7、幼馴染は負けヒロインなんかじゃない!
~前話あらすじ~
ツキ先輩はフェイク写真だと確定させて犯人まで見つけた。
そして恋のキューピッドにもなってくれた。
それなのに鈍感なタマキはレイの気持ちに気付かない。
だからレイは二人で『さんかく幼馴染』のドラマを見ようと誘った。
『私は好んで、あんたの幼馴染をしているんじゃないのよ』
今、レイと一緒にドラマを見ている。
負けヒロインの女の子が彼に向かって泣きながら言っている。
最初しか見ていない私には、二人に何があったのか分からない。
レイなんて見たこともないから全く分からないはず。
「何があって、こんな台詞になったのかな? 途中から見ると分かんないね」
「あっ、うん」
「どうする? 見るのやめる?」
「えっと、いやっ、その」
「レイ?」
様子がおかしいレイ。
こんなレイを見たのは初めてかもしれない。
ドラマの中の彼もレイの様にどこか緊張をしているシーンが流れてきた。
「タマキ。俺、、、」
「クスクス。もしかして、ここで私が言うの?」
私は気付いてしまった。
レイナが私達みたいな幼馴染って言っていた、このドラマは本当に私達にソックリなのかもしれない。
「えっ」
「私は好んでレイの幼馴染をしているんじゃないのよ」
「えっ」
「ずっと傍にいたいから。負けヒロインとしてしか傍にいられないから幼馴染を選んでいるのよ」
「タマキ」
レイの目が真っ直ぐに私を見ている。
決心してくれたの?
気持ちが固まったの?
「レイ」
「俺はタマキが好きだ」
「うん。私もレイが好きよ」
私はベッドの端に座っていたが、ベッドを背もたれにして座っているレイの隣に座った。
やっと隣に座ることができた。
「どうしてレイナじゃないの?」
「え?」
「だって、レイナの方が顔は可愛いし、完璧でしょう?」
「可愛い? 幼稚園から一緒だよ。顔が可愛いなんて思ったことはないよ」
「それだったら私も同じだね?」
「それが違うんだよ」
そうレイは言って、私の眼鏡を外す。
私は一瞬で全ての物が霞んで見える。
目が悪すぎるの。
「もう! よく見えないんだから返してよね」
「これでいいんだよ」
「どうしてよ?」
「こうすれば俺だけしか見えないよね?」
レイの顔が目の前にある。
こんなに近ければレイの顔が見えるし、レイしか見えない。
切れ長の目が私を見ている。
私は恥ずかしすぎて顔をそむける。
そんな私の顎を持ち、レイは私の顔を正面に戻す。
「タマキの眼鏡を取った時の顔は幼稚園から見てきている訳じゃない。いつの間にか目が大きくなっていて、たまに眼鏡を外す時に見えるタマキの目は俺をドキドキさせたんだ」
そっか。
基本は眼鏡を付けていたから、眼鏡を外した時の顔は、あんまり見せていなかったかもしれない。
「でも私、美人じゃないよ?」
「タマキは美人じゃない、可愛いんだよ。眼鏡がないと不安そうにするタマキは本当に子猫みたいなんだ。口では強がっていても目は不安そうにする。俺が守らなければって思わせるんだよ」
「それなら、ずっと守ってね」
「うん」
私がレイの肩に頭を乗せると、レイは私の頭を優しく撫でてくれた。
◇
「レイー、頑張れぇ」
私はバスケの試合をしているレイを応援する。
私はバスケ部の強豪校との練習試合の応援に来ているけど、、、。
「タマちゃん。口を動かすのもいいけど、ちゃんと手も動かしてよね」
「ツキ先輩、分かってますよ」
私は写真部としても練習試合に来ている。
応援もしたいし、でもレイの格好良い姿も撮りたい。
忙しいよ。
「タマキ。こっち」
休憩になるとレイが私を呼んだ。
ツキ先輩を見ると写真撮影に勤しんでいたから、気付かれないようにレイの元へ向かう。
レイと私は体育館から出て近くの木陰で話す。
「レイがいれば勝てるかもね」
