↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
境界守  作者: 琥珀猫
PR
89/89

― 結 ―

 前触れもなく現れた()()を宙に漂わせたまま、ただぼんやりと眺める。

 こちらの都合などおかまいなしに、彼らは刻がくるのを今かいまかと待ち侘び、すぐさま使いを送り出してくる。

 どんな喜怒哀楽を腹の内に抱えていようが、此岸にいる限り約定を違えたことはない。

 もっとも、新しき生命となって此岸に戻ってきて数年ほどは行くことはできないが、彼らもそれは承知しているので自重してくれている。

 あの実に愚かな負け戦の時代ですら、いささか時もかかり方途も変えたが、彼らを見送り……迎え入れたものだ。

 己で定めたことゆえ、煩わしいと思ったことは……まあ、ないといっておこうか。

 ただ時折――百年単位なので本当に両の手で数えられるほどなのだが――浮かび上がってくることがある。

 特にこんな日は、マグマの如く、心の奥底から湧いてくるのだ。


 目線を外し、ゆっくり目を閉じると、最後の吐息を零した。


 心残りはいくつもある。

 此岸が急速に変わり始めようとしていた時代から、樒として構築し、啓介として奔走し、短い名無しの時にさらに練り上げた後。

 莫大な財力を作りだし、【境界】のためにすべてを注ぎ込んだ一つ前の己。

 幾世にも亘って己が施してきたもの……彼らを護り、そして……。

 だが――あぁ、今生はこれで仕舞いか……。



 ぽとり、と抜け殻と化した残骸の胸元に落ちた()()は、手に取られることもないまま、さらり、はらりと崩れていき、どこからか舞い込んできた一陣の風とともに此岸より消えていった――。

 気ままに去っていった風のなかに紛れて、幽かな呟きを耳にしたものは誰もいない。


 ……また、彼らを滅せなかった――。

長々と拝読していただき、ありがとうございました

m(_ _)m

もしよろしければ、感想などをお寄せください


境界守番外編を近々アップする予定です

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。