業火の魔王との戦い終結
魔王城の王座の間から、火山の島に転移した遊星と
水の魔王は、
火山の中腹の崖の上に転移した。反対側の崖の上に
は業火の魔王と魔人右と魔人左がいる。
魔人達より上方にある岩場の崖の上には、赤黒く
大きなドラゴンが体を伏せてこちらを眺めている。
遊星達の下方にはサラマンダー5匹が、こちらを眺めて
臨戦態勢でいる。
水の魔王と遊星の後ろには、先に待機していた雷の魔王
と風の魔王が現れる。
業火の魔王の部下である魔人右は雷の魔王に向かって
魔人左は風の魔王に向かって瞬間転移して来た。
水の魔王は逆に反対の崖上にいる業火の魔人の前に
瞬間転移した。
業火の魔王や火の魔人は例の防具を着けている。いかに
魔王といえども剣が通らなければ倒しようがない。
火炎の魔人を倒した毒サソリも、予見されてしまえば
業火の魔王にサソリは焼かれてしまうだろう。
毒サソリは使えない。
業火の魔王は水の魔王に任せて、先ずは魔人右と
魔人左を退治すべきか、
戦闘が始まった。
雷の魔王と魔人右は剣で打ち合う。
力だけなら雷の魔王が上だが、魔人右が身に着けて
いる防具は、並外れたパワーと強化した武器でない
と通らない。
風の魔王と魔人左も剣で打ち合う。
同じく力だけなら風の魔人が上だが、魔人左が身に
着けている防具は、同じように並外れたパワーと
強化した武器でないと通らない。
業火の魔王と水の魔王はにらみ合っている。
相性だけなら、火よりは水だが、
業火の魔王は水を直ぐに蒸発させるだけの火力を
有しており、更に火山の近くで、サラマンダー5匹
が援護できる体制にある。
ーその頃魔王城ではー
セレナ、エレナ、テラ、ノア、スイレン、ライア、フウカ
と仲間の魔人達、魔女達は防具を着用した敵の魔人達の
討伐が完了した後、ノアは幽閉されたノアの母と弟と再会
し、3人は抱き合って再会を喜んだ。
王女や弟派閥の要人魔人や王女配下の魔女達は牢に捕らえ
られていたが、水の魔人や樹木の魔女達に牢から救出され、
ノアの母と弟の元に駆け付けた。
ノアも含め遊星の妻達はすぐさま遊星に合流するために、
そこを後にした。
王城から外に出ると夫々の飛竜に乗って、魔王城の下方
にある島の火山に向けて降りて行った。
ー火山での戦いー
水、雷、風の魔王が戦っている間に、遊星の元に妻達が
合流した。
遊星は溶岩竜の側に移動して状況を見ている。その側に
ミラが現れた。
妻達には雷魔王と風魔王の援護を依頼した。
妻達は、お互いを見て頷いた。
ー魔人右ー
雷魔王の側に来たライアが
「私に戦わせて」
ライアは左手に盾を創り出し、右手には雷をイメージ
したギザリ剣を創り出す。
魔人右がライアを見て、
「なめているのか」
と腕を振り回してから走ってきて剣を振り下ろした。
ライアが盾でしっかり受け止める。
次に、魔人右が、ライアの右手側から剣を打って来た。
それも盾で受け止めた。
魔人右がライアのパワーに驚いた。
「なんだ、この小娘のパワーは」
魔人右が上段から最大パワーで剣を振り下ろして来た。
それをライアは盾で受け止めて相手の胴を切り裂く。
魔人右が自分の胴を見下ろす。腹部より血が垂れる。
魔人右の胴は防具の下まで切られていた。
魔人右は信じられないという顔をしたが、前進して
きてライアの右肩から左胴に向けて剣を振り下す。
それを盾で受ける止めると、ライアは魔人の右側の
下方から上方へ向けて腹を突き刺す。
魔人は後ろにふらつきながら後退する。
魔人右は、ふらつきながらも剣を上方へ構え、
再度前進してくる。ライアは盾で魔人の腹部
を右から左に切り裂く。
魔人右は前方に膝を突き、前に倒れて絶命した。
ー魔人左ー
風魔王の横に来たフウカが
「私に戦わせて」
フウカも左手に盾を創り出し、右手にはブーメランに
持ち手を付けた様な剣を創り出す。
魔人左が小娘を見てなめてきて、ニヤリと笑い
ゆっくりと歩いてきた。右、上、左と剣を振り下ろす。
それをフウカは盾で受け止める。
魔人左が、ライアの左側から打ち込んだタイミングで
