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魔神王の謎



「しかし、フォルゾートどうやってここまで来たんだ? ナスラムの管理する遠球境を使えない以上、ナスラムとジーネドレではかなり距離がある。お前が十王、今は真十王なんだったか? であればジーネドレの帝都に居たんじゃないのか?」

「ええ、本来であればこの距離を二日で移動する事などできなかったでしょう」



 二日!? 魔物の相手とかしながら旅をすれば半年は掛かる距離を、二日だと……? ヤバイ……もうこの時点で終わってないか? 本当ならナスラムとジーネドレの戦力差はとんでもないぞ。



「永遠神様の神器のお力です。帝国の力ではありません。永遠神様の判断でなければ神器は動きません。まさか……遺跡が空飛ぶ船であったとは、夢にも思いませんでしたが。より一層聖典が真実であると、皆確信したものです」


「船……超次元艦隊の一部か? ディア、どう思う?」



 ま、イモートの技術周りはディアに聞くに限るか。俺にはさっぱりだし。



「多分小型輸送機じゃないかな? それ以上のクラスになると、こっちの世界に来ただけで世界が崩壊しちゃうだろうし」


「え……? 崩壊? いや、なんでだよ!!」

「保有するエネルギー量が膨大過ぎて、世界の拡張現象が起きちゃうから。今ある世界が極限まで引き伸ばされて、存在の全てが希薄になってしまうの。そうなると皆今の形を保てないし、自我も消失する」


「おお! ディア様!! それは本当なのですか!? あああ! 素晴らしい、なんという圧倒的力! 畏怖あればこそ、神は神。この世界にある他の神など、永遠神様、天上神様と比べるのもおこがましい、格が違います」



 フォルゾートは物凄い上機嫌になった。恍惚とした表情だ……狂信者だな、完全に。ヤバイとか怖いとか、そんな感覚はすっ飛ばしている……



「不思議だな、テルミヌスだって膨大なエネルギーを持っているはずなのに、あれは召喚しても世界は崩壊しなかった。それはどうしてなんだ?」

「テルミヌスは境界の神の名を冠してる。それはどうしてだと思う? 境界を設定して、自分のエネルギーが世界に流出する事を抑えられるからなんだよ? まぁ、実際には完全にエネルギー流出を遮断することはできないんだけどね? できるのはステルス機能のある隠密機体だけ、普通の機体は世界の崩壊を世界の汚染に留める程度しかできないの」


「世界の汚染だなんてとんでもありません! 天上神の皆様の色でこの世界を、存分に染め上げて頂きたい!! それこそが、ネドレの民の総意でございます!!」



 それ本当にネドレ人の総意か……?



「フォルゾート、お前イモートによる世界の汚染現象を見たことあるのか? 俺は実際にシャンダルーミアで見た、甘く考えるべきじゃない。ディア以外のイモートはこの世界を汚染して改変してしまう。それは……お前達ネドレの民にとって過酷なものだってあるんだ。でも、そうか……だとすると、この世界はすでに、ジーネによって汚染されているってことなのか?」



 ディア以外のイモートがこの世界に本体でやってくると世界を汚染する。それがイモートの特性だ。だとすれば、おそらく本体でこの世界に存在するジーネもまた、なんらかの形で世界を汚染しているんだ。その影響がなんなのかは分からない。


ジーネがどのタイミングで本体の状態でこの世界に干渉しているかは分からん。だが、もし何千年、何万年という単位で世界をすでに汚染しているとすれば、この世界とってその汚染はすでに世界の前提となっているだろう。この世界に当然存在する法則として……



「そ、そうなのですか!? ジャンダルーム様!! この世界は永遠神の愛によって、庇護されているというのは!?」



 はは、汚染は庇護か、フォルゾートにとっては。まぁ実際アグニウィルムが言うにはジーネはすでに世界を救っているらしいし、間違いではないのかもしれん。



「それはまぁ、ある意味正解だろう。あいつもお前達に説明していない事があるからな。フォルゾート、特別に教えてやろうか?」

「はいいいいいい! 是非是非是非是非是非ィーーーーーーーーッ!!!!!!!!!」



 物凄い前のめりに、ガキのようにはしゃぐフォルゾート。圧が凄い。



「かつてこの世界を支配しようとしていたエルシャリオン帝国は世界をエルシャリオン人以外が生きられないようにしようと画策していた。世界を汚染する毒によって、世界を改変しようとしていたんだ。だが、そんな時現れたのがイモート、そしてお前達の永遠神、ジーネットリブだ。ジーネはエルシャリオン帝国を倒し、世界を汚染から救う為、新世界を創造し、皆を新世界に避難させたんだ。人も神も、魔物さえも」


