
ゆぃつが得た情報は思いもしないものだった。それは、
「メガイストスの攻略方法判明、影に入らなければ攻撃手段が存在しない為安置から殴り続ける事で容易に倒せる·······だったら何だって話だろ、」
バカの考えに困惑する天才。ゆぃつも倒せるとは思っている·····が、
「創世生物、メインイベントモンスターが安置から殴るだけで勝てるゴミイベ、で終わるか?影に入らなくてもしてくる攻撃がある可能性もあるけど、多分メインはギミックだろうな。殴ると殴るだけ手が付けらんなくなるタイプ?倒したらゲームごと詰む可能性もこのゲームなら有り得る。」
考察だけでここまで進めるあたり脳のキャパ、考え方のレベルが違う。ゆぃつはガンマが何かしていることを当てにしやる事のプランを立てる。
「カゲツ、シグマとベータ、それとあの鍛冶師も呼べ」
「了」
緊急の連絡として伝わったのだろう。3人は即座に駆けつけてくれた。
「呼び出した兼はおそらく、メガイストス討伐連合の話か?」
シグマはやはり話が早い。
「そう。俺は殴ったら終わるタイプだと思ってる。」
「ほう?あの影がカウンター性能を帯びている可能性か?」
「いや、存在そのものだな。殴ったら····例えば何らかのゲージが溜まっていく。溜まりきった先にあるのがこの島の消滅····とか」
ぶっ飛んだ考察をしている、そう思われても仕方がないが、相手はあのルーキー・にぃつだ。なんの根拠もない訳では無いだろう。
「単刀直入に言う。俺らと一緒に、」
メガイストス討伐部隊を皆殺しにして欲しい




