こんにちは異世界
18回目の冬。
俺は死んだ。
死んだんだはずだったんだーーーーーー
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高3の冬、毎日すぐそこに迫った受験に向けて、勉強漬けの生活をしていた。
「疲れた…」
夜中1時。外は雪。暖房を付けていてもかなり寒い。。。
(喉乾いたな…)
息抜きがてら、自販機に行こう。そう思い、重い腰を上げる。
今日塾から帰ってきてから床に放置していたコートを羽織り、部屋を出る。
「雪降ってるから気をつけなね」
「分かってる」
母を横に玄関に向かい、靴を履き、外に出る。
ざく、
夕方から降り続き積もった雪を踏み、近くの自販機に向かう。
「あっ…」
10円足りない。仕方ない、戻るか… 元来た道を進もうとすると、1台の車が、そこそこにスピードを出して来た。下は車が通ったあとで固まり、滑りやすくなっている。
「!?」
車が突っ込んでくる。自分に、向かって。
ど、
鈍い音がした。最初何が起こったか理解出来なかった。
ただ、意識が遠のいてく。
(死ぬんだな俺…)
(勘弁してくれよ、まだ18だぜ?)
眼を閉じた。最後に見たのは、紅く染まった雪だった。
・
死んだんだな、俺… まだ18だったのに。流石に早すぎるだろ… 彼女0人生て悲しすぎるだろ…
ん?なんか聞こえる… だれだ?日本語じゃない…?
『いやよ!やめて!私の子よ!』
『馬鹿な事を言うな裏切り者めが!貴様が1番わかっているだろうに』
日本語じゃない。違うはずなのに、何となく理解出来てしまう…
(私の子…?誰が…?)
ぱっ、
眼を開けた。強い光が、開いたばかりの眼に差し込んでくる。
(人…?)
周りをみる。1人の女性に抱えられていた。
その女性が、自分を見て泣いている。
いや、他にもいる… でも、何か違う。今まで自分が見た中で決定的に何かが違う。
見える限りでも、老若男女全員人に見えるが、自分の記憶にあるものと違う。
が、見たことはある気がする…なんだったか…
ライトグリーンの髪に、尖った長い耳…
『わかっているわ!でも、この子に罪はないでしょう!?』
『わかっているなら諦めろ!魔族の血が流れているだけで断罪対象だ!』
(魔族…?罪…?状況が読めない…)
『裁かれるのは私だけでいい…!ーーーー!!』
『何をする気だ!エルフの裏切り者が!』
(エルフ!?)
聞いた事がある名前が出てきて驚いた。が、それ以上に、今頃になってあることに気がついて。
(俺…赤ん坊になってる!?)
『来ないで!<風魔>《ウィンド》!』
『ぐっ…貴様ァ!』
『ごめんね、母として何も出来ないけど、せめてこれを…』
<母>は、首飾りのようなものを2つ、掛けてきた。
1つは、綺麗な石がついたもの。もう1つは、文字のようなものがが書いてある。
『せめてあなただけでも逃がすわ…!<転移>《テレポート》!』
<母>が叫ぶ。瞬間、
ぞ、
全身、物凄い悪寒と共に黒いモヤにつつまれ、前が見えなくなった。
こうして、交通事故により死亡し異世界にエルフの子として転生するも、数分たたないうちに親らしき人物と離れ離れになった。
前世の記憶は残っているが、転生して0歳の身体から、孤独で生きていかなくてはならなくなった、はずだった。