ホースメン騎馬国家の出陣
【キバムス視点】
フハハハハハハ。
計画通りとはまさにこのこと。
亡命してきた馬鹿の首を刎ね、エンパニウムが隠し持っていた全ての兵を手に入れることに成功した。
後は風魔国を騎馬突撃にて踏み潰してやるだけだ。
準備は整った。
「全軍、突撃せよ!我らの騎馬突撃の恐ろしさを魔族の奴らに思い知らせてやるのだ!」
【カンガル視点】
父よ。
未だに女はモノなどと古い考えを持つ古い人間に俺の幸せは踏み躙らせない。
「皆、死力を尽くして迎え撃て!村長様は俺たちに女はモノではなく愛する者だと教えてくれた!愛する者を守るため、父の騎馬隊を壊滅させる。鉄砲隊は間断なく砲撃の準備をせよ!馬防柵に足を止めた騎馬隊から殲滅するのだ!」
「私も一緒に戦うわ。だって風魔国はマオちゃんの大切な場所で、私たちの大切な場所で、貴方との幸せの場所だから」
「リリアン…君が俺の側に居てくれるだけで俺は堪らなく幸せだ。危なくなったら俺のことなど見捨てて逃げるのだ。君が傷付くのは見たくないからな」
「カンガル…それは私も一緒だよ。貴方が傷付くところなんて見たくない」
「リリアン…」
「カンガル…」
あぁ、女はモノだ魔族は悪だと教えられてきた俺がサキュバスの女に惚れ込むなんてな。
だが、リリアンを守るためなら俺は。
あの日、村長様と話した。
「リリアンを俺にくださいでござるか?」
「はい。俺は村長様に生き返らせてもらいここで暮らして、いかに自分が愚かな人間だったかを学びました。父の考えは古すぎる。父がこの地に攻め寄せるというのなら俺は父を容赦なく撃ちます」
「親を討つ覚悟でござるか…リリアンはどうでござる?」
「私はカンガルが好きです。風魔様がお許しくださるなら」
「あい、わかった!お互い好き同士であるなら拙者は何も言うことは無いでござるよ。カンガル、死亡フラグは立てても死ぬなでござる。へし折ってしまえ!」
「は、はぁ」
村長様が許してくださった後の最後の言葉の意味はよくわからなかったが。
俺が魔族を守るために父と敵対する未来が訪れるとは…人生とは何が起こるかわからぬものだな。
「もう!カンガルったら!私、チュウされるのを待ってたのに!」
「すまないすまない。村長様に結婚を許してもらった時のことを思い出していてな。俺を愛してくれてありがとう。俺の前に現れてくれてありがとう。リリアン」
「な!?もう!そんなの私の方だから!大好きだよカンガル」
俺たちはどちらからともなく唇を重ねていた。
「ヒューヒュー熱々っすね若!でも、俺たちも若に拾われてここで暮らして、いかに自分たちの国が愚かな国か学びやしたから、今は騎馬じゃなくて鉄砲だって教えてやりますよ」
「あぁ、村長様の手を煩わせずとも壊滅させてやれることを見せつけてやるのだ!」
「うおおおおおおおおおおおお!!!!!!」
【キバムス視点】
な!?な!?な!?なんだあの士気の高揚は!?
ええい、魔族どもなど大人しく踏み潰されて居れば良いのだ。
我らが騎馬突撃の恐ろしさ思い知らせてやるわ!
「全軍、突撃せよ!魔族どもを一兵たりとも逃すでないぞ!」
「うおおおおおおおおおおお!!!!!」
フン。
残念だったなこちらの士気も高いのだよ!
【カンガル視点】
良し、今だ!
「引け!」
馬防柵が突如として現れ、それに足を取られる騎馬隊。
「馬鹿の一つ覚えのように突撃してきた騎馬隊共を葬ってやれ!射撃、用意!放て!」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「ヒィィィィィィィ」
「ぎょぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」
「弾を撃ち終えたものから列の最後尾に並び直し、弾込めを始めよ!第二陣、前に出て、射撃準備!放て!」
「また…また、アレが飛んでくるぞ。逃げろ!逃げるんだ!」
「隊長、後ろも撃たれた者たちの屍で既に身動きできません!」
「馬鹿な。こんなはずでは。ガハッ」
「た、隊長がやられた!もうここはもたねぇ。逃げろ!とにかく逃げるんだ!この馬鹿馬、死体を踏んで向こうに行くんだよ!何で、そっちに行くんだ!う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁ。死にたくねぇ死にたくねぇ死にたくねぇよぉぉぉぉぉぉ」
まさに地獄絵図。
馬たちがリリアンに誘われるかのように馬防柵の方へと突撃を繰り返し、最強を誇ったホースメン騎馬国家の騎馬隊は見る影もなく、全て等しく土へと返った。
「これがかつて最強だと信じていた物か…。村長様にかかればまるで赤子の手を捻るかのように蹂躙されるのだな」
「確かに武器は村長様から頂いた物だけどその力を正しく使いこなしたのはカンガルだよ」
「そ、そういうリリアンこそ俺以外に色目を使って、誘惑するのは俺だけにしろ!良いな…」
「カンガル、もしかして焼きもち焼いてる?」
「う、うるさいな。好きな女が他の男に色目使ってたら焼くだろ、バーロー」
「男じゃなくて…馬だけどね」
【キバムス視点】
馬鹿な!?
こんなことがあって良いわけがない。
我が国の誇る騎馬隊が壊滅するなど。
機動力を生かして、踏み潰してから俺を守るように配置した重装歩兵団をすり潰すつもりであったのが裏目に出たか。
いや、今はコイツらが俺の側に居ることを有難いと思うべきか。
とにかく、今は我が国へと帰り、さらに多くの兵を。
「父よ!聞こえるか!これが我らが村長様のお力だ!悪いことは言わぬ!降伏されよ!できぬというのなら貴方の息子が直々に介錯して差し上げよう!」
あの声はカンガル!?
一体、何がどうなって。
「馬鹿な父に付き合わされたエンパイア帝国の兵たちよ。もう従う義理はない!既にお前たちの祖国は、風魔国と友好通商条約を締結した。無駄に命を捨てる必要はない!父がまだ逃げるというのなら捕まえて、俺の元へと連れてくるのだ。息子自ら引導を渡してくれよう!」
息子の言葉が決め手となり、エンパイア帝国の重装歩兵団に捕まえられた俺は息子の前に突き出されたのだった。
ここまでお読みくださり、ありがとうございます。
少しでも楽しい・面白い・続きが見たいと思って頂けましたら、下にある⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎から評価してくださいますと執筆活動の励みとなります。
それでは、次回もお楽しみに〜