剣を盾ではじく。剣が右側に開いたところで、
ライアは心臓めがけて剣を突き刺して抜いた。
心臓を外したか、魔人は生きている。魔人の左胸から
血が出ている。魔人は後ろに下がりながら、それを
信じられないという目で魔人は自分の左胸を見ていたが、
改めて剣を振り上げて向かって来る。
フウカは瞬間移動で魔人の前に来ると、魔人の喉を
切り裂き。魔人の左によける。
魔人は正面に膝をつき、そのまま前に倒れて、
そして絶命した。
残りは、業火の魔王だけとなった。
ー業火の魔王ー
業火の魔王と水の魔王も剣で打ち合うが、暫く
打ち合ってもほぼ互角。業火の魔王は体に炎を
まといながら打ち込んでくる。水の魔王は水を
まとい、それが蒸発する事により体を冷やす。
暫く、その状態が続いていたが、スイレイが
援護の為に側にやってきた。
そしてスイレイが
「私に戦わせ」
業火の魔王が
「お嬢ちゃん、死にに来たのか?ノアの友達
でも容赦しないよ、どいてな」
スイレイが
「魔人右はライアに、魔人左はフウカに殺られ
ました。次は私が貴方を殺す番です」
業火の魔王は
「そうかい。それじゃ俺も遠慮は出来ないな、
水の魔王には悪いが、殺らせてもらう」
業火の魔王が、かなりの速さで剣を左右上斜め下からと
振って来る。スイレイは左手で持った盾で受けるが
パワーでは対応できるが、スピードでは圧される。
スイレイが一旦瞬間移動で離れて
「さすが魔王ね」
スイレイは戦法を変える事にした。俊足と瞬間移動を
使って、魔王の左右前後斜め方向に離れては近づき、
近づいては離れるヒットアンドアウェイ戦法で剣を
打ち込んで行く。
そろそろかと、遊星がミラに合図を送る。ミラは火山の
裾野にある湖に飛竜のスキルで飛んで行き、湖中央の
上空で待機した。
その間に、風の魔人達、水の魔人達も火山島に集合した。
又、本来は止む無く業火の魔王に従っていた火の魔人達が
ノア側について集まってきた。
魔人達は、スイレイと業火の魔王から離れて周りを
ドーナッツ状に取り囲む。
下方を火の魔人と風の魔人が交互にドーナッツ状に取り
囲み、その上空には水の魔人達が同じくドーナッツ状に
取り囲んだ。
遊星は溶岩竜の横にいて、これから起こる事で溶岩竜に
対して申し訳ないという顔で溶岩竜の顔を見上げている。
スイレンのヒットアンドアウェイ戦法に対して癇癪を
起した業火の魔王が業火の魔法を放つ体制に入った。
更に、業火の魔王は下方にいる5匹のサラマンダーに合図
を送り、対面にいるスイレイとその後ろにいる水の魔王に
向けて一斉に業火を放った。
スイレイと水の魔王は瞬間移動で後方によける。
そのタイミングで、ミラが湖から膨大な水を吸い上げて、
その業火に向けて水流を放った。
ミラの高位水魔法である。
そして新たに仲間になった火の魔人達が炎を、風の魔人達が
下方から上方へ風を送ると、ミラが吸い上げて放出してきた
湖の水流に急激な熱が加わり蒸発して上空に舞い上がる。
更に水の魔人達が上昇してくる暖かい蒸気を水で冷やすと、
それが真っ黒な雲になり、豪雨となって業火の魔王や
サラマンダーを含め、全員に降ってきた。
業火の魔王は、ずぶぬれになりながら上空を眺める。
業火の魔王は観念したのか少し笑った。
そこへスイレンが瞬間移動して、業火の魔王の心臓を
突き抜いた。
業火の魔王は崖下に落ちていき絶命した。
遊星達は、最終目的を達成したのであった。
ー帰還ー
業火の魔王を倒した一行は、王都へ帰還した。
王城に着いた一行は魔王、魔女の部下達を待機させ、
遊星と妻達、水の魔王、雷の魔王、風の魔王、樹木の
魔女が作戦本部に入って行った。
作戦本部で、業火の魔王を討伐した事。
幽閉されていたノアの母親と弟を解放した事。
本来友好派であった火の魔人達を全て解放した事
を報告した。
王様は、
「ありがとう。本当にお疲れさまでした」
王妃が、
「明日は、討伐作戦に参加された全員を招いて祝賀会を
夕方に開く予定ですのでお待ちしております」
王女が
「本日はお疲れでしょうから、ホテルでお体をお休め
下さい」
