2.京での活動準備
「へ、へへっ」
「え?」
いきなり和音は笑い始めた。おそらく、気が動転して、シラフじゃ無くなった。しかも顔が死んでる。
「バカバカしくて笑えてくるぜ。お、おい!真面目に一回で答えろよ。ここどこ?」
「京の桜田屋と言う宿だよ。」
「え?京の桜田屋?宿?俺たち、刀真の家で過ごしてたよな?」
「うん。」
「うんじゃねえよ!なんで京都にいるんだよ!しかも、なんか刀真の家で何してたか記憶がねえ。」
「思い出せ和音。俺たちはゲームしてたんだ。いつものアレをな。エロいやつじゃないぞ…!そしたら、光が部屋を包み込んで・・」
「そうだ!いきなり見たこともねえ光が部屋を!それで、なんか京都にいたと言いたいのか!?」
事実はそうだ。思ったより理解が早いが、実はそんな単純なものじゃない。受け入れられるか不安になるとこだ。
「そこまでは、いいんだけど、この今いる時代は、幕末時代らしい。」
「え?ば、ばくまつ?バクマツ?幕末?」
「ああ、江戸末期の幕末時代に。
突然のことだけど、受け入れてくれ。もちろん俺もわけわからなかったけど、俺が起きた時には、武蔵川さんって言う純幕末人の侍も寝てた。」
「さ、侍が!?マジかよ。理解完了だ!。要は、幕末にタイムスリップした人物だ俺ら。ははっは〜すげえじゃん!」
「おお、そうか!理解してく…」
てっ!おい!こいつマジで言ってんのか?話して数分で理解しやがった。呑気にも程がある。まぁ、普段の性格はさっぱりしてるからな。
「早いなっ!おい!まぁ、早くて助かったよ。」
「それは、そうとこれどうやってもどんの?あ、でもせっかく幕末きたんだから刀を腰に差して、街歩きてえな。」
呑気なやつだ全く。言われてみると、この時代の人間は武士が多い。護身用にもいいかも。それに何より俺も和音も刀が好きだ。
「刀真殿、調達してきたぞよ。」
和音と話していると、武蔵川さんが戻ってきた。おそらく着物を調達してきてくれたようだ。
「武蔵川さんおかえり。」
すると、武蔵川さんも和音が起きたことに気づいたようだ。
「お、お主目が覚めたんだな。君は、この刀真殿と宿の前で倒れておったぞ。なんで倒れとったんか、よくわからんがな。」
「あ、ああ。どうやらそうらしいな。そして、不思議なことに俺たちはこの時代に来たらしい。」
「お主達もか…。」
「え?俺たちも?」
お主達もとは?俺たち以外にも?どういうことなんだ。
「あ、いや、なんでもないわ。それより、わしの名前は武蔵川剣ニと言う。さて、お主は和音殿やな?。話は聞いておる。」
「お、おう。よろしく、おっさん。」
思ったより展開が早く進んだ。それより、調達してきてもらった服受け取らないと。
「武蔵川さん、その着物いいですか?」
「お、?おうよ。ほれっ。」
2人分の着物を受け取った。受け取ったは、いいが着方がよくわからんな….
「これどうやって着るの?」
「俺もわかんねーわ。こうして、こうかっ?」
「全く違うぞよ。わしがやってやる、待っておれ」
そして、無事着物を着こなすことができた。我ながら結構似合っているものだ。グフフ。
「うひょぉー、かっけぇ!ねぇ、こうなったら刀要るぜ。刀は?侍って言えば刀だろ!」
和音が喜びながら言った。俺も実は、刀が気になっていたところだが。
「ふむ….。刀か。拙者たちにはこれから、俺の行きつけの武器屋に行ってもらうつもりだった。」
やはりこの歳の侍ともなればしっかりしてる。用意が良い。それは、そうと俺たちお金持ってないぞ・・・・
しかも時代が時代だから金の姿もだいぶ今と違うはず。
「え、武蔵川さん。刀は欲しいんだけど俺たちお金無いんだよ。それに高いんじゃ無い?」
「金?そんなもの気にするでない。
初対面ではあるが、ふしぎなお前らのこれからの生き様を見ていたくなった。
お前ら、帰るとこも無いんちゃうんか?
やから、お前らの面倒をみることにした。」
ほぉほぉ。
って、
えええ!アホかこの人!アホなの!人がよすぎる….!
出会ってからまだ少しの、素性もわからない俺たちにここまで言ってくれるのか….
昔はこんな人も大勢居たもんなのかな。
「おっさん正気か?そりゃありがたいよ。それに、この状況の理解早すぎやしねーか?」
和音はそう言った。だけど、お前が言うな….