「そう?」
「うん。やっぱりレイは動きが速いのよ」
「それは可愛いタマキがいるからだよ」
「もう! そんなこと言わないでよ照れちゃう」
私は恥ずかしくてうつむく。
そんな私の眼鏡をレイが外す。
「タマキ」
優しい声でレイが私を呼ぶ。
私は顔を上げるけどレイの顔がよく見えない。
するとレイの顔が近付いてきて私の両頬にレイの手が添えられた。
そしてレイの顔が近付くと私のおでこにキスをした。
私はフリーズしてしまう。
それからレイが、私のおでこにレイのおでこをくっつける。
「俺の力の源はタマキだよ。いつでもタマキが俺を見ていてくれたから、俺はなんでも頑張れた」
「うん」
「ありがとうタマキ。好きだ」
「うん。私もレイが大好きだよ」
すごく幸せ。
それからレイは試合に戻って大活躍だった。
「レイ君ったらバレバレなんだから。タマちゃんと付き合えて本当に幸せそう」
レイの姿を見ていたら、隣にレイナが来て言った。
「えっ、レイナ?」
「えっ、付き合っているんだよね?」
「えっ、うん」
「良かったね。レイ君の意気地無しには困ったんだからね」
「レイナは知っていたんだね?」
「知ってるっていうか、バレバレだったのよ」
そしてレイナは“迷惑よ”と言いながらも嬉しそうに笑っていた。
「あっ、負けちゃった」
試合の終了の合図があった後、負けた悔しさから私は言葉にしていた。
レイも悔しそうに私の元へ向かってくる。
「あれ? あのイケメン君は可愛いマネージャーの元に行かないの?」
強豪校の学校で試合をしていたから観客に強豪校の女子が見に来ていて言った。
どうせ、私は言われるのよね。
「どう見ても負けヒロインじゃないの?」
「あの、ドラマの?」
「そうよ。ソックリだよね?」
聞こえているわよ。
でも、そんな声も聞こえなくなる。
「タマキ」
レイが優しい声で私を呼ぶから。
「惜しかったね」
「タマキのパワーが足りなかったかも」
そうレイは言って私のおでこにレイのおでこをつけた。
「レイ?」
「アイツ等に見せつけてやろうよ。タマキはヒロインだってさ」
「もう。私は気にしてないよ」
「分かってるよ。でもタマキには知っててほしい。俺の中ではずっとタマキはヒロインだよ」
「うん。嬉しい」
私は本当に嬉しくて笑った。
レイも照れながら笑った。
◇
「ツキ先輩! この写真はなんですか?」
ある日、私はデータの整理中に恥ずかしい写真を見つけた。
「ん? あっ、それね。二人の雰囲気が良くて撮っちゃったの」
ツキ先輩はウインクをしながら可愛く言った。
「可愛く言っても、これは許せません」
「えっ、いいじゃん。この後キスでもするのかと僕はドキドキしたよ」
「ツっ、ツキ先輩の変態」
私の叫び声が部室に響き渡った。
「ねぇ、レイ。この写真を見てよ」
私の部屋へ遊びに来ているレイへ写真を見せる。
「ん? 良く撮れてるじゃん」
「ツキ先輩ったら、この後キスでもするのかとドキドキしたって言ったのよ。変態って叫んじゃったわよ」
「えっ、する?」
「何を?」
「キス」
「レっ、レイまで、そんなことを言うの?」
「冗談だよ。そんなに急がなくても俺達にはまだまだ時間はあるからね」
「もう!」
私は、真っ赤になって火照る頬を自分の両手で包んで隠した。
「今は、これで充分だよ」
レイは私の眼鏡を外し、私のおでこにキスをした。
「レイのバカ」
私の火照りすぎた頬は私の両手では赤さを隠しきれない。
ツキ先輩が撮った写真。
私とレイがおでことおでこをくっつけて笑っている写真。
本当は私もこの写真は大好き。
私の宝物。
お読みいただき、誠にありがとうございます。
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