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凱旋

ガシャンテは捕虜となっていた恥辱をすすぎ、今や凱旋将軍だ。彼は戦艦モガラモガラに乗りこんで、チャマンカ星へ向かっていた。彼の故郷では、凱旋式が待っていたのだ。 モガラモガラには捕虜となったショードファ軍のワキーファ准将も乗せられていた。彼はチャマンカ星の捕虜収容所に移送される手筈となっている。 準光速ミサイルで母星を攻撃されたチャマンカ人の恨みは深く、首都のズワンカで裁判にかけられた後、ワキーファ准将は死刑にされる見通しだ。「ガシャンテ大将閣下。バサニッカ宰相から入電です」 ブリッジにいる通信士が声をかけた。次の瞬間、ピンクの毛並みに包まれた『氷の女』のホロ映像が現れた。「このたびはよくやった。貴様のおかげで、宿敵ワキーファも確保できた」「おほめの言葉、ありがとうございます。宰相閣下」 ガシャンテは、頭を下げた。「地球の支配も順調に進んでおります」「それはよかった。会うのを楽しみにしておるぞ」 バサニッカ宰相は、満面の笑みである。この時ブリッジにはソワンカ大佐の姿もあった。彼はバサニッカからチャマンカで2人で会いたいという旨を伝えられている。誰にも内緒でだ。 ソワンカは、ほとんどバサニッカと話をした事がなかったので、正直かなり驚いていた。


          瀬戸口はショードファ軍の宇宙戦艦の中にいた。 といってもすでにこの戦艦はチャマンカ軍に接収され、ブリッジはチャマンカ兵達が占拠しており、ショードファ兵達は営倉に入れられていたが、ワキーファ准将は、個室を与えられている。 瀬戸口や結菜のようなショードファ軍に協力した地球人達は男女別に分けられ、やはり営倉に閉じこめられている。 瀬戸口含め地球人は全員がネックレス型の翻訳機を下げており、それを使って異星人とも、違う言葉を話す地球人とも会話ができた。 瀬戸口のいる部屋にも日本人もいれば、他の国の人間もいる。肌の色も国籍も、言語も宗教もバラバラだ。ショードファ人に協力すれば地球を解放できるとの信念で集まった者達ばかりである。「こんなはずじゃなかった」 アメリカ人の青年が嘆いていた。年齢は20代ぐらいだろうか。白人で、見事な金髪だ。ファーストネームはジョン。ミドルネームとファミリーネームは知らないかった。「ショードファ人が準光速ミサイルで、チャマンカ星と、地球人が働くコロニーを攻撃するとは思わなかった。これでぼく達は悪者になっちまった」「起こってしまったのを嘆いてもしかたない」 そう話したのは、中国人のチャンである。こちらは名字しか知らない。年齢は30代ぐらい。「おれ達アース・パルチザンは、その件に関与してないと表明して、今後はショードファ人と距離を置こう」「そんな議論してても意味ねえだろ」 そこへ口をはさんだのが、ロシア人のボリスだ。スキンヘッドでガタイがいい。 年齢は50代ぐらいだろうか。こちらの人物もファーストネームしかわからない。「このままじゃ、おれ達終わりだ。ぶっ殺されるか奴隷になるか」「何とか反乱を起こせねえかな。頭数は、それなりにいる。この戦艦を乗っ取れればいいが」 瀬戸口が、口をはさんだ。「気持ちはわかるが、武器は全部取られちまって丸腰だしな」 ボリスが酸っぱい物でも食べたような表情で、そう話した。



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