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第19話 Piercing

翌朝、教室にて。


「おっはー遥!」


「あっ。おはようゆりな。昨日大丈夫だった?」


「全然平気。でさ、昨日の練習試合、どうだったの?」


「その話がしたかったの。私の最初の位置がゴルフ場脇の林で、近くの3人を頑張ってやっつけたの。そしてもっと奥に行ったら、1人の選手がすでに6人も倒してた」


「その子が稲越遥?」


私は周りに本人がいないことを確認し、声を小さくして聞いた。


「多分そう。木の陰からひっそり見てたんだけど、急にこっち向いて走って来たの」


「怖〜」


「でもその子すっごく足速くて、その上、走りながら撃ってくるの。私太ももの裏に一発受けちゃった」


「痛かった?」


「いや、痛くはないの。でも急にスーツの足の部分が動かなくなっちゃって。で、つまずいて転んじゃった」


思った通りだ。


「それでどうなったの?」


「倒れた時に近くに隠れてた敵がちょうど出てきて、その人を撃って試合終了。結構危なかった」


「多分その時私とオリバーは死闘を繰り広げてたわよ。ね?オリバー?」


私は遠くの席に座るオリバーの方を向く。


「なんだ?なんか用か?」


オリバーが不機嫌に返す。


「いや、なんでもないよ〜」



地学の授業にて。


「ーなんでこうなるか説明できる人〜」


1番前の席に座る学級委員長の稲越薫が手をまっすぐあげる。


「よし。ええと...稲垣」


「はい。P波は縦波、S波は横波だからです。一般に、縦波の方が速いです。したがって、観測地にはまずP波が来て、遅れてS波が来ます。その時間差から、どの地点にどの時間でS波が来るかを計算できるという仕組みです」


「完璧だな。予習でよくそこまで理解できたもんだ」


私は後ろから稲越薫の後ろ姿を見つめる。


それにしてもあの子が昨日ペイントボールで敵をボコボコにしてたのは信じられない。

直接話を聞いてみるか。



休み時間、稲越薫の席へ行く前に、あっちから私の方に来てくれた。


「古賀さん」


相変わらず綺麗な子だ。目が大きくて肌が透き通ってる。


「ん?なに?」


「昨日のことで話したいことあるから来てくれない?近衛さんも」


「いいけど...」


私と遥は稲越薫の方についていった。教室がざわざわする。



私たちは人気ひとけの少ない二号館裏に連れていかれた。


「で、話ってなに?」


私が切り出す。


「そんな大したことじゃないの。でもあんまり他の人には聞かれたくなくて」


私は首をかしげる。


稲越薫がモジモジしながら、顔を少し赤らめて言った。


「よかったらさ...今日私の家、来ない?」


「「えっ?」」


私と遥の驚きがシンクロした。


「忙しかったらいいの。でもあなたたちも『戦研』に入るんでしょ。なら見せたいものがあって」


「私はいいけど、遥は?」

「私は今日暇だからオーケーだよ」


「そう、よかった。じゃあ放課後一緒に帰りましょう」


それだけ言って稲越薫は去っていった。心なしか、スキップしているようにも見えた。


「ふ〜怖かった〜」


私は腰を抜かす。


「ね。なんか叱られるのかと思ったよ」


「でもさ、さっきの委員長なんか可愛らしかったよね」


「それ私も思った。ああいう一面もあるんだね」


「多面的すぎるよ。才色兼備でクール。運動神経は抜群で可愛い一面もあり。全然わかんないよ〜」


でも、不思議と、稲越薫の家に遊びに行くのは嫌な感じはしないのだった。



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