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私が娘を観察していたら、娘も世界を観察していた 〜ミュージカルは家で、善玉菌ごっこは放デイで〜

娘は宿題の音読をしながら、足でリズムを取る。


計算カードは即興ソングにして、ミュージカルのようになる。


娘がそうしだした頃は、「ふざけているのかな?」と思ってしまった。


けれど、もしかしたら、ただ読む、ただ計算することが、娘にとってはつまらな過ぎるのかもしれない。


それを娘は、つまらなかったら自分で面白くすればいいと考えたのではないだろうか。


それとも、考えたわけではなく、自然とそうなったのかもしれない。


もしそうなら、このクセは、娘を生きやすくしてくれるのかもしれない。


何もない時間、娘は自分自身を楽器や実験道具にして暇つぶしをすることがある。


ボイスパーカッションのように、口でいろいろな音を出す。


指を鳴らす。


自分の身体で、どんな音が出せるのかを探しているのだと思う。


自分の身体を観察もする。


少し前、自分の足の血管を見て、こう言った。


「青い方は古い血。行き止まりまで行って、帰ってきているから、酸素が少なくなっているから青いの。」


見て、考えて、自分でたどり着いた答え。


娘は、不思議に思ったらまず仮説を立て、確かめようとする。


さすがに血管の仕組みを自分で確かめることはできなかったけれど、本を読んで調べていた。


けれど、自分の身体で確かめられそうなことは、全部確かめたいのだと思う。


先週、放デイで、娘はまた独特な遊びを始めたらしい。


ボールを善玉菌と呼び、人に注入する遊び。「善玉菌ごっこ」というそうだ。


そんな不思議な娘ワールドが、当たり前のように存在できる場所があることは、本当にありがたい。


放デイだけではない。


支援学級でも、娘ワールドは受け入れられている。


私は、それでも心配してしまう。


同じようなことをしても、通常学級やバレエ教室では受け入れられないのではないか。


音読中に勝手にリズムを取り始めたり、計算を歌い始めたりしたら、「ふざけている」「集中していない」と思われるかもしれない。


そんな不安が大きくなる出来事があった。


今週のバレエの帰り、クラスのみんなでクレープ屋さんに行った。


そこで、みんながクレープを頼む中、娘は一人だけエッグトーストを頼んだ。


その後に寄った100均では「お揃いを買おう」という流れになり、みんなはスライムを選んでいた。


娘は「スライムは嫌い」と言って、新体操のリボンを選んだ。


それを見て、やっぱり娘は女の子の集団で孤立してしまうのではないだろうかと、私は心配になった。


起こってもいない未来を想像して、不安になる私の悪い癖だ。


けれど、娘はエッグトーストを美味しそうに食べた。


そのリボンで、毎晩全力で踊っている。


それで、いいのではないか。


娘は、どこでも同じように自分の世界を広げているわけではない。


放デイを、「ここでなら善玉菌ごっこをしても大丈夫」と判断したからこそ、思い切り遊べた。


受け入れてもらえないと感じる場所では、そもそも善玉菌ごっこはしないのだろう。


娘は、自分を出せる場所と、そうではない場所を、しっかり見ている。


足の血管を見て仕組みを考えたように、娘は目に入るものの仕組みを考えずにはいられない。


それは、人との関わり方も同じなのかもしれない。


「ここでは、どこまで自分を出していいのだろう。」


そうやって、娘なりに観察して、確かめているのではないだろうか。


娘は「私は忘れやすい」とよく言う。


だから、不思議に思ったことは、その場で確かめる。


自分の特性を理解し、自分に合う方法で、世界と付き合っている。


私は、先回りして心配してしまう。


けれど娘は、私が思っている以上に、自分で世界を観察し、自分に合う距離を測りながら生きているのかもしれない。


そして、自分を出せる場所では思い切り自分らしく、そうでなければそれなりに…


私が娘を観察していたら、娘も、世界を観察していた。



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