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白百合の君  作者: 九月
第三章 16歳の私 〜ディプトリス学園魔法学科1学期〜
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新入生歓迎会。1

約2年ぶりの投稿になりますが、皆さん覚えていてくれていますでしょうか。

前回からの投稿が大変遅くなり申し訳ありません。

これからも遅い投稿になると思いますが、変わらず楽しんで頂ければ幸いです。

「では、今から新入生歓迎会を開催したいと思います。」


生徒会長の雛菊様が野外ステージで宣言する否や、周囲で歓声と花火があがった。


花火を追いかけるように見上げた空は澄み切っていて、思わず私は目を瞬かせた。


とうとう例の新入生歓迎会が始まったのだ。周りにいる友人たちは楽しみだと口々に言い合っているが、私はやっと始まってくれたかという思いでいっぱいだ。やっとあの地獄の日々から解放される。今はただその事実をしみじみと噛みしめ、よくぞあの日々を耐えきったなと過去の自分を一人労わった。


「わー、新入生歓迎会、すっごく楽しみだね。」


いつも以上に輝いた笑顔で話しかけてくるサーシスは、どこか興奮気味だ。楽しみにしていたことが良くわかる。きらきらと笑う彼女。その笑顔が見られただけでも私は頑張ったかいがあったなと思った。


「では早速、前座ということで、レオンス、シア、フェリクスの三人にパフォーマンスをしてもらいましょう。」


会長がにっこりとほほ笑みながらステージの袖の方向に手を向けると、ゆっくりと三人が登場してきた。キャーキャーという女の子たちの黄色い歓声が三人分だからか先ほどの三倍ほどはあがる。思わず耳をふさいだ。

視線の先にいる三人は三者三様の登場だった。

花王様は落着いた表情、シアはニコニコ笑顔を振りまいている。当然ながら竜胆様は相変わらずの仏頂面だ、嫌そうな顔を隠しもしない。しかしよくこの役目から逃げ出さなかったなと、今までの竜胆様の逃走癖を思い返しながらぼんやりと眺めた。


「何をするのかな?」


期待に満ちたサーシスの声に私も心の中で同意する。一体どんなものを見せてくれるのか。SSクラス、魔力、才能あふれる彼らの事だ、すばらしいものをみせてくれるだろう。そういえば委員長もするはずだ。あれほど仕事をさぼったのだ。さぞや素晴らしいものを見せてくれるに違いないとこっそり毒づく。


しばらくすると女の子たちの悲鳴は徐々に納まり、三人が観客から見て左側から、花王様、シア、竜胆様の順に一列に並んだ。竜胆様が左手を前に突き出すように伸ばすと、肩あたりから腕に巻きつくように炎が現れた。そのまま炎の渦は描く円を大きくしながらステージからはみ出し、観客の頭上に大きな渦ができた。その渦の回転は徐々に速く大きくなる。頭上の炎の渦化から目を離して、ステージを見ると、花王様も右手を前に突出し、右肩から水を巻きつかせていた。そして竜胆様と同じように水の渦を観客の頭上に発現させた。今私の目のまえには右手に炎の渦、左手には水の渦ができていた。二人の真ん中に立つシアは両手で空中を撫ぜ、十本ほどの雷でできたランスを作っている。

そして、空を切るように横に手を動かす。


ランスは五本ずつ炎と水の渦に向かって行き、両方の渦に刺さった。


破裂音が辺りに木霊し、そして煙が晴れると、そこには炎と水で作られたドラゴンがいた。水でできたドラゴンは、太陽の光に反射して水面の川のようにドラゴンの鱗が光り輝いている。炎でできたドラゴンは、体中から火が噴出し、閉じた口から火がこぼれ出ていた。


おおっと観客からどよめきがでる。二体のドラゴンは悠々と頭上を羽ばたいていく。


「さすがSS生、レベルが違うね。あんなに大きなドラゴンを創り出すためにはかなりの魔力がいるし、しかも動かしているなんて・・・・・・・ほんと凄い。」


サーシスはしきりに褒めて感嘆の溜息をもらしていた。

他の観客もサーシスと似たり寄ったりな言葉を興奮しながら周りと話している。

気が付けば、恐らく雷で造られたドラゴンも加わっていた。あれはシアの魔法だろう。

悠々と空を駆ける三体のドラゴンは観客の視線を一身に引き付けていた。

しばらくそのように飛んでいたかと思うと、三体のドラゴンたちは、火を噴き、水を噴き、雷を落としながら、まるで喧嘩をするように戦いはじめ、三方向から中央に向かってかなりの速度で正面衝突を起こした。低い地響きを思わせるような大爆発が起こり、観客は皆耳と目を塞いだ。


「なんだ?あれ。」


暫くして静かになったとき誰かが大きな声で言った言葉に、私も周りもつられるようにして空を見上げた。太陽の眩しさに目を細めながら目を凝らすと、ひらひらと紙のようなものが頭上から落ちてきている。誰もが手を伸ばし、ジャンプをしたりしてその紙をつかみ取ろうと躍起になっていた。

私も目の前落ちてきた紙を手に取った。

その紙には、縦5横5のマスが描かれ、そのマス一つ一つに、「中庭」「音楽室」「裏門」と学園内の場所の名前が記入されている。


「はい、皆さん紙はもう手に入れましたか?手に入れていない人は降ってくる紙を一枚つかんでください。大丈夫ですか?では今回の新入生歓迎会のメインイベントの説明を始めたいと思います。


これから皆さんにはスタンプラリーのビンゴゲームを行ってもらいます。マスに書かれた場所に行って、そこに置かれたスタンプをそのマスに押してください。縦横ななめに五つスタンプが並んで押すことができたらこの場所に帰ってきて、ステージ上に上がってきてください。

先着50名様には特別な景品を差し上げます。早い者勝ちですから皆さん頑張ってくださいね。でもこのゲームは新入生を歓迎するためにものなので、上級生はビンゴの上にくじ引きをしてもらいます。ハズレを引いたらもう一回ビンゴをし直してもらいますので、そこは気を付けてください。詳しくは紙の裏側に書いてあるので、読んでください。


注意としては、スタンプには特別な魔法がかけられているので、偽造はできません。また、このゲーム中は一切の魔法を禁止します。他人のカードを盗む、脅すなんてそんな考えは起こさないように。そのような行為を見かけたら、すぐに風紀委員に連絡をください。怖い風紀委員が捕まえに行きます。また彼らは見回りをしているので、そのような行為を見つけ次第、ゲームの参加権利を破棄されますから、絶対にしないでくださいね。最後に当然のことながら学園の内の立ち入り禁止区域には入ってはいけません。


制限時間は三時間。三時間がたった後、こちらから合図をしますので皆さんここに帰ってきてください。

では皆さん、ルールを守って楽しい新入生歓迎会にしましょう。


準備はよろしいですね?

ではー、今からスタートです!」



その声と同時に皆、我先にと野外ステージから出ていく。


「ねえ、アリエルはどこが書かれていた?」


とりあえずサーシスと2人、紙の見せ合いをする。


ざっと見た感じだがあんまり同じ場所がないようだ。サーシスもどうやらそう思ったのか落胆の色を隠さない。


「あんまり同じ所のスタンプないね。アリエルと回れたらよかったのに・・・」


あまりにも落ち込んだように言うので、何とか同じ場所が記載されているところを見つけ出し、指をさして励ます。


「そうだけど、ここは同じだし、しかもここから近いから、一個目は一緒に回ろうよ。」


「そうだね!そうしよう!」


一気にパッと華やいだサーシスの表情に思わず笑ってしまった。



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