女神ノルン
ハクトは少数種族で生まれ故郷を追われたことを神様を恨んで悪態をついていた。
神様は自分たちを救ってくれないと。
しかし、女神ノルンはシオンを遣わした。
まだ我々を見捨ててないと。
「俺は今まで神様を悪く言うことはあっても祈ったことは無かった。祈った所で助けてはくれないと。しかし・・・・」
ハクトはシオンを見返して言った。
「我々を救うためにシオン姫殿下を遣わしたのであれば、これから毎日女神ノルン様に祈りを捧げます!そして、この御恩に報いるためにシオン姫殿下の幸せも祈らせてください!」
ハクトはその場で膝をおりシオンに忠誠の礼を取った。
「うむ、できることとできないことは確かにあるじゃろう。その中でできる限りの人々を救うとこの場で宣言するのじゃ。妾だけでは不可能なことも皆の力があればできると信じておるぞ!」
「「「「はっ!」」」」
会場にいた全ての者達が臣下の礼を取った。
「さて、難しい話はここまでじゃ。女神ノルン様に日々の感謝の祈りをして今日は多いの飲んで食べて欲しいのじゃ!スノー王国の使者達の歓迎会も兼ねておる!無礼講じゃ!大いに騒ぐが良いぞ!」
「「「オオオオオオオッッッッ!!!!!!」」」
そこからは大騒ぎのどんちゃん騒ぎになった。
「ハクト殿達も今日は大いに飲んで欲しい。祖国の家族や民が心配じゃろうが、明日には腹一杯食べさせられる食糧を運ぶのでな」
「シオン姫殿下の心遣いに感謝致します。本当にありがとうございます!」
こうして警戒していたハクト達の心を解いて楽しい宴は夜遅くまで続いた。
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──天界にて──
「ふぉぉぉぉぉっっ!?」
仕事をしていた女神ノルンは急に奇声を上げた。
「ノルン様、ふざけてないで仕事をしてください」
優秀な部下のアイギスが注意するが、ノルンははぁはぁと顔をほてらせながら言った。
「ふざけてないわよ。なんか急に多くの祈りの力が入ってきたのよ」
女神の力は信仰心である。
まとまった祈りの力がノルンに届いたのだ。
「ちょっと調べます!」
カチャカチャとキーボードを打つとすぐに特定できた。
「・・・5年ほど前にノルン様が間違えて異世界に送ったシオンさんが、早速やらかして信仰を集めているようですね」
「まさか異世界が血の海になってわよね!?」
ノルンの言葉にアイギスは最近あった過去の大きな出来事を画面に出した。
「う、うきゃーーーー!!!!!!?」
そこには帝国の防衛戦が映し出されており、1万以上の死者もまた映っていた。
「これは・・・本当に異世界を血の海に染めているのでしょうか?しかしそれでどうして信仰心を???」
アイギスはシオンが転生してからの5年間を調べた。
「えぐっ!えぐっ!私の世界はもう滅んじゃうのかしら?」
泣きべそをかきながらアイギスは調べたことを報告した。
「嘘でしょ!奇襲とはいえ3万の軍に3千で突っ込んで敵の総大将の首を挙げたの!?」
「まだあります。帝国の宣戦布告にて、防衛戦とはいえ敵に数万規模の死傷者を与えたのに自軍は100人も死傷者がいませんでした」
なんなのよ!この子は!?
「ノルン様が選んだ転生者ですよ?」
驚くノルンにアイギスは冷静にツッコミを入れた。
「助けた仲間にノルン様を信仰するように言っているようですね。それも強制ではなく自主的に誘導しています」
「あら?私の力が増したのはシオンちゃんのおかげ?良い子なのかしら?」
良い子は戦争で数万人も殺しません!
「でも、ここ最近では一番の信仰力が入ってきたのよ?」
「とはいえ、まだ数十人では・・・?いえこれは!?」
急にノルンの体が光り輝いたと思えば、身体中に『神気』をバチバチと漲らせていた。
「嘘でしょ!?クレスト王国の全ての民からの信仰心が送られてきています!」
アイギスの驚く声にノルンも自分の状態がわかっておらずポカーンとしていた。
シオンは女神ノルン様の偉大さを説いて周り、新しい彫刻も各村や街に建てたのだ。その国中からの祈りが少し遅れてノルンに届いたのである。
「の、ノルン様!女神の位が上がっています!!!!」
アイギスが驚くのも無理はない。
女神にも階級があり1位が1番よく10位まである。
ちなみにノルンは8位だったのが今回の信仰心で7位に上がっていた。
魔王などいる世界では対抗するために信仰心を集めやすいが、平和な世界では信仰心を集め難いのだ。
それがクレスト王国の圧政から救ってくれた少女が女神様のおかげじゃ!と言って各村や街に石像を立てていけば、次第に民も毎日祈るようになると言う訳だ。
シオンの上手い所は強制ではなく自主的に祈らせるやり方だと言うことだ。
誰かに言われたのではなく、自分からだと習慣着くし、祈りのエネルギーも違うのだ。
これからスノー王国でも女神ノルンの石像など立てるつもりのシオンは、少しして更に信仰心を得ることになるまでもう少し先の話である。
そして女神ノルンも女神の位が上がることによってできることが増え、『神託』としてシオンに干渉できるようになるのだった。




