表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
完璧姫様の婚活奮闘記  作者: 長星浪漫
6人目ローランド・テクスチャ
31/41

ローランド・テクスチャその2「その頃王宮そして現場へ」

 シャーロットたちが秘密裏にお見合いに向かってすぐの頃、宮廷薬師のアルヴィスは王宮内を歩いていた。


(おかしいですね)


 アルヴィスは首を捻った。シャーロットに確認しなければならないことが急にできて話をしようと探していたのだが全然見つからない。カリンとクレアに聞こうとしたがその2人もいなかった。

 今度はフリージアに聞こうとフリージアの普段働いている場所に赴いた。


「シャーロット様ですか?そういえば今日は見ていません」


 フリージアも首を傾げる。


「そうですか…」


 居場所がわからずとりあえず自分の仕事場に戻ろうと歩いていると女王であるアンジェリーと出会った。


「アルヴィス、どうかしたの?」

「女王陛下!いえ、シャーロット様に確認したい事があったのですがどうしてか見当たらなくて」

「あぁ…なるほど」


 アンジェリーは今回のお見合いのことを知っていたのでシャーロットの居場所は知っていた。しかしその事は言わない約束だったのでごまかすことにした。


「本日はシャーロットは内密に出掛けているのです」

「え?そうなんですか?いったいどこに…」

「アルヴィス」


 アンジェリーはアルヴィスの肩を掴んだ。


「今日の事は秘密なの、わかるわね?」

「は、はい」

「よろしい、もう戻りなさい」


 それ以上は何も聞くなという強い意思を感じ、それ以上聞かず部屋に戻った。しかし何故か胸の中に妙なモヤモヤを感じていた。部屋に戻ると先程調薬に使う材料を取りに行ったヴィクトリアが戻ってきていた。


「おかえりなさい師匠。頼まれたものを持ってきましたよ」

「ありがとうございます」


 ヴィクトリアからそれを受け取るアルヴィス。その時ヴィクトリアはアルヴィスの様子がいつもと違うことに気づいた。


「師匠、どうかされましたか?」

「何がですか?」

「いつもより明らかに様子がおかしいです」

「なんでもないですよ、ただシャーロット様に確認したいことがあったのですが、見つからなかったんですよ」


 ただ会話の返しをしただけだったのだが、次に返ってきた言葉にアルヴィスは一瞬思考が止まった。


「あぁ、シャーロット様は今日秘密裏にお見合いですからね」

「へぇそうなんですか………は?」


 弟子が何を言っているのかわからない、と言ったようにヴィクトリアの方を見る。嘘をついているようには見えなかった。


「お見合い?」

「そうです」

「なぜ秘密裏に?」

「今回のお見合い相手の要望らしいですよ」


 すべての質問にさらさら答えるヴィクトリア、なぜ秘密裏に会うのか?さっき女王がなんでこの事を言わなかったのか?などと色々疑問が頭をよぎったが何より一番気になったのは…