お前も俺よりはるかに理解が早かったじゃん….
「ふっ、つべこべ言わず任せておけ。話は、この辺にしてはよ武器屋へ行くぞよ。」
と、言っているが、頼って良いのだろうかという思いはあったが、正直平成に戻る方法わからないし、この人に頼るしか無いのが現状だ。
そして、外へ出てみると桜田屋は想像以上に大きな宿であった。この時代では、高級ホテルみたいなもんだろう。
「わぁ〜でっけぇ!すごい宿だな。おっさん、ここに良く泊まってんの?」
「いいや、ここに住み込みだ。宿を家の代わりとしてもろとるんや。」
「え?そうなの?すごいな!高くないのここ?」
「ここの、宿主に許可をもろとるんや。」
「え?そうなの?なんで?」
「ま、それは後々言う。んなことより、行こうや。」
「う、うん。」
武器屋へ向かうことにした。
武器屋へ向かう途中歩いていると、侍が仰山いる。まるで侍の人混みだ。いや、そのままだ。
この、通りは侍の集いなのかもしれない。
「よし、ここだ、着いたぞよ。お主らは、どういう剣を好んでおるのだ?」
「え?あ、俺は大太刀だよ。すっごく長いやつ!それがどうしたの?」
「ふむ。そうか。和音くんはどうなんだね。」
「お、俺は妖刀だ。めっちゃかっけえやつ!」
「ふむ。そうか、わかった。では店へ入るぞ。」
「いらっしゃい!お、武蔵川さんじゃないのぉ。また、研ぎかい?」
店へ入るとすぐに店の規模がわかる。ものすごい品揃えだ。壁一面、刀だらけだ。物欲が強い僕にとってかなり興奮する。
全部欲しいくらいだ….
「おう、いや今日はこの2人の武器探しにな。
大太刀と妖刀あるか?ポンコツじゃなくていいやつ探しとる。お前さんのとこは良い剣が多い。それに品揃えがええからここを選んだんやが。」
「おお、そうでっか。大太刀と妖刀ね〜。そのお二人、武蔵川さんの新しいお仲間で?」
「あぁ、いやいや知人だ。」
「そうでっかぁ、わかりあした。ちょっとお待ち頂けます?」
「おう。なるべく早く頼むぞ、いい品おな。」
そういい、店主を待つことにした。
大太刀ってこの時代なかなか無いはずだが。それに、だいぶ重いはずだけど俺に使いこなせるのかな。
しかも、実は刀は大好きだが剣術はあまり得意ではない。
「武蔵川さん、大太刀ってだいぶ重いですよね?それにこの時代だとなかなか無いはずでは?」
「ふふっ。まぁ使いこなすには、少し稽古はひつようだがそれは、わしが稽古つけてやろう。もちろん、和音殿もな。
この店は他の店に無いものも揃えてある。やから行きつけのここ選んだんや。」
「ほぉ、行きつけね〜。てか、おっさん道場でも開いてんの?」
「まぁ、道場と言うわけではないがな。後々話す。」
「武蔵川さん、これでいいかね?
この長いやつの名は和桜光刀丸っていう大太刀ですわ。大太刀の中でも、扱いやすく切れ味抜群でっせ。ちなみに、全長190cmでかなり長いですわ。
ほんで、妖刀の方はこれですわ。名は妖刀・斬火石丸と言う。綺麗な刃紋してて、他の刀と違って、先端の尖が他とは違って鋭いやつですわ。」
「ふむ。2人ともどうだ?」
「うわぁ!本当に大太刀あるんだ!かっこいい!長さ的に扱いづらいけど、稽古をつめばいいかもしれないしね。俺はこれ気に入ったよ。」
そして、見た瞬間その刀の姿にびっくりの一言しかない。ちなみに、俺の身長は175cmだが俺の身長よりでかい。だが、俺はこういうのが好きであったため、気に入った理由の一つだ。
そして、和音の刀も長さは1mほどの一般的な刀だが、この店の壁に飾ってあるものより、品質が確実に良い。素人の俺から見ても違いはすごい。
扱いは、大太刀よりは扱いやすいに違いない。
と、思っていると和音も・・・
「おお!写真とかで見るより全然違うじゃん!尖が半端ないわこりゃ。これに決めた!」
「そうか。そりゃ、よかったわ。おし、刀はこれで決まりじゃな。」
そして、このあと細かな道具なども武蔵川さんに、与えてもらいおかげで、身なりは普通の武士となった。
ここから、平成人である俺たちは、改めて武士として過ごすことになる。