信仰暴走 祈りのかたち
村。
雨は、降っている。
穏やかに。
村人
「ありがたい……」
誰かが、手を合わせる。
一人、また一人。
気づけば、
何人も同じことをしている。
きっかけは、小さかった。
「助けてくれた存在がいるらしい」
その一言。
やがて、それは形になる。
朝
村の広場。
簡単な台が置かれている。
何かが乗っている。
それ
……像。
早霧
「……なにあれ」
清乃
「造形が不安定です」
雨音
じっと見る。
像
明らかにおかしい。
ポーズが違う
髪がやたら長い
なぜか蛇が巻き付いている
早霧
「誰!?」
村人A
「夜叉姫様です」
早霧
「違うでしょ!?」
村人B
「ありがたいお姿を再現しました」
清乃
「再現率は低いです」
雨音
小さく呟く。
「……ちがう」
だが
誰も気にしない。
次の段階
祈りが始まる。
村人たち
「雨よ、恵みを……」
手を合わせる。
早霧
「なんか増えてない?」
清乃
「集団行動の強化です」
さらに
供物が置かれる。
野菜。
米。
なぜか魚。
早霧
「食べ物無駄にしてない!?」
村人C
「喜ばれるかと」
雨音
困る。
次
ポーズが増える。
村人たち
謎のポーズで祈る。
早霧
「それ何!?」
村人
「昨日見た夢で」
清乃
「信憑性は低いです」
加速
どんどんズレる。
像(進化版)
いつの間にか改良される。
さらに違う。
早霧
「悪化してる!!」
雨音
ついに前に出る。
一言
「……あの」
村人
一斉に振り向く。
空気
静まる。
雨音
少し戸惑いながら。
続き
「それ、やめてほしい」
沈黙
……
村人
ざわめく。
理由
「でも、助けていただいて……」
雨音
首を振る。
本音
「違う」
一歩
像の前に立つ。
視線
まっすぐ見る。
言葉
「これは、私じゃない」
さらに
「誰か一人のおかげじゃない」
間
少しだけ、空気が変わる。
続き
「みんなで生きた結果」
静かに
「だから――」
結論
「こんなの、いらない」
沈黙
長い。
早霧
(ちょっとかっこいい)
清乃
(合理的です)
村人
少しずつ、
手を下ろす。
変化
祈りが、止まる。
像
そのまま残る。
でも――
もう誰も、手を合わせない。
結び
雨は、静かに降り続く。
誰のためでもなく。
ただ、
そこにあるものとして。




