功労者へと送る一生分の給料
「おー?新スキル?」
「うん、想いだよ、花弁のね」
「行く前に少しよってもいいか?」
「もちろんです。何処へですか?」
「お土産を買ってあげるんだよ〜」
「もふもふ達へのお土産であれば俺も買います。選りすぐりの物を用意します」
そう言いガンマ達がよったのは果物屋さんだった。農業とかもあるらしく鍬やジョウロなんかも売られている。
「このゲーム農業なんて出来んだ、なんでもあるな」
「農業にも色々需要がありそうですね、どうせ何処かに農業ガチ勢とかいるでしょうし一度会ってみるのも手ですね。」
売られている果物は果樹栽培によって作られた質のいい物だった。どうやら一般のプレイヤーがNPCに売ることで店に並ぶらしい。俺たちが買えば買うほど割合でその人たちにお金が入るという仕組みだそうだ。ゲームとはいえ質がいいのは確かだ。感謝の意を込めてご購入させて頂こう。
「ブドウは必須だろ?ちっこい奴らも居るし」
「ブドウ、リスですか。俺はリスも好きです」
「なんで分かんだよ..........そうだけど。」
「別種の小動物もいるのであればりんごやメロンなんかもおすすめですね。与えすぎは注意ですので事前にカットしてしておくか目の前で切ってあげましょう。」
「りょ、了解しました」
動物に関しては饒舌になるカゲツ、俺なんかよりもよっぽど豊富な知識を持っているし素直に従っておこう。
「大きめのやつとかも買っときたいな!それが量をあげたいし、有名なやつ調べてみたけど柿が好きらしいしそこら辺を買ってあげるか」
「クマですか?」
「はい、この際言うんだけど鹿も、」
「鹿は甘いのが好きです。与えすぎはよくありませんがたまにおやつとしてあげるくらいならいいでしょう。全動物共通で言えることは体を気遣って与えないという選択肢を取るのも大切です」
「今日は....?」
「いいと思います。毎日はあまり宜しくありませんですが」
「メロンとか好きか?」
「皮ごと行きます」
「相当好きだなそれ、これも買ってくか」
こうして先生の指導の元動物達の好みの把握、そして完璧なお土産を用意することができた。
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噴水に向かう途中
「ゆぃつは弓のスキル貰ったらしいけど、お前は?」
「俺は茎の障壁を貼るスキルですね。防御性能は高いですけど俺にとっちゃあまり使わないタイプです。視界が塞がれるんでデカイ魔法防いだりするぐらいにしか使わないですし、使うとしても出した瞬間に解除します」
後衛であれば使い道があったかもしれないが前衛のカゲツからしてみれば目の前にでかい壁が出来るせいで邪魔でしかない。優位になることもあるかもしれないが、大半が利敵だろう。
「遠隔設置とかは?」
「手をついたところだけでした」
「分断も無し......うん」
「自分で言うのもなんですが、あれでこれですか?」
あまりにも見合っていない報酬、だがそれも今から報われるだろう。例の噴水から女神の花園【蟲】へと入った。
「自然豊かなエリアです」
「だろ〜?空気美味いんだよね」
「この環境、動物たちの楽園と言っても過言ではありません」
カゲツは珍しくガンマより先に歩き始めた。何やら隠しエリアを自分で探すらしい。そんなことができるのだろうか、と思っていたら一直線に目的地に向かっていった。
「えっと、何を目印に行ってるの?」
動物の痕跡を辿ってるらしい、素人には全くもってわからん。
「そういや寄りたいところあるんだけどいい?」
「それは動物と関係が?」
「もちろん!可愛いのが見れるぞ」
「お供します」
そうして向かったのは千色のリスと初めて会った場所だ。
「キュキュキュ!」
低木から姿を露にしたのは千色のリスだ。あの時あった茶や白や赤、黄色の子に更に青や黒といった子達も増えていた。そこの達はガンマの足元にしがみつき始めた。
「すっかり懐かれちまったなこれも称号のおかげだな」
《神樹の加護》
────自然環境への適応率50%増加。自然に生成された地形での戦闘時ステータスに補正がかかる。
────自然生物からの信頼度+100%
その場に座り込み千色のリス達と戯れる。カゲツも同様にした上で装備も全て解除していた。
「カラフルなリス、癒しです」
「お前らに少し頼みがあってさ」
インベントリから果物のカゴを取り出した。そこにはぶどうをメインとし様々な果物が備えられていた。
「これでお前達のどんぐりを分けてくれねーか?」
千色のリス達はぶどうを1つ摘み茂みの中へと消えていった。ガンマもさすがにムシが良すぎたか、と思っていると木の繊維で編み込まれたカゴをみんなで運んできてくれた。中には大量のどんぐりがあった。
「おぉー!これ貰ってもいいのか?」
どんぐり籠をガンマ達の目の前に置いき千色のリス達は果物籠を持っていった。
「よし!これで用事は終了だな!」
「王よまだ御一方いらっしゃいます」
「ん?」
ずっと脚元にしがみついていたのであろう真っ白な千色のリスは俺達が気づいたことによって足元から降りた。何やら訴えかけるようにこちらを見てくるが.......
