第7話 Entrance
...リナ、ユリナ!
オリバーの声で我に帰る。
「お前、顔真っ青だけど大丈夫か?」
「えぇ。過去のことを思い出してちょっと...」
オリバーが心配そうに私を見る。
「よく知らんが、昔から色々大変だったんだな」
そう言ってオリバーは私の背中をさする。いつもヘラヘラしてるオリバーが慰めるくらい私の顔色は悪かったみたいだ。
制服を買ったあと、文房具やバッグなども近くのショッピングセンターで買い揃えた。これで学校行く準備は万端だ。
私もオリバーも、自分の身体が何歳なのかわからなかった。
そこで、高校一年生として入るのがいろいろと都合がいいので、私たちは自分たちを一六歳ということにしてしまった。
*
入学式の日になった。
私たちが入学することになった世田谷中央高等学校は、極々普通の高校だ。ただ家から近いという理由だけでオリバーが勝手に選んだのだ。
校門を入ったところでクラス分けの紙が貼られていた。
クラスは一組で、オリバーと同じだった。そのことに少し安心した自分が恥ずかしい。
クラスを確認したあとは入学式を行う体育館へ移動させられた。
私は日本の入学式が嫌いだ。校長先生の話が長くて退屈なのだ。だから私は暇つぶしのために、握力を鍛える道具であるハンドグリップをポケットに忍ばせておいた。うとうとしてきたら、ポケットに手を突っ込んで筋トレするという魂胆だ。それを思いついたときは自分が天才だと確信した。
*
「...皆さんの成長を大きく期待しています。頑張ってください」
「一同、礼」
校長先生の話は案の定長かった。ずっとハンドグリップで鍛えていた左手が悲鳴を上げ始めていた。
「続いては生徒代表挨拶です。生徒代表は首席入学者、近衛遥さん」
「はい!」
勢いのいい返事だ。軍だったら上官から褒められるかもしれない。
壇上に上がっていったのは、茶色っぽい黒髪のショートボブがよく似合う可愛い女子だった。身長は160cm弱か。胸はまだ発達途上のようだ。
この高校の入試レベルは全国的に見て平均レベルだそうだ。だから私とオリバーは準備なしで入試を突破することができた。英語ができるというアドバンテージもあった上、流石に大人(中身だけだが)が中学生の解く問題を解けなきゃヤバイ。
そんな私と比べても、前にいる首席の近衛遥は断然頭がいいのだ。なんか悔しい。
頭良くてあんなに可愛かったら人生苦労しないのになあ。
そんなことを思っていると、いつのまに近衛遥の挨拶は終わっていた。
近衛遥の挨拶を最後に、入学式は終わった。
おそらく明日は左手が筋肉痛になるだろう。