「な……新世界を創造!? 人も神も、魔物も……そうか、善も悪も、全ての命を永遠神様は救おうとされたのか。だから今も世界には悪と過酷も存在する……」


「それは違うぞフォルゾート。ジーネは世界の崩壊を止めたかっただけだ、救う為じゃない。だから旧世界によく似たコピー、写しのような世界を生み出したんだ。旧世界とこの新世界の地形は全くの同一だった。だが新世界にだけ存在する何か、法則はあるはずだ。ジーネによる汚染……ジーネの内包する概念、法則がこの新世界には最初からあるはずなんだ」


「しかしジャンダルーム様、それはおかしいです。永遠神様には目的があります。それは兄神様、ジャンダルーム様と共に永遠の楽園で幸福に暮らすこと。その為であれば、世界は改変すべきです。新世界を生み出す時、すべきはずなのです。その為の覚悟など、永遠神にないはずがありません」


「ジーネのやり方が手ぬるい、そう言いたいのか? まぁ確かに違和感はあるな。実際、ジーネはジーネドレ帝国を創り、世界を支配させようとしてるわけだしな。世界を自分の都合よく改変してしまえば、そんな手間さえ必要なくなる。その方が楽だし人の命も失われずに済む……となれば、それができない理由があったのか?」


「そんな……永遠神様の理想を妨げる何かが、強大な何かが存在するというのですか?」


「まぁその可能性はあるよな。だが、なんだそれは? 心当たりはない、神々も魔王も、ジーネにそんな干渉ができるとは思えない。じゃあそれ以外か?」


「魔神王」


「え? ディア、今、魔神王って言ったか? 魔神王がジーネの邪魔をした存在だって言うのか?」


「いや分かんないんだけど。この世界で神々でもなく魔王でも魔法使いでもない影響力のある存在って魔神王かなって。わたしもよく分かんないんだけど、魔神王って眷属を世界中に放って荒らしてるんでしょ? 存在も目的も不明、だけどそれは確かに存在する。誰も、魔神王を見たことがないけど、それは存在する」


「確かに怪しいが……そうか魔神王か。俺も魔神王について何度か調べたことがあるが。全く分からなかった。ジーネやロンドアークなら知ってることもあるかもだが……変な話だぜ、そもそも何故魔神王だなんて大層な呼ばれ方をしてるんだ。そんな呼ばれ方をしてるのに、誰もこいつのことを知らないんだ。伝説どころか、おとぎ話もない。お話に出てくるのはその眷属だけだ」


「そういうことですか……だからセイオスは永遠神様に裁かれた。永遠神様の敵と通じ、力を使ったから。ジャンダルーム様、お恥ずかしい話ではあるのですが、我が帝国のかつての十王、ヘルドルムとセイオスは魔神王と通じ、その力を得たようなのです。私はその事を調べたのですが、彼らが怪しい人物と接触しただとか、そういった記録はなく、いつどこで魔神王、もしくはその配下に唆されたのか、分からないのです」


「は? 本当に全くないのか? 十王には側近なり護衛なりがいつも傍にいるんじゃないのか?」


「はい、側近も護衛も、誰も見ていないのです。幻惑の魔術や魔法の痕跡もありません。ですから、これをどう考えればよいのか分からず、頭を悩ませているのです」



 誰も魔神王を見ていない。なのに、ヘルドルムは確かに魔神王と言っていた。本当に、魔神王に会っていたのか?



「パパがナイモの聖霊を見つけたのは?」



 イモが不意にそんな事を言った。ヒントか!



「ナイモ人の不可視領域、認識の外……そうか! 俺達の認識の外で魔神王はセイオスやヘルドルムと接触した。リバースマキアかもしくは旧世界、あるいは夢の世界で」


「夢の世界……? まさか、しかし……それであれば、誰も魔神王を見ていない事を説明できます。夢を見た本人しか、魔神王と接触したことを知らない。なんということ……それではどうしようもない。いつ誰か魔神王の手先となっても不思議ではないというのですか!? ……ヘルドルムもセイオスも力を求めていました。倫理観に欠ける、手段を選ばない者達でした。もしかすると、そんな心の隙間を魔神王は狙っているのかも」



 フォルゾートの懸念、それは本当にそうだ。もし夢の世界で色んな奴を勧誘して手下にしてるとしたら……それほど恐ろしいことはない。どこに魔神王の手先が潜んでいるか、分かったもんじゃない。


帝都での魔神王の眷属騒ぎ、あれを手引きしたのはナスラムに潜む、そういった存在なのかもしれない。そういえばシャンダルーミアとその周辺に魔神王の眷属は多く発生していた。俺も短期間で何度も目にした。ナスラムに……魔神王の配下となった、人間がいる。間違いない……そしてそいつは、ロンドアークを狙っている。


ロンドアークと俺が初めて出会った時、ロンドアークは魔神王の眷属と戦っていた。何者かがロンドアークを殺す為に差し向けたと考えれば納得できる。だとすれば……魔神王にとってロンドアークも都合の悪い存在ということか?


