10話 五番隊隊長美咲に敬礼!
「はい! 私魔王様の為にバリバリ働いて頑張っちゃいますよ〜!!」
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そして美咲は魔王の命でアルラウネに連れられ魔王城の五番軍隊待機室へと案内された。
「ミサキここじゃ…これよりお主の部下となる魔界の精兵達がお主を待っている」
とアルラウネは鋼鉄でできた巨大な門の前に美咲を案内した
ここが魔王の配下である魔物達が待機している部屋である。
ジャアラ……
アルラウネが沢山鍵のついたリングを取り出した
「開けるぞミサキ…お前が今日からこの五番隊の隊長じゃ」
ギィィイ……
魔界の重く硬い鉄の門がアルラウネの鍵により今開かれる。
扉の向こうは魔物達で溢れ、殺気立った魔物の熱意と鋭い眼光で空気が蒸れている。
「おー凄い……つよそーな魔物さん達でいっぱいだ……」
美咲はそう小さな声で呟き自分の今後治めるであろう隊魔物の隊員の数を目をクリクリさせて目で1つ2つ数える。20人とその位か……
「えぇ!? この人達全員私のぶかになるの!? アルラウネちゃん!」
と不安げにアルラウネに小声で囁き質問する。
「そうじゃ……行くぞミサキ早うお主が隊長になったという事をこ奴らに伝令せねばならぬ」
グイグイとアルラウネは美咲の腕をつかみ強引に魔物達で溢れる待機室に連れ込んだ。
「えっちょっアルラウネ私! また心の準備がっちょ……」
アルラウネに引っ張られた美咲はまだ緊張しており声が上擦って必死に逃げようとするが身体強化ゲージを10まで戻していたせいか半魔のアルラウネの力に抗えず力負けしてズルズルと涙を流し引っ張られていった。
「うにゅーーー!! アルラウネちゃーん後ごふーん! 後五分だけ待ってよ〜ぴえええん〜」
抗い駄々を捏ねながら本来の人間の身体能力で無駄に体力を使い抗うおバカな美咲。
「くぅ、本当によく分からん娘っ子じゃ…あれだけの力を持ちながらまたクズリやがったのじゃ……ええい!うるさい行くぞ美咲!!」
鬱陶しく抗う美咲にプチンと来たのかアルラウネはミサキをノートPCを脇に持つサラリーマンの様に担ぎ出した。
「いやだよおおおぉお魔物さんおっかないい〜」
「ミサキ…ドラゴンの為、魔王様に使える為にバリバリ働くんじゃ無かったのか?」
熟練の教育係であるアルラウネが美咲の痛い所を突いた為か美咲の崩れて駄々を捏ねていた身体が急にピシーンとして姿勢をただし担がれていた身体を自分で動かし待機室にある朝礼で隊長が挨拶するであろう台に向けて身体能力強化をして空中でクルクル回転した後シュタと颯爽に着地する。
「おおう!おおう!私が君たちの新しい隊長美咲だ!!!」
普段陰キャだった美咲は緊張の余り変なスイッチが入って覚醒してしまう。
――……
神経がピリピリしている待機中の魔物で溢れかえる静寂した室内を美咲が恫喝する。
「よ・ろ・し・く!!!!」
美咲が仁王立ちして手を組み『ドーン』と構える。
……静かだった室内が余所者の美咲の一言で更に閑散として静まり返った。
そうするとその冷めた空気とこれから隊長となる魔物にとってよく分からない少女に血が上り五番隊副隊長の獣人型で容姿がキメラ(蛇と狼と下半身が狼の)『ゼロルド』が怒りの声を上げる。
「あぁん!?こんな嬢ちゃん魔王様の通達とは言え、亡くなった我が尊き隊長ゼノスアリス様の代わりであると!?そう仰られるのですか! アルラウネ様」
五番隊副隊長の不満を受け止める四天王のアルラウネ。
「まあ落ち着けゼロルド・ゲルコマ……不満を言うならこの娘っ子の恐ろしいある力を目にしてからにするのじゃ」
自分推薦の美咲に自信満々なアルラウネはこう返した。
「しかもその娘っ子は我の推薦なのじゃ」
と言葉をさらに添えるアルラウネ。
「くぅ、アルラウネ様の推薦であってもこんな今にも俺そうな身体をした嬢ちゃんなんて納得が行かないぜ一体どういうことなんだ」
困惑するゼロルド。
「許せねぇ!」「こんな娘に任せられるかぁ!」
ゼロルドはアルラウネの推薦であると言う事を知り黙って見ていたがしかし、他の軍隊員が不満の声を叫び美咲目掛けいきなり攻撃を仕掛ける
「!?」ー(身体能力コントロールメーター表示)ー
ブオン――……
美咲は咄嗟に身体能力ゲージを50まで上げる。
そしてさらに腕を交差してオオカミ型の獣人魔物達からの不意の攻撃を防御する。
「ごめんね! 私……」
――……
「……身体能力が高過ぎるんだ!!ええい!」
ボディブローをワンツーと獣人の腹部目掛け確実に決める。
バタバタとワンパンで倒れる獣人。
「なにぃ!?」それに驚くゼロルド副隊長
「んふぅ……言ったろう……美咲はの……」
アルラウネは自信満々にこう続けた
「身体能力が高過ぎて敵はいないのじゃ……」
ニヤリとアルラウネが笑いゼロルドは驚愕と困惑が入り交じったような複雑な顔を浮かべ身体能力最強少女美咲に恐怖する。
手首の調子を気にしながら美咲は凛とした表情で颯爽と立っていた。
……「惚れたぜ……嬢ちゃん……」
ガルドは初恋だった……その戦闘力の高さと身体能力の為かガルドは美咲に恋をしてしまった……。
「えへ☆私身体能力が高すぎるのが個性なんです! 皆さんよろしくお願いいたします!! 私が隊長さんですよ!」
美咲が精一杯の可愛い表情を浮かべ腰に手を当てるポーズとめっ!するポーズで人差し指を立たせる。
『この新しい隊長は絶対最高で最強だァ!!』
と手のひら返しをするゼロルドと新隊長美咲率いる五番隊であった。
美咲の魔界生活はちょっと進んだきがしないでもないと神様がモニター越しで美咲を見てそう思った。
……美咲隊長に続けぇ!!!