王子が、
「ホテルの食堂にも、お食事やお酒などをご用意して
ありますので、ぜひ楽しんでください」
司令本部隊長が、
「本日は、これで解散とします。明日の祝賀会でまた
お会いしましょう」
ー祝賀会ー
王宮の広場には水・雷・風の魔王や樹木の魔女の部下達
の祝賀会場が設けられており、接待する側には戦士でも
ある王子や貴族の息子たち、聖騎士団、騎士団、親衛部隊
等の幹部たちが出迎えた。
王宮内広間の祝賀会場には、招待客として遊星と妻達、
水・雷・風の魔王、樹木の魔女、それにセレナとエレナ
の両親、水の魔女、変化の魔女、魅惑の魔女も招待され
ていた。
接待する側には王様、王妃、王女、及び公爵夫妻と娘、
侯爵夫妻と娘、子爵夫婦と娘等の貴族達、その他には
大司教、聖女それとカペラが参加していた。
広場の祝賀会は作戦本部長のあいさつで始まり、
王子の乾杯で始まった。
王宮内広間の祝賀会は王様のあいさつで始まったが、
王様から
「乾杯は遊星にお願いしたいが、今回の戦い状況が
分からない貴族達もいるので、乾杯前に今回の戦闘
状況について説明して欲しいがよろしいだろうか」
ー戦闘状況の説明ー
遊星は、まあしょうが無いかと思い
「業火の魔王討伐は、今回参加したメンバー誰が欠けても
達成できませんでした」
「火の魔人達は、業火の魔人に心酔した部下達もいるだろ
うが、仕方なく戦闘に参加している魔人も多いと考えま
した」
「見分け方ですが、業火の魔人が信用している部下には
特別な防具を与え、そうではない部下には特別な防具
は与えていないだろうと考えました。そして防具を
与えられていない魔人はジャッジメントの矢で戦意を
喪失させられるだろうと考えました」
「先ず、王城周辺での戦闘では、赤竜に乗って来た火の
魔人達が射って来る矢を、風の魔人達が風の刃で落とし、
水の魔人達が水球で覆って身動きできないところを、
私の妻達がジャッジメントの矢で戦意を失わせ戦闘から
離脱させ、防具を着けた敵は討伐しました」
「城壁上や王城前の魔人達は、雷の魔人の雷、緑の魔女
達の蔦で身動きできなくして、妻達のジャッジメント
の矢で戦意を失わせ戦闘から離脱させ、防具を着ている
敵は妻達が討伐しました」
「城内の戦いは、ほとんどが防具を着けた魔物達ばかりで
した。緑の魔女達の蔦、水の魔人達の水球で、足止めし
た敵を妻達が討伐しました」
「業火の魔王の王座がある部屋つくと、魔王と側付きの魔人
2人がいて自分と水の魔王が近づくと、転移する魔法陣が
用意されていた様で、全員魔王城下方の火山の島に転移
しました」
「ここには、ミラ、雷の魔王、風の魔王に待機してもらっ
ていました。それは、ここでの決戦になるだろうと予測
していたためです。多くのサラマンダーの戦意を失わさ
せ戦闘から除外したのと、溶岩竜が戦闘に参加しないよ
うにミラに思念を交わしてもらっていました」
「魔王城内組には、魔人達討伐後は幽閉されていたノアの
母と弟の解放、牢屋にいる友好派魔人の要人達を救出
する作戦を指示していました」
「そして火山島での戦闘になりました。水の魔王と業火の
魔王が、魔人一人と雷の魔王、別の魔人一人と風の魔王
とが戦闘になりました」
「魔人右は、雷の魔王と交替したライアが討伐。魔人左は、
風の魔王と交替したフウカが討伐した」
「業火の魔王には、水の魔王と交替したスイレンが戦いま
したがさすがに業火の魔王は強かった。それでもスイレン
がヒットアンドアウェイ戦法で粘り強く戦うと癇癪を
起した業火の魔王が、業火を放ち、同じタイミングで
5匹のサラマンダーが炎を吐いてきました」
「そのタイミングでミラが湖の水を吸い上げて、この炎
に向けて放出した水は蒸気になり、そこに仲間になった
火の魔人の炎と風を送ると上昇気流となり上空に蒸気が
昇る。これを水の魔人達が水で冷やすと、黒雲ができて
豪雨となりました」
「業火の魔人は戦意を失い。スイレンが業火の魔人に
とどめを刺しました」
「以上が、業火の魔王討伐までの流れです」
王様が