けど一体誰だ。魔神王の眷属を使ってロンドアークを暗殺しようとしたのは……あの時ロンドはお忍びの旅をしていたんだぞ? ロンドの目的地を知るような、深い繋がりのある存在でないと、ロンドの暗殺計画は立てられない。



 側近、皇后、皇子……その誰かか? 駄目だ、こんなの誰もが怪しく見える。あの時、ロンドと一緒にいたのは……チャウスだ。俺の弟、アルピウス村ではルンゼだった、俺の弟……あり得ない、チャウスに限ってそんなのありえない。


あんなに優しくて、いい奴だったルンゼが、チャウスが、魔神王の手先になんてなるはずがない。自分の父親を殺そうとするなんて、ありえない……



「どうかなされましたか? ジャンダルーム様、凄く顔色が悪いようですが」

「大丈夫だフォルゾート。少し嫌な想像をしてしまっただけだ。体調は悪くない……けど、どうしてジーネはセイオスが魔神王の手先だと分かったんだ?」


「ああ、それでしたら魔神王の配下となった者はどうやら永遠神様の支配が効かない、抵抗できるようになるそうなのです。我々ネドレ人は皆、その血に永遠神様への従属因子が組み込まれていますから、下僕である我々は、普通は永遠神様に抗うことなどできません。正確に言うと、ジャンダルーム様、兄神様と永遠神様と同じイモートの天上神様の方々も、我々ネドレの民を支配できます。ですからネドレ人は皆、ジャンダルーム様とディア様の言う事でしたら喜んでお聞きになるでしょう、無論、永遠神様の命が優先されますが」


「え……ちょ、ジャンダルーム!? こいつエグいこと言ってない!? し、下僕って……生まれながらジャンダルームやイモート達の奴隷だって、なんでそれに納得してるみたいな態度なのよ!? 理解不能なんですけどッ!? というかジャンダルーム!! 絶対悪用しちゃ駄目よ!! 好みの美人とかいても、性奴隷にしたら駄目なんだからね!?」


「せ、性奴隷って……エローラ何言ってんだよお前。そんなの俺が命令するわけないだろ。あーでもそうか、時々ネドレ人に会って感じる違和感てそれが原因か。ほらディア、エドナイルで会ったマダルガとセトルド、二人はネドレ人の血を引いていた。二人は俺達と実際に会ってから、敵対心というか、警戒心が薄れた。そして結局二人は最終的に俺達の味方をした。血が薄れていても、本能は俺達の味方をしたがっていたのかもな」


「えぇー!? そういうことだったの? まぁでも確かに、マダルガ王はちょっと様子おかしかったよね。お兄ちゃんの言葉が届きやすくなってたっていうのはありそう」


「そういえばジャンダルーム様はエドナイルでヘルドルムを倒していましたな。エローラさん、血族ではないあなたには不思議に感じるでしょうが、ネドレの民の殆どはこの従属因子を良いものとして捉えています。何故なら、これは約束だからです。我々は下僕として神々に尽くし、その代わり我々は楽園で永遠の幸福と庇護を得られるのです。庇護に関しては楽園へと至る前からありますし、はっきり言って恩恵の方が遥かに大きいのです。まぁナスラム育ちのあなたには分かりませんかねぇ? なんせジーネドレの民は一般的なナスラムの民の10倍は豊かな生活を送っていますから。ネドレの子供達はジーネドレ帝国の外界を見学して学ぶのです。貧しく醜い世界から自分達は護られているのだと」



 フォルゾートがバチバチにエローラを煽っているっ……! ははは、エローラがむくれている。でもエグいことするなぁジーネドレ帝国も。


相対的な差を子供に見せつける事で自分がいかに恵まれているかを自覚させる。そんな教育を行っているとは……



「ふん、あんた、性格悪いわ! ナスラムだってみんな、元気があって、いい感じよ。確かに貴族の既得権益や腐敗に甘いし、貧富の差も結構あるけど、みんな前向きに頑張ってるんだから!」



 なんか、擁護しようとして逆に、ナスラムの駄目さを言ってしまってないか? 根性論というか感情論というか、気合でジーネドレの豊かさに対抗するしかないナスラム。なんとも悲しい……



「まぁいいんじゃないですか? 外界の民がジーネドレ帝国の豊かさを知れば、自分の祖国がゴミに思えてしまって、二度と国を愛せなくなるでしょうからなぁ! ッハッハッハ」



 フォルゾート……確かに性格悪いかも。フォルゾートがエローラを雑に扱うのは、エローラが金も権力もないと判断したからなんだろうか? ……とにかくナスラムが嫌いなのかもな、フォルゾートは。ジーネドレの一番の敵対国はナスラムだからな。



「っと着きましたな。合流地点です。例の高貴な方との、ね」



 フォルゾートがそう言うと馬車は止まった。





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