《デイリークエスト発生》
対象プレイヤー :ガンマ・カゲツ
「え?」
《物々交換》
要求───毎日果物をもらう
お返し───森のアイテム(ランダム)
「森のアイテムを渡す代わりにこっちは果物をあげる、ソシャゲのデイリーガチャみたいなものか?」
「そのようですね。果物のお届けと報酬の貰い受けは俺が行っておきます、毎日来るので負担にもなりません」
「そうか?じゃー頼む」
「御意。」
今回は好きな事だから引き受けたのかもしれないが、ガンマが嫌がりそうな雑事なんかもカゲツは持って行ってくれる。カゲツはガンマとにぃつ、動物達すらいれば生きていけるようだ。
「勿論受諾!」
2人ともクエストを受けると低木から千色のリス達が大量にやってきた。周りを取り囲むようにしていた。ここから戦闘が始まるのか、?という少し緊張した雰囲気だったがそんなことはなくクエストを受けたことを喜んでくれているだけだった。相変わらず脚にしがみついたりしてくるが、そろそろ行かなきゃ行けないので心苦しいが優しく剥がすことに。最後まで白い子は踏ん張っていたが頭を撫でるとすぐに離してくれた。頭の上には千色のリスの長と書かれていたことからこの甘えん坊がこの子達のボスらしい......こんな子で大丈夫なのだろうか.......不色王で俺がボスじゃない理由とほぼ同じ感じがするが、にぃつ、苦労をかけた。
千色のリス達は俺達が見えなくなるまで見送ってくれて離れるのがとても恋しくなってしまった。カゲツの方がこういうのは苦しそうなものだが、案外そうでもなかった。
「寂しくないの?」
「俺は毎日くるんで。毎日あの子達が疲れて寝るくらいには遊んでやりますよ」
目がまじだ。これレベル上げするのか?と内心ヒヤヒヤなガンマであった。
「では探索を再開します。」
いつもとは明らかに違う雰囲気、めちゃくちゃ浮かれている。千色のリスを見たことによってもっと色んな動物がいると確信したのだろう、いつもより早歩きだ。
ここら辺のスポーンポイントは大方理解している、あのカブトムシ野郎はここらには出てこない、森と平原の境にスポーンするから森の中は動物達の楽園と言っていいだろう。
「おそらくですが、これ見えてないです」
「えぇ、こわ」
空島の原理で認識阻害?みたいな魔法がかかってて普通は見えないが、一度受け入れてもらえればいつでも入れる。俺の時は多分オセロが居たからすんなり行けたっぽい?この隠しエリアはオセロがいなかったらほぼ成り立ってないから出会えたのはかなりラッキーだった。
「んじゃまぁ〜、着いてこいよ」
ガンマが1歩前へ踏み出すと何も無いところから小動物達が現れ始めた。ぞろぞろとやってきてガンマの足の周りを取り囲んだ。その子達に気をつけながら歩き出したガンマの姿が段々と消えて行った。
「どうやら俺には見えないようですね」
「うーん、どうすれば.....」
ガンマの声は聞こえるが何処にもいない。何かしらの資格がないと入れないのかもしれない。
『俺がここに来た時のことを考えろ〜、えっと確かオセロと一緒に.....あ』
答えは1つ、それしか考えられなかった。
「これ顔パスか」
「何かしらの資格や条件を達成することで認めてもらえる、そういう事ですか?」
「まぁ〜そんな感じ?1回呼び出すわ。召喚オセロ」
姿が見えてないから何をしているのかが分からないが、何かを召喚したことは確かだ。
「みゃーー!」
何も無いとこらからカゲツの顔面に飛びついてきたのは白黒の子猫だった。カゲツは防御することなく顔面で堂々とその猫を受け止めた。体力が5分の1くらい減ったが、猫を傷つけるよりは何億倍もマシだ。
称号《森の主の親友の友達》を獲得しました




