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捨てられたエルフ  作者: 弥柳紗咲
1/1

こんにちは異世界

  18回目の冬。


  俺は死んだ。


  死んだんだはずだったんだーーーーーー






  ・


  高3の冬、毎日すぐそこに迫った受験に向けて、勉強漬けの生活をしていた。

 

  「疲れた…」


  夜中1時。外は雪。暖房を付けていてもかなり寒い。。。


  (喉乾いたな…)


  息抜きがてら、自販機に行こう。そう思い、重い腰を上げる。

  今日塾から帰ってきてから床に放置していたコートを羽織り、部屋を出る。


  「雪降ってるから気をつけなね」

  「分かってる」


  母を横に玄関に向かい、靴を履き、外に出る。


  ざく、


  夕方から降り続き積もった雪を踏み、近くの自販機に向かう。


  「あっ…」


  10円足りない。仕方ない、戻るか… 元来た道を進もうとすると、1台の車が、そこそこにスピードを出して来た。下は車が通ったあとで固まり、滑りやすくなっている。


  「!?」


  車が突っ込んでくる。自分に、向かって。


  ど、


  鈍い音がした。最初何が起こったか理解出来なかった。

  ただ、意識が遠のいてく。


  (死ぬんだな俺…)

  (勘弁してくれよ、まだ18だぜ?)


  眼を閉じた。最後に見たのは、紅く染まった雪だった。


  ・




  死んだんだな、俺… まだ18だったのに。流石に早すぎるだろ… 彼女0人生て悲しすぎるだろ…

  ん?なんか聞こえる… だれだ?日本語じゃない…?


  『いやよ!やめて!私の子よ!』

  『馬鹿な事を言うな裏切り者めが!貴様が1番わかっているだろうに』


  日本語じゃない。違うはずなのに、何となく理解出来てしまう…

 

  (私の子…?誰が…?)


  ぱっ、


  眼を開けた。強い光が、開いたばかりの眼に差し込んでくる。


  (人…?)


  周りをみる。1人の女性に抱えられていた。

  その女性が、自分を見て泣いている。

  いや、他にもいる… でも、何か違う。今まで自分が見た中で決定的に何かが違う。

  見える限りでも、老若男女全員人に見えるが、自分の記憶にあるものと違う。

  が、見たことはある気がする…なんだったか…

  ライトグリーンの髪に、尖った長い耳…


  『わかっているわ!でも、この子に罪はないでしょう!?』

  『わかっているなら諦めろ!魔族の血が流れているだけで断罪対象だ!』


  (魔族…?罪…?状況が読めない…)


  『裁かれるのは私だけでいい…!ーーーー!!』

  『何をする気だ!エルフの裏切り者が!』


  (エルフ!?)


  聞いた事がある名前が出てきて驚いた。が、それ以上に、今頃になってあることに気がついて。


  (俺…赤ん坊になってる!?)


  『来ないで!<風魔>《ウィンド》!』

  『ぐっ…貴様ァ!』

  『ごめんね、母として何も出来ないけど、せめてこれを…』


  <母>は、首飾りのようなものを2つ、掛けてきた。

  1つは、綺麗な石がついたもの。もう1つは、文字のようなものがが書いてある。


  『せめてあなただけでも逃がすわ…!<転移>《テレポート》!』


  <母>が叫ぶ。瞬間、


  ぞ、


  全身、物凄い悪寒と共に黒いモヤにつつまれ、前が見えなくなった。


 


  こうして、交通事故により死亡し異世界にエルフの子として転生するも、数分たたないうちに親らしき人物と離れ離れになった。

  前世の記憶は残っているが、転生して0歳の身体から、孤独で生きていかなくてはならなくなった、はずだった。

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