白騎士
遊星が鉄壁の魔人に切られて借家で休養中
助け出した冒険者の女性2人は、まだ魔人
の手が伸びていない次の都市に神楽が転移して
送り届けた。
武器屋の家族は、今は別人として小物屋を暮ら
していける程度の稼ぎで目立たぬようやっている。
王妃、王女、王子はスイレンのスキルで変化
させて郊外で暮らしている。
ー今後の活動についてー
森人であるホテルの主人が加わって遊星と妻達と
打ち合わせた。
どこまで魔人の力がどこにどの程度及んでいるか
をしらべるのがミッションである。
・武器屋の件で王都の警察である警備隊は魔人の
手に落ちていると考えられる。
・教会と聖騎士隊は分からない。
・冒険者ギルドは怪しい。
・商業ギルドは恐らく悪徳商人に傾いている。
・娼館は既に魔人の手にある。
・暗殺ギルドは魔人や悪徳商人に依頼を受けて
動いている。
・あとは酒場での情報収集。
魔人の手が及んでいるか分からないものは状況
を調査する。すでに手に落ちているところは、
次に何をしようとしているのかを調べる。
遊星は休養する事にして、妻達で分担する事に
なった。
ー冒険者ギルドー
セレナは姿を消し、気配も消して冒険者ギルドに
侵入した。
冒険者達は純粋な冒険者たちのようだ、
受付嬢も特に怪しそうな人間はいない。
ここの2階はカフェになっている様である。
にぎわっている。後ろで魔人の侵略が進んでいる
事はここでは感じられない。
セレナはギルド長がいるだろう部屋を探し当て、
中に転移した。
中にはギルド長がギルド長の席に座っていた。
その前の面談用ソファーに1人の魔人が座って
いる。
「鉄壁の魔人様宛に来る予定の若い冒険者の女が
誰かに奪われてしまった」
「ここに変わりの女はいないのか?」
ギルド長が
「既に侵略された王国からくる冒険者には
魔人様に献上できそうな女はいるわけ
ないです。いたら来る前に確保されるで
しょうから」
「逆方向から来る冒険者の中にいるかどう
かだが、今のところはいない」
「受付嬢はだめですよ、受付嬢を献上した
ら、冒険者がいつかないですから」
魔人が
「しょうがない。別なところから調達しよう」
セレナは冒険者ギルドから借家に戻った。
ー居酒屋ー
スイレンは男冒険者に変身して酒場のカウンター
で酒を飲みながら周りの声を拾っている。
「最近、真夜中に若い女性が住む家に族が入って誘拐
される事件が度々発生しているらしい」
「暫くして、誘拐された女性が娼館で働いているとの
噂を耳にしたことがある」
「誘拐して、遊ぶだけ遊んだ後、娼館に売り飛ばして
いるのではないかな」
「最近は警備隊が庶民の味方ではないから、悪人の
やりたい放題になってきている」
「北の王国から最近こちらに来た冒険者は、北の
王国は更にひどい状態だと話していた」
スイレンは暫く飲んだ後、借家に戻った。
ー聖騎士隊ー
ノアは聖騎士隊のいる教会の敷地内の兵舎に
忍び込んだ。
本来なら、協会だから聖女テラが適任なのだろう
が、気になる女性の噂を聞いてノアがテラを制して
赴いた。
聖騎士隊の隊長であり、この王国で最強と言われ、
周りから白騎士と呼ばれる女性騎士がいる。
白騎士が
「最近、王都内で若い女性がさらわれる事件が
起きている。警備隊は動かないので、我々で
民衆が寝静まった頃に巡回する」
「今晩から3日間は、私と隊員の計5人で巡回する、
その後の3日間は副隊長と隊員計5名で巡回する」
ノアは考える
「聖騎士隊は悪に染まっていない。白騎士の実力も
見たいし、今晩は、私と神楽かカレンと来よう」
ノアは、聖騎士隊の兵舎を後にした。
ー暗殺ギルドー
影姫カレンが暗殺ギルドに侵入する。
1階、2階とも丸形のテーブルと周りに椅子が
置かれている。
酒も、食事も出来るらしい。
仕事が受注されると、名簿から受注した仕事を
担当する者が指名されるシステムの様だ。
3人の男がギルド長に呼ばれた。
カレンも3人の男が入ったギルド長の部屋に
入った。
ギルド長は机の後ろの席に座っていた
ギルド長の横に秘書と思われる女性が立っていた。
秘書が男3人のリーダー格の男に依頼書を手渡した。
ギルド長が、
「武器商の依頼である。つい先日、鉄壁の魔人様
に献上予定の女冒険者がさらわれた。その替わり
になる若くて美しい女性を、取り合えず1人で
良いのでさらってきて欲しいとの事だ」
「それで選んだのが、アイテム屋の娘だ、今晩
決行してくれ、絶対傷物にはするな」
カレンは暗殺ギルドを後にした。
ー白騎士ー
深夜に、ノア、カレン、神楽はアイテム屋の3階
建ての店舗兼住居の側のビルで様子を見ていた。
白騎士には部下から噂として、この家が狙われる
らしい事を流していた。
真夜中になり白騎士を含めた聖騎士隊が現れ、
商店の反対側の路地に身を隠した。
暫くして、商店の道路を挟んで対面のビル上に
アサシン達が現れた。
この仕事におけるリーダー格の男が、
「暗殺では無くて誘拐だ。鉄の魔人様への献上品
だから、絶対傷物にはするな、成功すれば報酬
は良いが、失敗すれば殺される。まあ難しい仕事
