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白の王女、愛される  作者: 三日月
再会
3/3

白の王女、威嚇する

つい先程まで、心地よく静まり返っていた庭園は見る影もなく、騒がしい貴婦人達の茶会の場へと変化していた。


「お元気そうで何よりですわ、セレスティアさん。それに、少し見ない内に、こんなに立派にマナーを完璧になされて…‥。さすが、王家直系の血を引く者ですわね」

にこやかな笑顔でわたしに告げるのは、緑髪に桃色の瞳のお淑やかで気品ある第二側妃、エルメイル・アスカパルド。

風属性の魔力を所持する、勉学に優れた侯爵家のご令嬢で別名、緑妃様と呼ばれている。


「セレスティアさんの優秀さなら、あたくしも耳にしたわ。たった一週間でマナーやダンスをマスターして見せたそうね」

こちらは高飛車そうなことが一目で伝わる、赤毛に緋色の瞳の堂々とした第一側妃、リリアーナ・ダグラス。

火属性の使い手で国の一角を背負う公爵家の令嬢。別名、赤妃様。


「しかも、先生はあの手厳しいレイラでしょう?! 彼女から一発合格を貰うなんて、セレスティアさん、ホントにすばらしいわ!」

テンションが高い明るさが目立つ彼女は、金髪に紫色の瞳の可愛らしい、と言う言葉が似合う第四側妃、エミリ・サルージャ。

雷属性の魔力を持つ伯爵家のご令嬢。別名、黄妃様。


「聞けば、レイラが教える前に、完璧にやり遂げてしまわれたそうですね。その他の手習いも同様。もしや、教わる前に自己で予習でもしていたのでしょうか?」

冷たい印象を受ける鉄仮面の女性、青髪に同色の瞳の無表情な第五側妃、ソフィ・ルーマニア

水属性の魔力を操る氷使いで、元は侯爵家のご令嬢である彼女の別名は、青妃様。


「独学とは興味深い。ぜひとも、今後の参考の為にも、詳しくお聞かせ願えないだろうか?」

凛とした佇まいが美しい、茶髪に翡翠の瞳の微笑を浮かべた女性は第三側妃、シーラ・デルモンティーユ。

土属性の使い手で、子爵家令嬢で元は王城仕えのメイド。別名、茶妃様。


わたしの視界の先で、実子の王子達を横に配置しながら、距離を置き円を囲む様な形で座る、五人の側妃達は各々、自分の本心を悟られない様に取り繕いながら、和やかなお茶会を装う。


王の側妃に選ばれるだけあり、それぞれの魔力量やそれらを操る技術は一級品。他は各自、特出すべき才能に芽でており、容姿もとても優れている。年齢は二十代だ。


相変わらず、彼女達が揃うと空気が重い。

挨拶以降、無言を貫く王子達は、三年前以上に機械的で死んだ目をしていた。

これは不味い。セレスティアの我が儘がなかった分、大人達の躾が強くなっているのかもしれない。

地位に目が眩んだ大人とは、本当に恐ろしいな。


「ご心配をお掛けしてしまい、誠に申し訳度座いませんでした。それから、他のお方達がどうなのかは知りませんが、独学も何も、わたしは教本を一度読めば、あの程度のマナーやダンス、簡単にこなせました。次に王への面会の機会を頂ければ、剣術などの護身の術を学ばせて頂こうと思います。自身の身は自身で守るべきだと思っていますし、時間は限りあるものなので、無駄にするのは勿体ないと思われましたので」


無感情で無機質に、遠回しにもう引き籠もらないことを示せば、彼女達の和やかな空気は僅かに揺らぐ。けれど、さすが側妃をしているだけあり、目に見える姿に変化はなかった。


「剣術なんて、王女がやるものではないわ。リードして下さるお相手に任せては如何かしら?」


赤妃様はここぞとばかりに勧めてくる。

他が微かに怯んだところを見ると、どうやら、赤妃の王子は剣術に優れているようだ。


「身を守る術は、剣術だけじゃないわぁ。魔法に優れた男性にお任せすべきよ!」


魔法で対抗して来た黄妃。

言わずもなが、魔法に愛でた王子、か。


「男性に武力の強さを求めるのは古いです。護身など護衛を傍に置けばよろしいでしょう。今の殿方に何よりも必要なのは知恵である、とわたしは心得ています」


青妃は知識を押し出して来る。

国を運営するにおいての知恵に愛でている。


「強さや知識だけでは、人は付いてきませんわ。時には、芸術的な発想で人々を引き付ける才能が必要なんですのよ」


芸術押しの緑妃。

手先が器用な王子と見て良いだろう。


「人を何よりも引き付けることに必要なものは、社交性であろう。周囲と良好な関係を築き、敵を作らない様、勤めることも重要であるからな」


茶妃は周囲からの評価で来た様だ。

性格が良いのか? いや、人を騙すのが巧いと見るべきか。


結局、全員揃って早速、自分の王子を薦めて来た。

隣に座らされて、まさしく空気な王子達は、無反応である。


少しは反応をしてくれ! 五人とも、あんまり見た目が良いから、本物の人形に見えて不気味だから!


「どれも素敵なご意見ですね。きっと、側妃様方がお挙げに成られていらっしゃる方々は、どなたも素晴らしいお方なのでしょう。わたしはまだどの様な殿方に、生涯を添い遂げて頂ければ良いのか、良く分かって居りません。王はわたしの一存に任せる、と仰って下さいましたが、国の未来の為にも、貴族や民達の主張も踏まえ、学園卒業までには決断せねば成らない、と思って居ります」


わたしのとぼけた上での言葉に、不満があるであろう彼女達は、各々が反応した様だった。


「とりあえず、候補者一人ひとりを自身の目で平等に見極めることから、わたしは始めたいと思って居ります。なので、早速なのですがこれから、わたしは彼等と子どもだけの時間を過ごしたい、と思って居ります。構わないでしょうか、側妃様方?」


上目遣いに申し出れば、この誰もが予想はしていたのだろう、大して空気の変化はない。

だって、これは三年前から変わらない順序だ。


わたしが彼女達とのお茶会を受け入れる場合、わたしは礼儀程の会話の後、彼等五人とお話ししたい、と側妃達だけを残して席を外す。


それは、わたしが側妃達を嫌っている証であり、隠したつもりは一度もないので、側妃達もとっくに気が付いている。

もしかしたら、最初は少しでも手懐けようと思っていたのかもしれない。が、わたしが出会った瞬間から、直感的に彼女達を嫌ったことで、せめて王子達だけでも仲良くさせよう、と言うのが彼女達の判断の様だった。


と言う訳で、この問の答えは決まって各々、外面笑顔での肯定であった。


とりあえず、側妃達との茶会から解放される上、五人を大人から引き離すことには成功したが、未だ無反応な彼等を見る限り、ここからが勝負だ。


わたしは側妃達へ挨拶を済まし、王子達を誘導しながら、ここからどうするかを真剣に悩み始めた。

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