12話 決戦地ノルダムの谷へ
「美咲!」「美咲!」「美咲!」美咲隊長が統括する五番隊がそうコールを続けていた。
「えー!ではでは!」美咲がコールに割って入る。
美咲は少し緊張した感じでぷるぷるしながら作戦会議の演説を始める(大丈夫……大丈夫よ、私だってこの手の作戦会議イベントはシュミレーション系のゲームで幾つも経験してきたはずよ……)
「すぅ〜」
「これより勇者さん討伐大作戦を開始します!!」
美咲隊長がそう口開き話し始めると待機室は閑散として静粛に包まれ魔物達は真剣に美咲の話を聞く。
「えー、早い所私はSランク勇者さんのパーティを討伐したい気持ちでいっぱいです!」魔物達が全員拍手をする。
「偵察隊の方とかいます? そりゃいますよね〜いたら手を挙げて下さい!」
……スッ
鳥類と人間が降り混ざったような獣人が手を挙げる
「俊足のガルス偵察隊の任に付いています美咲隊長なにか質問がおありで?」
「うん! 君はガルスくん? よろしくね」
「はい」
「そこで偵察係のガルス君に質問したいんだけど今勇者さん御一行はどこに居ますか?」
「はい、勇者一行は今ノルダムの谷で迷いつつ野良の魔物達と戦闘中そして先程勇者達に発信機を付けてきました」
ガルスが先程偵察してきた情報を新隊長に1字1句丁寧に伝える。
「えー!! ガルス君めちゃくちゃ有能じゃん!」
美咲はガルスの偵察任の優秀さに思わず声を漏らす。
「そして勇者パーティの詳細はこちらになります」
ブォン__▼
ガルスが掌を広げ魔法陣を展開するそれはまるでプロジェクターの様で空中に大きく映写され半透明の魔法陣モニターに勇者達の情報が文字で羅列されていた。
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アルデ☆81 <職業︰勇者> ◆rank(S)
武器ドラゴナイトソード
スキル『煌めきの乱数一閃』
リンリン☆79<職業︰精霊士>◆rank(A)
武器マジックローズケイン極 スキル
スキル『輝たる精霊族の加護』
ルージュ☆76<職業︰魔法使い>◆rank(A)
武器ヘルフレイムステッキ
スキル『煌めく星屑の豪炎』
バロン☆80<職業︰格闘家>◆rank(A)
武器スワローズクローズ
スキル『一撃麻痺拳』
レイミー☆77<職業︰魔法剣士>◆rank(A)
武器ハッピーサモンブック
スキル『召喚詠唱鼓舞』
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容姿の写真とデータがそれぞれ表示された。
(ガヤガヤ…ガヤガヤ)
勇者のレベルの高さとパーティの熟練力のステータスを見て一斉に魔物達が騒ぎ出す。
「すげぇな勇者80レベだってよ……」「フンさすがSランクと言ったところか潰し甲斐があるぜ」「おいサモナーの子可愛くねぇか?俺が倒したら飼っちゃっていいか?ゲヘヘヘ」「麻痺攻撃の格闘家か〜燃えるぜ是非お手合わせ願いたい」「……なるほど私の計算によるメタデータによるとry」
魔物達が三者三様にデータを閲覧して興奮する。
「おーガルスくんめちゃくちゃ凄い情報調達力! じゃん!!ありがとう!!」
「よぉし! 敵は激強の3人で場所はノルダムの谷だね!皆もう出撃するよ!!準備してー!!!」
美咲は先程アルラウネを送り届ける時に見渡した険しくも恐ろしいノルダムの谷へ出発すると考えると何だかワクワクが止まらなくなって早く出撃したくなった。
「え?でも美咲隊長!! 大まかな作戦でも決めてください!困りますよ!」そう副隊長が美咲の楽観的な考えに呼びかける。
「あー! そうだった作戦だよ作戦!! じゃあ私がリーダーのアルデさんと戦うから皆はあとの4人をお願い!」
「はっ!!」魔物一堂威勢のいい声を上げる。
「よぉしワクワクしてきたー! じゃあ仕切り直しね☆」
「では、総員ノルダムの谷へ向けて出撃するよー!!」
「おー!!!!」
美咲達は魔王城めがけ進軍してくる勇者一行の向かうノルダム谷へ進軍する。
次回ノルダムの谷で勇者パーティと決戦!?




