降下作戦
「わかった。それでは自分の部隊が急行しよう」
マデリンカ大尉が答えた。
「おれも連れて行ってください」
蒼介が頼んだ。
「捕虜収容所の地球人たちの多くは、ショードファ人の蛮行とは無縁なはずです。かれらを助けたいんです」
「あたしも行きます」
夏映が横から口をはさんだ。
「わかりました。ついてきなさい。でも戦いは、基本的に我々が行います。あなた達は、離れた場所にいてください」
大尉がそう回答した。大尉の率いる中隊は元々は200人程いたのだが、さっきまでの戦闘で150人ぐらいに減っている。
蒼介と夏映は、その後をついてく形になった。150人の歩兵部隊は上空から現れた兵員輸送用の軍用機に乗りこんだ。
軍用機はオーニソプターで、左右4枚ずつ並んだ巨大な翼が激しく羽ばたきながら上昇を開始する。
捕虜収容所付近まで飛び、そこから空挺部隊のように降下する形になるのだ。
蒼介と夏映にも降下用のバックパックが渡されたのでそれを背負った。
そしてやはり渡された戦闘服を着る。
チャマンカ人用なので地球人には合わないと思いきや、蒼介と夏映のサイズまで自動で縮みジャストフィットする。
随分便利にできてるものだ。
「チャマンカ兵の全てがチャマンカ人とは限りませんから。余程特殊な体型をした知的生命体でない限り、この戦闘服で大抵ぴったり合うようになっている」
マデリンカ大尉が補足した。
「そうだったのね! 上手くできてる」
感嘆の声をあげたのは、夏映である。やがて眼下に捕虜収容所が見えてきた。
そこに向かって地上を疾走するホバータンクと、兵員輸送用のホバートラックの群れがある。
「あれがクーデター派のホバータンク部隊ね」
大尉がそうつぶやいた。蒼介のゴーグルにも眼下のホバータンクとホバートラックが革命派の識別信号を出しているのが表示されている。
反乱軍の戦車や兵士は赤く光り、味方は青く彩られていた。
マデリンカ大尉を先頭に、戦闘服姿の兵士達が次々と降下してゆく。
空からの降下に気づいたクーデター派の地上部隊がミサイルとビーム砲とレールガンを天に向かって撃ちはじめた。
感情抑制剤を飲んだ蒼介だが、それでもこの地上から迫りくる攻撃を見ていると、足がすくんだ。
次の瞬間突然地震のような強烈な衝撃が、蒼介の乗るオーニソプターを襲う。オーニソプターのどこかが攻撃されたらしく、爆発音が轟いた。嵐のような爆風が、蒼介達を叩きとばす。悲鳴が空を切り裂いた。




