まさかの出会い
と、タヌキと会話してたんだけど。
……完全に油断していた。
草陰から男が飛び出してきたのだ。
そして俺の首元にナイフを当てている。
クソッ! 死体から能力を取る話をしてる時に俺が死体になるのかよ!
「おい、お前。さっきチートとか言ってただろ?」
「へ?」
「答えろっ!」
「へ、へい! 言ってました!」
「お前は神の手先か?」
「ちちちち、違います!どっちかと言うと玩具です!」
「玩具……俺と同じか」
「え?」
「こっちに来い! そこのアライグマもだ!」
「フォックスです!」
「どこがキツネだよ!」
「いや、それは名前で。種族はタヌキです!」
「はぁ?! ラス○ルじゃないのかよ! だれがそんなバカな名前付けたんだよ!」
タヌキが俺を見る。
そしてこの謎の男は、俺を冷たい目で見る。
いや、違うんですよ。タヌキの英訳が思い出せなかっただけなんです。
でも、この人。フォックスをすぐにキツネと言ったぞ?
そしてアライグマをラ○カルとも。
極めつけが神のせいでの境遇が同じらしい。
もしかして?!
その人の指示で草を分け入り、先にあった洞窟に入る。
洞窟というよりも洞穴って感じ。手作りっぽい。
壁には沢山の魔法陣が書かれている。
いや魔法陣とか判らないんですけどね。アニメで見たようなのが書いているので、そうかな~と。
「よし。ここなら神の目も届かない」
「やっぱり神関係なんですか?」
「あぁ。俺はリョウ。3代目だ」
「3代目とは?」
「あの神によって、異世界から飛ばされた3人目って事だよ。
お前もなんだろ? 何代目だ?」
「え~と、聞かされていません」
「何時こっちに来た?」
「まだ半年も経ってないです」
「じゃあ多分、13代目くらいだな」
うわ~、鉄の斬れる剣が欲しい感じだ。
そうなるとこの人は3代目だから大泥棒か?
おっと、現実逃避をしてしまった。
「え~、どういう事でしょうか?」
「その前に、お前のチート能力を教えろ」
「…………ありません」
「はぁ? ウソ付くなよ! こっちに来る時に貰っただろうが!」
「ナイフ向けないで! 本当に貰ってないんですって! くれなかったし!!」
「どういう事だ!」
「テンプレイベントをクリアする所が見たいと言われ、クリアする毎に能力が貰える仕様にされました!」
「なるほど。徐々に増えるパターンか。
現在どれくらいクリアしたんだ?」
「えっと、25個です」
「ならかなりチートだな」
「いえ、全然」
「はぁ?」
「だって、クリアして貰えた能力って、『取得経験値10%UP』とか『水魔法(Lv.1)』とかですよ?
レベル上げなきゃ弱すぎるでしょ」
「……なんかゴメンな」
「慰められた! やっぱザコいんだ!」
「そのうち、良い事あるよ。酒でも飲むか?」
「酒まで勧められた! そんなにザコなの?!
あっ! 思い出した! 俺の前任者達はチートを貰って来てるって言ってた気がする!」
「正解。俺もその一人だ」
「貴方は何を?」
「『魔法はイメージで変わる』能力だ。火魔法のレベルが1でも森を焼き尽くす事も出来る」
「ズルい! チートだ!」
「いや、チートだし」
くそぅ! 俺もそういうのが良かった!
それからリョウさんは色々と話してくれた。
ここの魔法陣もリョウさんが作った物で、神の目を誤魔化せるらしい。
この世界には俺以外に12人は送り込まれてるそうな。それぞれが違うチートを持ってるんだって。
だが、その内の半数が既に死亡しているらしい。
チート能力を過信しての事だそうだ。
有名なのは武力マックスの男。ドラゴン討伐をしたが、その夜に報奨金目当ての女にベッドの中で殺された。
寝てる時は無力だったそうな。……怖い。
で、生き残ってる者達は、神の目を誤魔化しながら集まったそうな。
一応全員死んだ事になってるらしい。
あ~、神が言ってたな。
前に行ったやつらは、テンプレもせずに死んだって。
そうか、生きてたのか。
「しかし、よく俺を発見しましたね」
「予知能力を貰ったヤツが仲間に居るからな」
「なるほど」
「他にも知識チートのヤツとか回復魔法特化のヤツとかがいる」
「へ~、そうなんですか。ん? なんか後衛職の人が多いですね」
「当たり前だ。前に出たがるヤツは皆死んだからな」
納得。目立ちたがりは叩かれるよね。
「で、これからどうするんです?」
「皆と合流する」
それは良いんだけどさ、俺、今は手紙を届けるっていう、仕事があるんだけど……。
次話は16日の17時に投稿します。




