#22 ショルナ
神殿教室に通い始めてもうしばらくが経つ。何人かとは顔を合わせれば話をするようになった。
「カージ、ここ計算わかんない、教えてー」
「10の塊が何個あるかで考えれば計算機使えるよ」
「なー、これなんて読むんだ?」
「それは『ヌイェ』」
「やっぱ計算機の玉足りないよお」
「あー、貸す貸す」
……ちょっとだけ知識を集られている気分だ。いや、俺も代わりに神殿の読み物とか見せてもらってるんだが。
「あなたがた、寄ってたかって年下の子に勉強を教わって、恥ずかしくないの?」
全くの正論だ。声のする方を振り向くと、神殿の中では派手な、と言っても髪を巻いているくらいだが、女子が立っていた。
「げえっ、ショルナ……」
「あら、何かマズいことでも?」
俺は初対面かも知れない。
「見ない顔ね、あなた」
「俺はカージだよ、近くから来てるんだ」
「へえ、勉強がお好きなの?」
「そこそこ」
「だからって他の人の分までやる必要は無いわよ」
「でもショルナちゃん、カージの教え方すっごくわかりやすいんだよ」
「算板両手持ちのバカが何言ってもまるで説得力がないわ」
俺が貸したやつだ。いや教会の備品だが。
「特にあなた、もう神学校の入学試験まで半年もないでしょう⁉︎」
「えへへ……」
へへじゃない、といって算数の苦手な子はショルナにしばかれた。仲悪いとかはないんだろうな。
「ねえ、えっと、ショルナさん?神学校って何?」
知らない学校が出てきたから聞いてみよう。
「私たちみたいな神殿の子が行く学校よ!初等部は貴族の子だって来るんだから、勉強しないとほんとに落ちちゃうわよ!」
「ショルナさんも神学校に行くの?」
「いいえ、私は魔法を学びたいの!私は絶対ノワリスに行くわ!」
「……ノワリスは入学試験ないの?」
「もちろんあるわよ。神学校の何倍も難しいんだから!推薦状が無いと、受けることだってできないわ」
「推薦状って?」
「大人の人3人か、魔法使い1人の推薦状どっちかが要るの。1人に推薦状を書いたらその年の他の受験生にはもう書けないわ。私は神官長と、個人教師の先生と、男爵家の後家人の方に書いてもらったの!」
「……で、推薦状があっても入学試験を受けないといけないんだな?」
「そうよ!ノワリスの門はそんなに広く無いんだから!計算だって、魔法を使わなきゃ解けないわ!」
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