エピローグ
あれから色々なことが怒涛のように過ぎていった。
国の危機に、帝都を逃げ出した皇族は全ての貴族や民意に背かれ、王位継承権を剥奪され地方へ追放となった。
女神に祝福されし女帝という触れ込みで帝国は生まれ変わるとスカーレットは帝位につく時に皆に宣言した。
皇帝直属の憲兵を設立し、重税を課したりする悪徳貴族を厳しく取り締まることを約束した。
(厳し過ぎても反発を招くので多少の悪事は見逃すけどね)
アスティア王国は聖地と呼ばれる鉱山を取り返しただけで、驚くほどに素直に兵を引いていった。どうやらその鉱山では『神の鉱石』が取れるということで、そこさえ取り返せれば帝国に遺恨はないとのこと。
エルフの国との国交も始まり、帝国は経済的にも持ち直してきた。特に、シオンが神器で作った野菜の種が金貨で取引されるほど好評であった。一度収穫しても、種を育てるとほぼ同じ美味しさの野菜が育つとわかったからだ。エルフは小麦を育てることのできる平野の領地を帝国から譲り受け、食料問題も解決してきた。
ただ問題も出てきたのだが・・・
「レットお姉ちゃんよ、なんとかして欲しいのじゃ」
「いやいや、シオンちゃん、私の方もなんとかして欲しいんだが?」
今日は表向きは友好関係の交流の場で面会中だ。
二人は深いため息を吐いた。
そう、今困っているのは二人の結婚相手についてだ。
二人は女神に祝福されし者として、自国のみならず各国から多くの求婚届が送られてくるのだ。
「ただでさえ帝国は改革の途中だというのに・・・はぁ・・」
「いやいや、なんでレットお姉ちゃんはまだ婚約者がおらぬのじゃ?普通はすでにいてもおかしくないじゃろに」
部屋の空気が重くなった。
「・・・いや、前はいたのだが、身辺調査であまりにもドクズなことがわかってこっちから婚約破棄してやったんだよ。それからは・・・まぁ・・・」
お察しというわけじゃな。皇族の王配ともなれば痛くない腹を探られるのを嫌った者が多かったのじゃろう。
しかし女神様の祝福を受けたとなれば話は変わってくるじゃろう。王配になれば歴史に名前を刻まれる訳じゃしのぅ。
「それより女神様の寵愛を受けしシオンちゃんの方が大変だなぁ~」
「わ、妾は別に生涯女神様にお仕えすると誓っておるから、後継は養子でもよかろうに」
「いや、それは絶対に揉めるからダメね」
「なんでじゃ!」
「いや、国の王様になれるって血の繋がりのない者が王になったら家臣がついてこないでしょう」
うぐっ!?
シオンは正論に言葉に詰まった。
「わ、妾よりレットお姉ちゃんじゃろう!もう婚約者どころか結婚適齢期じゃろ!」
グハッとスカーレットは精神ダメージ9999を受けた。
「い、いや~私は恋人いるし?」
目を逸らしながらいうスカーレットをジトーと見つめるシオンがいた。
「それは仕事が恋人ってやつではないのか?」
ビクッ
「えーと・・・・うん、まぁ、そんな感じ?」
「可愛く言ってもダメじゃ!」
「私よりシオンちゃんもいないでしょ!」
「妾はまだ子供じゃから良いのじゃ!」
「そんなことを言っているとあっという間に適齢期で、年齢に見合う男が居なくなるんだから!・・・私みたいに」
ズーンと部屋の空気が重くなった。
「と、取り合えず家柄に合う者とお見合いじゃな。妾は気が進まぬが・・」
「そ、そうだよね。まだまだ大丈夫!・・・大丈夫よね?・・・大丈夫のはず」
二人の婚活生活はこれからだ!
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『──天界にて──』
「久々ねぇ~」
現在、女神会議に出席中のノルン。
ザワザワ
ザワザワ
「ねぇ、見てノルン様よ」
「本当だわ。こんなに早く出席するなんて謙虚な方なのね」
(基本的に高い順位の女神は遅く来る暗黙のルールがあった)
女神会議、通称メガカイに参加したノルンは時の人扱いになっていた。
「やっぱりこの会議にでる食事やワインは美味しいわぁ~」
いつのものように、多くの視線を浴びていても、ボッチの期間が長かったノルンは一人で食事を楽しんでいた。
「いつも早いわねノルンさん」
!?
「イザナミ様!?」
慌ててお皿を置いて挨拶した。
「食事中ごめんなさい。ただノルンさんに事前に伝えておかないと思って声を掛けたの」
「・・・私、何かやらかしましたか?」
自己肯定の低いノルンは知らない間に何かやっちゃった!?と青ざめた。
「クスクスッ、違うわよ。またあなたの信仰心が強くなったので女神の位が上がったのよ。おめでとう」
「えっ、また上がったんですか!?」
もう嫌だ・・・今の位ですら過分評価なのに・・・
「正式発表は後からだけど、これで第二位にまで上がったわ。私もすぐに追い抜かれそうね。少し悔しいけど肩の荷が降りる気分だわ」
「あわわわわわっっっっ・・・・」
ノルンは余りのことにパニクってしまった。
「・・・・本当に、頑張ったのね。魔王などのいない世界では信仰心は上がり辛いというのに」
「いやいやいや、本当に私は何もしていないんですよ~~」
「私が何も知らないとでも?上位の位のアップには審査があります。あなたが下界に降臨して神託を下したことなど把握していますよ?謙虚なのは貴女の美徳ですが、謙虚過ぎるのも問題です。これからはもう少し上位の女神として威厳も持ってくださいね。では、また」
イザナミはそういうと離れていった。
その話を聞き耳立てていた下級女神達はノルンに群がり、また信仰心の集める方法など聞きたがってもみくちゃにされるのでした。
『シオンちゃーん!やり過ぎないでーーーー!!!!!』
天界にノルンの叫び声がこだまするのであった。
『終わり』
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【あとがき】
最後までお読み頂きありがとうございました。
女神ノルン様はこの小説のもう一人の主人公で、書いていて楽しかったです。
ただ短編では適当に大陸の地図を作ったので、帝国を挟んだ南のエルフの国をどう絡ませるか悩みました。そのせいで更新が少し止まり申し訳ありませんでした。
現在、新しい短編を書いており、それを投稿したら好評だった【爆炎の大魔導士は世界を救う。(でも本当の属性は不遇属性の風属性なんです)ドヤ顔( ・`ω・´)】
これの連載版を検討しております。
(予定は未定なので変わるかも)
お楽しみに!