「なぜあなたがその事を知っているのですか?」


 秘密だったはずだ、実際アルヴィスはその事を全く知らなかった。ヴィクトリアはキョトンとし、さも当然のように答える。


「私がシャーロット様の情報を聞き逃すわけないでしょう?」

「…そうですか」


 色々おかしいことがあるが追求しても無駄なのはわかっているので「後で説教は必要ですね」とか考えているとヴィクトリアはさらに情報を追加していく。


「ちなみに今回のお見合い相手はエルフで名前は“ヴァイン・クリム”です」

「ヴァイン…クリム?」


 その名前を聞いた瞬間、アルヴィスは眉間にシワをよせた。


「ヴィクトリア、その相手はエルフだというのは間違いないですか?」

「え?はい、間違いないですね」

「エルフで…ヴァイン・クリム?……まさか」

「どうしました?」

「行きますよヴィクトリア」

「え?どこへですか?」

「お見合い場所にです」

「はい?どうしたんですか急に」


 いつも冷静なアルヴィスがカリンみたいな事を急に言い出してかなり困惑するヴィクトリア、アルヴィスはどことなく焦っているようだった。


「それにしてもあなたは今回はこっそりついていったりしなかったんですね」

「一応秘密のお見合いですし、カリン様もクレア様もいますし」

「もし私の想像通りの状況ならあの2人でもまずいかもしれません」


 アルヴィスはいつになくテキパキとそして焦りながら高速移動用の馬車を用意した。2人で乗り込みすぐに出発した。馬車の中でヴィクトリアは困った顔をしていた。


「師匠、さすがに場所まではわかってないですよ?」

「大丈夫です。おおかたの場所は把握しています」

「え?なんでそこまでわかっているんですか?」


 当然の疑問だ。アルヴィスは少し考えた。


「もしかしたらそのヴァイン・クリムというエルフは私が知っている人物かもしれません」

「知っている?」

「ちゃんとした確証があるわけではありませんが…」


 アルヴィスは自分が今考えていることを話した。ヴィクトリアはそれを聞いて目を丸くした。


「なんというか、エルフならではですね」

「一緒にはしないでほしいです…でもとにかく危険なことはわかりましたね?では到着までに『精神干渉を抑制できる薬』を作れますか?」

「これですね」

「なんだ、持っているのですね…ん?なんでそんなものを持っているのですか?」

「これはですね、ベリィさんからいただいた本を元に私独自に改良した薬で、元はえげつない毒々しい色だったので服用しやすいように宝石の琥珀をイメージしたカプセルにして…」

「質問に答える気はないのですね、まあ今はそれ以上に大事な事があります」


 今のアルヴィスにとってシャーロットの事が最優先。シャーロットの事で頭もいっぱいだったのでヴィクトリアの作った薬を飲みシャーロットのいる場所に急いだ。




 一方シャーロットへの質問は後ろに控える部下にまで及びつつあった。


「後ろに控えておられるお2人の事も教えてください」

「え?ええ…それは…」


 頭のもやはさらに濃くなったような気がしながらも意識はかろうじて保っているシャーロット。さっき後ろの2人を確認してみたが虚ろな目で虚空を見ていた。


「そちらの桃色の髪をした女性は付き合っている方はいるのでしょうか?」

「い…え、そ…れは…?」


 明らかにおかしいと感じているのに思考が回らない。それでも大切な2人の個人情報は喋ってはいけないという理性はまだ残っている。


「ふ、たりの話…はだめ…です」

「ほぉ、すでに効果はでているはずですが、すごいですねえ、ますます楽しみです。それはそれとして、では本人にお聞きしますね」

「は、はぁ?」


 今はお見合いのはずでは?という疑問もすぐに消えていく、それでもカリンとクレアの方に行こうとするヴァインの服を掴んで止めた。


「だめ…です…」

「これは驚いた」


 ヴァインは完全にカリンとクレアに対する興味はなくしシャーロットだけを見た。シャーロットは何故かはわからないがそれがとても嬉しいことに感じていた。


(なぜ?こんな気持ちに?)

「いやまさか、ここまて抵抗できるとは!噂以上だ!あ、いや、コホン…あなたは私にとって想像以上に愛しい存在だということです」

「ありが…とう…」

「だから…私のものだということを刻みつけておきましょうか」


 ヴァインはシャーロットの顎をクイッとあげ、自らの顔を近づける。だがその間に拳が割り込んできたのでクリムは身を引いた。その拳はカリンのものだった。しかし今だ意識はボーッとしておりすぐに座り込んだ。クリムのテンションがさらに上がった。


「はは!まさかここまで抗われるとは!いやはやたいした連中だ!あの魔王を倒しただけの事はあるな!…絶対に欲しい」


 ヴァインは再びシャーロットの顎を上げる。


「フフフ、さぁ君の唇をもらうよ」


 今度はカリンも動けない。絶体絶命、もう止めるものはいない。


「させるかぁ!!」

「!!」


 カフェの扉が乱暴に開けられ放たれた魔法が容赦なくヴァインを襲った。


「おっと」


 ヴァインはなんなくそれを避けた。乱入者はシャーロットたちをかばうように立ちふさがる。その人物を見てヴァインは溜め息をついた。


「はぁ、あなたに感づかれないように注意したはずなんですがね?アルヴィス?」

「お久しぶりですねヴァイン・クリム…いえ、ローランド・テクスチャ」


 アルヴィスは憎々しげに相手の名前を呼んだ。


「ローランド・テクスチャ…?」


 ヴィクトリアから薬をもらったシャーロットは頭を振りながら聞きなれない名前を問う。カリンとクレアはまだ意識がはっきりしないようだ。アルヴィスはシャーロットが大丈夫そうなのを確認し安堵した。そしてシャーロットの問いに答える。


「あの男の本当の名前は“ローランド・テクスチャ”。とんでもないゲス男ですよ」


 アルヴィスが見たことないような嫌悪の表情でローランド(ヴァイン・クリム)を睨み付けながら普段使わないような強い言葉を使うのでシャーロットは驚いた。


「もしかしてアル、クリム…いえ、ローランドさんの事を知っているの?」

「ぐ、それは…」


 話そうかどうかものすごく悩みに悩みぬいてものすごく嫌そうな顔をしながらローランドについての真実を話し始める。その話はとんでもない一言から始まった。


「あの男の事はとてもよく知っていますよ。なぜならあの男は……………私の父親ですから」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