85回復
寝かされたから寝たけれど、起きたらイザーク様は朝方直ぐに帰ったらしい。薄情と言うべきか、お礼を言うつもりだったのに帰られてしまった。今度来た時にお礼を言えばいいんだろうけれど…お礼を言ったら見返り何請求されるんだろう。それが1番怖い。口説き落とす宣言だから結婚しろはないだろうし、 1晩看病したから結婚しろはかなりの横暴だ。それなら普通にお礼を言って終わりになるはず。うん。変に勘ぐったりしなければ良いんだし。
「ミカエラ様すっかり回復して良かったです。」
「急に体調崩してごめん。」
「適宜休んでくださいね。私も気をつけます。」
朝食も消化の良いものばかりで食べ応えは全くないけれど美味しいし、これで十分な量だったのでよほど自分の体力は落ちていたようだ。いや吐いたからお腹の中は空っぽだし、温かいスープが胃に染み渡るほどに美味しい。
「朝食食べたらお風呂を用意していますので汗を流してしまいましょう。その間にベッドのシーツの交換とか洗濯をしておきます。」
「あ、うん。」
熱めではなくぬるめのお湯が張られた湯船に浸かり、シャワーを浴びれなかった分身体を磨いてくれる。心地よくてアリアの手で汗を流してもらった。1人でしていたのにそれが仕事だからと言われて髪や身体をお風呂で磨かれることには慣れてきた。少し離れると1人になる。お湯の温度がとても気持ちよくて少し長湯をしていよう。怒られることもないだろうし、お風呂は心地いい。大きめのお風呂とお湯をはれる魔道具付きで水が湧いてくる魔道具もつけてくれたヘラルド様には感謝ばかりだよ。
お風呂上がりに髪を乾かしてもらう。
「ミカエラ様、シーツの交換もしてくださっていたのですね。体調不良ならそこまで無理してしなくていいですよ??」
「…あ、うん。汗とかで気持ち悪かったから。」
おっと???イザーク様がいたのは知っているのに…なんで真夜中に水の用意やシーツの交換をしてくれていたことは知らないの????頭の中に色々過ったけれど、それを口にするのは余計な誤解を招くに違いないし、口を開いたら思う壺な気がするから別途お礼と文句を言うべきだ。
今日は仕事禁止。家の中でごろごろするか、ベッドで寝るかの二択しかないようで、読書をしてゴロゴロを選ぶ。恋愛小説やロマンス小説、物語といったモノたちではあるけれど、それを読んで仕事の肥やしにできればいいだろう。疲れたらそのまま長椅子に横になって眠ればいいし。と、軽い気持ちで読書をして過ごすことをする。
「イザーク様、何故いらしたのでしょうか。」
「お見舞いですが。元気そうですね。」
「…アリア、ギルドに依頼が溜まっていないか確認をお願いしてもいい?」
「わかりました。」
お使いに出してお見舞いにもらった果物は保管用の地下室に片付けてご迷惑をおかけしました。と、頭を下げる。
「大丈夫ですか?」
「おかげさまで回復いたしました。ただ、真夜中にアリアに言わずに起きていたとは思いませんでした。」
「アリアより物音に敏感ですからね。」
「…そうですね。ご迷惑をおかけしたのは私なので、お礼というかお詫びをすべきだと思っていまして。何がいいですか?」
「…ミカエラから口付けをしてくださいますか?」
・・・さて。文字通り受け取るべきなら口付けと言うのは彼が望むあれは唇なのだろうけれど、悩む。どうしたものか。見上げるとそう言うことで悩んでいるのもお見通しのような顔をしている。すんと無表情に近いけれど、内心面白がっているに違いない。
「ミカエラ?」
「////わ、わかりました!!!!」
手をとり、指先に軽く唇を寄せる。手袋しているし、唇と指定も受けていない。それなら指先の手袋で問題ないだろう。
そう思って見上げるととても残念そうな雰囲気だけ出していたが文句が出てくるわけでもなく不満げに見つめられていた。罪悪感が多少なりともあるけれど、私だって身の安全を優先したい。
「自分で必要分回収します。」
無理矢理口づけをされた。すぐに離されたけれど、結局唇を奪われてしまった。
「ミカエラ様、依頼がありましたよー」
危なかった!!!!!!長椅子にあるクッションに飛びこんで顔を埋める。
「ミカエラ様?まだ体調悪いですか???」
「・・・顔が熱いだけだから。アリア、イザーク様から果物の手土産をいただいているから保存をお願いね。」
「わかりました。依頼は工房のいつもの場所に置いておきますので全快になってから仕事を始めてくださいね」
イザークは帰ります。と、すぐに帰ったのだけれどもまさかあれだけのために来たのでは????そう思いながらクッションに顔を埋める。
「ミカエラ様???」
「ううっ…小っ恥ずかしい…」
「まぁ、殿方の前で嘔吐は恥ずかしいですよね。大丈夫ですよ!」
違うそうじゃない…アリアが頭を撫でてくれていたが違うそうじゃないと言うに言えないのでミカエラは頭撫でろ。と、抱きついて顔を埋めてしばらく頭を撫でてもらって慰めてもらっていた。




