1、負けヒロインの幼馴染だから一緒にいられる
楽しくお読みいただけましたら幸いです。
「タマちゃん。おはよう」
新しい制服に可愛い胸元のピンクのリボンが、整った美しい顔に良く似合う。
右目の下にほくろがあり、大人っぽい色気を放ち、すれ違う人が振り向くほどの美女。
そんな私の幼馴染のレイナが可愛い笑顔で私に挨拶をしてきた。
「おはようレイナ。今日から高校一年生だね」
レイナの家の前で待っていた私は、レイナの制服姿を見て、目を細めて言った。
レイナが眩し過ぎる。
「たまちゃんも高校一年生だね。それに三人で同じ学校に行けるなんて嬉しいね」
「三人? 私はレイナだけで良かったわよ」
「え~。私達は、ずっと三人でいるって約束をしたでしょう?」
「そんなの子供の時の約束でしょう? もう時効だよ。さぁ、早く学校に行こうよ」
「えっ、でも、まだレイ君が来てないよ?」
「アイツは、いなくてもいいじゃん」
「はあ?」
私の後ろから低音ボイスが響いた。
声の主は不機嫌のようだ。
「あっ、レイ君。おはよう」
「おはようレイ」
レイナをレイと呼ぶコイツは、私とレイナの幼馴染。
新しい制服を着こなし、サラサラの髪の毛と高い身長、そして切れ長の目に高い鼻。
誰もがコイツを見て言う。
イケメンだと。
コイツの名前はレイ。
私達は幼馴染の三人組。
美人なレイナとイケメンのレイ。
そして黒縁メガネの黒髪ロングで黒いオーラを纏った私はタマキ。
通称タマ。
私達は幼馴染だけど、私は二人の引き立て役にもなれない陰キャのタマ。
最初は二人と一緒にいるのが嫌だった。
でもレイナと一緒にいて楽しいから三人でいることが嫌じゃなくなった。
「タマ、おはよう」
「おはよう」
私はレイをチラッと見てから挨拶を返した。
「レイ、おはようだろう?」
「はあ? 名前なんて必要ないでしょう? 目の前にいるんだから」
「本当、タマは可愛くないなぁ」
「可愛くなくて結構よ」
私とレイは、いつも喧嘩をする。
本当は喧嘩なんてしたくはない。
本当はレイと楽しく会話をしたい。
でも、それができない。
だって私はレイが好きだから。
レイに私の気持ちはバレてはいけない。
だって私がレイナに勝てる訳がないから。
レイとレイナがお似合いなのは分かってる。
私がレイの隣にいれる訳がない。
私が二人の邪魔をしちゃいけない。
「タマ、行くぞ」
歩き出していたレイが足を止め、振り向き私に言った。
「タマちゃん。早く」
レイナも手招きをしながら私を呼ぶ。
私は頷いて二人の元へ駆け寄る。
不自然にならないように、二人の邪魔をしないように、レイナの隣に並ぶ。
これでいい。
「タマちゃ~ん」
レイナが放課後になると私に抱き付いてきた。
「レイナ、どうしたの?」
「だって、タマちゃんと同じクラスになれなかったんだもん」
「それは仕方がないよ」
「でもレイ君は私と同じクラスなのに、タマちゃんだけがクラスが違うんだよ? 寂しいよね?」
「私は大丈夫だよ。レイナが私のクラスに遊びに来てくれるでしょう?」
「うん。毎日、休み時間の度に来るよ」
「でも、レイナは自分のクラスメイトとも仲良くしてよ」
「うん。それは任せてよ」
レイナは胸を張って言う。
レイナは友達を作る天才。
誰とでも仲良くできるから心配なんてしていない。
心配なのは私の方。
人見知りの私には、友達を作ることができるのだろうか?
陰キャの私が、誰かに話し掛けることはできるのだろうか?
「レイ。お前、速すぎ」
レイがレイナを見つけて叫んでいる。
そんなレイにレイナが駆け寄る。
クラスメイトの視線が二人に注がれる。
これで確定してしまった。
そう。
レイとレイナが付き合っているのだと思われた。
レイとレイナは、そんな噂話を気にしない。
中学生の時も、そうだった。
否定もしないし肯定もしない。
これで二人の邪魔をする人は誰もいなくなった。
そして私の恋も叶わなくなった。
最初から分かっていた。
諦めようと思っていた。
なのに、、、。
「タマ、帰るぞ」
ほらっ、また私を呼ぶ。
諦めようと思うのに、そう思った時にレイは私を呼ぶ。
まるで私の気持ちを知っているかのように。
タイミング良く私を呼ぶ。
私だけを見て私だけを呼ぶ。
その眼差しが。
その声が。
私のためだけに向いている。
「えっ、あの二人と一緒に帰るの? その容姿で無理でしょう?」
クラスメイトの心無い言葉が私だけに聞こえた。
その言葉で私は、ハッと気付く。
浮かれちゃダメだと。
幼馴染だから私を呼んだのよね?
幼馴染だから私と一緒にいるんだよね?
幼馴染だから私をほっとけないんだよね?
「あっ、ごめん。今日は部活を見て帰りたいの」
「えっ、それなら私も行、、、」
「レイナはバスケ部のマネージャーでしょう? 私は迷っているから他の部活も見たいのよ」
私はレイナが言い終わる前に言葉を遮って言った。
「えっ、それなら私も、、、」
「レイ、タマは一人で考えたいんだよ」
レイがレイナの言葉を遮り言った。
私に視線も向けずにレイナと一緒に帰っていった。
悔しい。
クラスメイトの心無い言葉に何も言い返せない私に。
そして、その言葉に納得してしまう自分が情けない。
私は急ぎ足で教室を出た。
涙が出そうで我慢ができなかったから。
誰もいない場所を探した。
そして外階段を見つけ、隠れて泣いた。
静かに声を出さずに泣いた。
お読みいただき、誠にありがとうございます。
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~次話予告~
タマキは外階段で泣き止んだ後、景色を見ていたら男子の先輩に声をかけられた。
いぬ系男子で可愛らしいがお似合いの先輩はツキだと名乗った。
そしてツキ先輩に可愛いと言われ、写真部へ入らないかと勧誘されるタマキ。