「良く分かった、ありがとう。それでは乾杯を
お願いする」
遊星が
「討伐作戦成功おめでとう!乾杯!」
ー祝賀会風景ー
立食スタイルのパーティーが始まった。
和気あいあいと談笑しながら、酒をのみ談笑する。
遊星の側には貴族の娘たちが集まり、
「遊星と結婚すればスキルを得る事が出来るので
しょうか?」
遊星は
「スキルが共有出来る相手は決まっている様で
誰でも良いわけではありません。残念ながら
運命の女性達は特別なスキルを保有している
様で、この中には妻以外はいない様です」
女性達は
「そうですか、残念ですが状況が替わったら
お願いしますと言って離れて行った」
その後女性達の関心は、業火の魔人と配下の2人の
魔人を倒したスイレン、ライア、フウカの3人に
向かったようだ。
女性達から解放された遊星は一人でいるミラの元に
行く。
遊星は
「本当は、今回の戦闘での最大の功労者はミラなん
だけどね」
ミラは
「私は、殆ど戦っていないですけど」
遊星は
「溶岩竜が業火の魔王についたら我々は全滅だった。
彼を戦闘に参加しなかったのが第一の功労。
サラマンダーの炎は強すぎても弱すぎてもあの雨
の量は再現できなかった。5匹だけ臨戦態勢に
したのが第二の功労」
「そして、湖からあれだけの量を吸い上げて水流と
して放つことが出来たのはミラだけであり、それ
を実施したのが第三の功労」
そこへ、王様、王妃、王女が近づいてきた。
彼らは、魔王達の接待が済んだようだ。
王が
「そうですか、ミラさんが最大の功労者だったん
ですね」
遊星は
「そうなんです。ミラを慰労してください」
遊星は魔女達で集まっていた中の水の魔女を呼んで
「ミラの母親の水の魔女です。ミラは水の魔女の
娘で、彼女は水魔法の天才です」
水の魔女を、王様、王妃、王女とミラの会話に
参加させると、遊星は他方を見渡す。
スイレン、ライア、フウカは引き続き貴族の
娘たちと談笑している。
水・雷・風の魔王と樹木の魔女達は、公爵・侯爵・
子爵夫婦と談笑している。
セレナ、エレナは両親と、父親の治療を担当していた
聖女たちと、そこにテラと妹の新聖女が加わって
談笑している。
遊星はノアが一人でいるのを確認して、ノアに近づいて
行く。ノアの母親と弟は参加していない。彼らとしては
被害者であっても、加害者である火の魔人一族であり
参加できるわけはない。
遊星が、
「今回のもう一人の功労者はノアなんだけどね」
ノアが
「どうして?」
遊星は
「スイレン、ライア、フウカを牢から救出しなかった
ら、水・雷・風の魔王は仲間になっていなかったし、
そうなったらこの王国は崩壊していただろうから」
ノアは
「母と弟を助けたかったから」
遊星はノアを抱き寄せて
「無事救出出来て良かった」
入り口の方を見ると入り口の近くにカペラがいた。
遊星は、ノアを王のそばに連れていき、ノアも功労者で
ある事を説明し、ミラ達との会話に参加させた。
遊星は、セレナ、エレナ、テラの中から、セレナを
呼んでカペラを連れて広場に出て行った。広場の祝賀
会場を通過する時に魔人達にハイタッチを求められて
きたのでハイタッチをしながら、仲間の魔物達がいる
場所の方へ向かっていった。
暫く歩き、飛竜達がいるところを抜けて、その先の
3頭の一角獣がいるところに着いた。遊星は若い
一角獣の側に行って、
遊星が言う
「この一角獣は今はセレナの友達だけど、自分も妻も
この国を離れる事が多くなると思う」
「この一角獣は若くて血気盛ん。奥さんを見つけても
上げたい。エレナの代わりに親衛隊隊長となった
カペラなら、魔人との闘いが無くなった今、これから
倒すべき相手は人間に害なす魔物であり、森に行く
機会も多くなると思われる」
「カペラが、この一角獣の面倒を見て欲しい。カペラには
いろいろお世話になった感謝の気持ちもある」
遊星は、一角獣の額に右手、カペラの額に左手を当てて
思念を流し込んで一角獣のスキルをカペラに共有した。
遊星、セレナ、カペラは祝賀会会場に戻った。
暫くして、祝賀会はお開きとなった。