ではないが」
「居場所は掴んでいる。3階のあの部屋だ。窓から
入っても良いが、傷つける分けにはいかないので、
1階住居入り口から入って、3階のドアを開けて
忍び込む」
アサシン達は、行動を起こした。
流石にプロ集団である。簡単にドアを開けて中に
入って行く。
白騎士たちは、入ったドアから出てくると考え、
ドアの前を5人で取り囲む様に配置した。
白騎士は、
「相手はプロで強い。仮に捕まえて警備隊に渡し
ても釈放されるだけだ。捕まえずに殺してよい」
そして、娘を抱えたアサシン達が現れた。娘を抱え
たアサシンが跳躍して逃げようとするが、白騎士が
短刀を投げてアサシンの足に命中させる。
アサシンは仕方なく道路わきに娘を降ろして、
聖騎士隊に身構える。
他の2人のアサシンも身構える。
白騎士は、アサシンを逃がさないように部下に廻り
を固めさせ、3人の前に立った。
3人のアサシンは白騎士に向かって来た。アサシン
達の短剣は白騎士の盾に吸い込まれるように向かって
行く。
それを白騎士が、一人また一人と切り裂きリーダー
格のアサシンの突き刺して来た短剣が白騎士の盾に
吸い込まれるように向かってくるので、相手の短剣
持ち手を自分の剣の柄で叩き短剣を落とさせた上で
切り捨てた。
白騎士は女性を家の中に戻し、聖騎士の兵舎ではなく
宿舎に戻った。
翌朝、ノアは遊星にその旨を伝えたが、
遊星は、
「白騎士が危ない。アクセサリー屋の娘も恐らく
今晩、再度さらいに来る」
白騎士に、再度聖騎士隊から噂を伝えさせて、
アクセサリー屋に再度来るように手配した。
アサシンだけでなく、魔人も来ると踏んで、
魔人対応にエレナとスイレン、アサシン対応に
カレン、セレナ、ノア、白騎士とアクセラリー
商の娘転送に神楽とテラを充て、ミラとライア
とフウカにバックアップを頼んだ。
ー白騎士と商人の娘救出ー
昨夜同様、深夜にメンバーはアクセサリー商
近くのビルの上で待機。
白騎士と聖騎士隊は昨日と同じメンバーで同じ
路地でも夜中に待機。
昨日と別なアサシン達であったが、昨日と
同様に、アクセサリー商の対面ビル上に少し
遅れて3名が現れた。
アサシン達が、1階の住宅用ドアから忍び込み、
聖騎士たちはドアの前に陣取る。
そして、娘を抱えてアサシン達が出て来た。
ここまでは昨夜と全く一緒である。
白薔薇がアサシン達の前に現れて、アサシンを
逃がさないように白薔薇の後ろを部下達に取り
囲ませた。
アサシン達3人は笑っている。
白薔薇の後ろにいた4人が、後ろで倒された。
白薔薇が後ろを向くと、2人の魔人が武器を
持たず立っている。
アサシン達3人は、魔人見て、
「後は、楽しんで。我々はこの娘を頂いていく」
と走り去る。
それをカレン、セレナ、ノアが追いかける。
白薔薇は、左手に白く円い盾を持ち、右手に白銀の
剣を持ち構える。
魔人2人は剣を持たずに体中にバリアの幕を張って
白騎士に襲い掛かる。剣で来なければ白騎士の盾に
攻撃を集めるスキルは効かない。
剣で魔人を切るが切り裂けない。一人の魔人が白騎士
の両腕を掴んで上に釣り上げる。
もう一人はニヤニヤしながら鎧をはぎ取ってく。
鎧をはぎ取り、下の服を破って行く。下着になった
ところを、一人が両腕を持って、もう一人が足を
持って道路に寝かせる。
魔人が、
「遊ばせてもらうぜ」
白騎士が
「やめろー!」
腕を捕まえている魔人が、にやにやしていたが、
白騎士に跨っている魔人が静かなので、
「おいどうした」
エレナが、跨っていた魔人を蹴り飛ばした。
魔人は背中を刺されて絶命していた。
白騎士の両手を持っていた魔人の背中にも
剣が刺さっており、魔人は剣先が胸から
突き出ているのを見て白騎士の手を放して
膝を道路につけたまま起き上がったが、
剣を抜かれて前に倒れ込んだ。
後ろにはスイレンが立っていた。
白薔薇は神楽が抱き抱えており、前に倒れた
魔人の下にはいなかった。
白薔薇と商人の娘は借家に転移して連れ帰った。
聖騎士たちは魔人に殴られて気絶しているだけ
だったのでヒールを掛けて起き上がらせて、
ノアは聖騎士隊員に
「白騎士と商人の娘は狙われているので場所は
秘密ですが避難させます」
「アクセサリー商も狙われると思うので、
後で迎えに来ると伝えて下さい」
そして一行は借家に転移した。
ノアは、遊星の部屋に白騎士を連れて行き、
現在起こっている事を説明した。
「王宮を陣取っている鉄の魔人はバリアを張って、
物理攻撃も魔法も通じない」
「部下の魔人達は上位の魔人は分からないが、私達
はベヒーモス等の魔物のスキルを共有したパワー
と武器強化魔法である程度は戦える」
「貴方はそのスキルがないので魔人達には歯が立た
ない」
「貴方が、私達と同じように戦える様になるには、
遊星と契りを交わす必要があります。守られる
だけの存在になるのか、戦える様になるのかは
あなた次第です。良く考えて下さい」
白騎士は、遊星を見ていたが、
「私も戦える様になりたいです」
と伝えた。
ノアは白騎士を残して、部屋を出て行った。




