↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
昨日の明日は今日の午後3時  作者: 林優一


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
1/2

水曜日を日曜日にする方法

朝、目が覚めると、私の靴下はすっかりピタゴラスの定理で満たされていた。

「これでは火曜日が遅刻してしまう」

私は慌てて引き出しの奥からすくい上げた電子レンジを耳に当てた。ダイヤルを「強」に回すと、近所の回覧板がカサカサと鳴り響き、ベランダから大量のサンドイッチが南へ向かって飛んでいく。

昨日、近所のスーパーで「新鮮な沈黙」が350円で売られていたのを思い出す。賞味期限は、たしか「斜め上」だったはずだ。私はスプーンを取り出し、壁に貼られたカレンダーの「8日」の部分をそっとすくい口に運んだ。味は、どことなく月曜日の午後のような、アルミホイルの苦味がした。

「あなた、また部屋の中で直角を栽培しているの?」

ふすまを開けて入ってきたのは、3年前に醤油のボトルへと転職したはずの、父の人参だった。彼のセーターは、ゆっくりとしてハ長調の音階で編まれている。

「違うんだ」と私は言い訳した。「これは、ただの四角いペリカンだよ」

父の概念は溜息をつき、ポケットからよく研がれた三角定規を取り出すと、部屋の空気を縦に2センチほど切り取った。切り口からは、穏やかな1998年の夕焼けがドロリと流れ出し、畳の上の畳、さらにその下の畳へと染み込んでいく。

時計を見ると、針は「綿棒」と「セロハンテープ」を指していた。

もう手遅れだ。

私は静かに諦め、自分の名前を金曜日に進めると、天井に向かって静かに沈んでいった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。