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『協栄魔法』
かつて、世界を救った栄光の魔道師、ガルドルフ・ミルドレッドが用いた特殊魔法。超越魔法に分類する神が使用したといわれていた古代の神々の魔法のひとつである。その魔法を使うものは、世界を制するとまで言われている。
彼は、ひとりで世界を救ったのではなかった。彼には仲間がいた。三万の戦友、三万の魔法を使用し、世界を救ったのだ。
彼は言った。「我は一人ではない、共に闘う友がいる」
この彼の言葉から、「ウイッチズ×カマード」は生まれた。
カマードとは、戦友という意味を持つ言葉だ。
その本来の意味が、いま現実のものとなろうとしていた。
ロゼッタ・ミルドレッド、雨竜宗佑。ふたりの『ウイッチズ』と、オズワルト、スニッカスニー、ラムザ、グウィン、ペンドラゴン。彼ら『カマード(戦友)』
雷が鳴り、麒麟は本来の姿に戻っていた。
白い身体からスラリと生える四本の脚。奇妙な形の角が、一本生えている。身体からは溢れんばかりの魔力が電気と大気に入り混じって、麒麟を取り巻いている。
「行くぞ」
ロゼッタと雨竜を乗せ、麒麟は飛翔する。飛翔したあとに、雷鳴が響き渡る。黒い空を稲妻が走る。
スニッカスニーが、ロゼッタの事を思いながら、特殊魔法を発動する
黒い球体の一点がどす黒く淀む。
「あそこだ!」
続いて、ラムザが、ロゼッタのことを思い、術を発動する。
「!」
瞬間、黒い玉はうねり、ある一点がどす黒く、
麒麟の全魔力が、一点に集約し、大気が渦を巻く。
「すごい、魔力。これが四獣の力……」
「でも、だめだ」
雨竜は歯噛みする。
「オズ!」
「分かってる!」
ルイズ・オズワルトの特殊魔法中最高ランクの術が、今、発動される。
「ペインテイング」
魔法特性を自在に変化させる、究極の魔法である。
雨竜たちを助けたのは、オズワルトの魔法であった。
麒麟の身体が、みるみる白く淡い光を放つ。
「すごい、光属性になった……」
空を見上げるスニッカスニーは声を漏らす。
「行ける!」
「いっけえええええええええええ」
一閃、麒麟が球体の中央を貫いた。
途端に、天が晴れた。
雨竜は振り返る。しかし、そこに麒麟のすがたは無かった。
「言えなかった、な」
これから、また、誰かが代わりに言ってくれるだろう。そのときまで、とっておこう。
「先生……」
「やはり、君は素晴らしい才能をもった生徒だったのですね、僕はうれしい」
「ロゼッタの呪いを解ける僕を殺せばよかったのでは」
「何故、愛する生徒を殺さねばならないのですか?」
残念そうにアンデルセンは首を振り、再び雨竜を眺める。
「私が、黒魔術師だからでしょう? 敗者の歴史はいつの時代も勝者が書き換えてしまう」
「どうして、先生は……」
「ここまでのようです。雨竜君。立派になってくれて、本当に先生は嬉しいですよ。いずれまた、お会いしましょう」
アンデルセンの心臓に、深々と刃渡りの短い刃が生えていた。
刃を持つのは、学長のオズワルトであった。
アンデルセンの身体が光に包まれ、天に光の粉となって消えて行った。
ウイッチズ×カマード終了――――――




